矮小歯のトラブルを解消!歯列への影響と治療方法

矮小歯のトラブルを解消!歯列への影響と治療方法

一部の歯が、ほかの歯と比べて明らかに小さい…という場合、矮小歯(わいしょうし)かもしれません。矮小歯そのものが「治療すべき病気」というわけではありませんが、歯並びに悪影響を与えることがあるので、ある程度、注意が必要です。

また、機能面に問題がなくても、「笑ったときに小さい歯が見えるのは…」と美容面を気にしている人も多いようです。こちらの記事では、矮小歯に関連する基礎知識を掲載していますので、ぜひ、参考にしてください。

この記事の目次

1.矮小歯について知りたい!原因&特徴は…?

矮小歯の定義は「平均に比べてとくに小さい歯」となっており、「大きさ何ミリ以下」などの明確な基準はありません。全体的に歯が小さい場合は、「ビタミンDの欠乏」「脳下垂体の機能低下による成長ホルモン分泌不足」「遺伝」などが原因になる…と考えられています。しかしながら、一部の歯だけが矮小歯になるケースのほうが多く、その場合の原因ははっきりしていません。

1-1 矮小歯になりやすい部位はどこ?

矮小歯は、乳歯と永久歯のどちらにも見られます。乳歯の場合は、上下側切歯(前から2本目の前歯)と上下犬歯(糸切り歯)が矮小歯になる傾向があります。

永久歯の場合、上顎側切歯(前から2本目にある上の前歯)と第三大臼歯(親知らず)が矮小歯になりやすい傾向です。また、「もともと生えないはずの余分な歯」が生えてきたとき、その歯は矮小歯である確率が高くなります。このような「余分な歯」のことを、過剰歯と呼んでいます。

親知らずは生えてこない人も多く、明確に退化傾向にある歯です。また、上顎側切歯は親知らずの次に退化傾向が強い歯となっています。加えて、過剰歯は「もともと退化して失われたはずの歯が生えてきたもの」であることが多く、代表的なのは第四大臼歯です。

第四大臼歯は親知らずより奥の歯で、人類が化石人類(猿人・原人など)だったころに生えていた歯です。以上から、原因は明確ではないものの「退化した歯が、一定確率で矮小歯として現れることがある」と考えられます。

1-2 矮小歯の形状は…?

矮小歯は単に小さいだけでなく、普通と異なる形状になる傾向があります。前歯が矮小歯になると「栓状歯(せんじょうし)・円錐歯(えんすいし)」といって犬歯のように尖った形状をとることが多くなります。それに対して、奥歯が矮小歯になると「蕾状歯(らいじょうし)」といって、つぼみのような形をとる傾向があります。

2.矮小歯がもたらす2つの問題とは!?

矮小歯そのものが、大きな問題というわけではありません。しかし、矮小歯を放っておくと、周囲の歯に悪影響を与えるケースがあります。そのため、「ほかの歯に悪影響を与える矮小歯に関しては、治療を検討する」という方向性が基本です。この章では、矮小歯が原因となり得る問題について解説することにしましょう。

2-1 空隙歯列(すきっ歯)

前歯に矮小歯があると、空隙歯列の原因となります。もとの大きさより小さい歯が含まれるので、当然、矮小歯の周りには空間ができてしまいます。時間が経つうちに周囲の歯もずれてきて、全体的に隙間の多い歯列になることもあるでしょう。

空隙歯列がもたらすのは、見た目の問題だけではありません。食べ物が挟まりやすくなるので歯周病リスクが増大しますし、発音困難の原因になることもあります。日本語の「サ行」は前歯の裏に空気を溜めるようにして発音するので、前歯が隙間だらけだと発音しづらくなります。具体的には「サ」が「シャ」、「ス」が「シュ」と聞こえるような発音になることがあります。

2-2 噛み合わせに悪影響が出る

矮小歯があると、上下の噛み合わせに悪影響が出ることもあります。基本は、上顎側切歯(前から2本目にある上の前歯)は下顎側切歯・下顎犬歯と噛みあいます。しかし、矮小歯は高さが足りないので、下の歯は「噛み合わせる相手がいない状態」になります。

「噛み合わせる相手がいない歯」は、噛みあう相手を求めて上に伸びようとします。歯は全体でバランスをとっていますから、一部にズレが生じると、その影響は徐々に全体に及んでいきます。結果、噛み合わせが崩れてしまうわけです。

3.矮小歯を解消!基本的な治療法まとめ

矮小歯の治療方針は2通りに分かれます。1つは「ほかの歯と同じ見た目にする」という部分に重きを置いた美容面の治療です。そして、もう1つは「歯列・噛み合わせへの悪影響を取りのぞく」という機能面の治療になります。この章では、矮小歯の基本的な治療方法について解説することにしましょう。

3-1 セラミッククラウン

美容面に重きを置いた治療になります。矮小歯の表面を削って土台をつくり、セラミックのかぶせ物を入れる治療法です。かぶせ物は普通の歯と同じ大きさなので、見た目の問題はほぼ解消します。ただ、「虫歯になっていない矮小歯を削る治療法」なので、矮小歯の寿命を縮める恐れがあります。

3-2 ダイレクトボンディング

こちらも、美容面を重視する治療方針になります。矮小歯にコンポジットレジンを貼りつけて、ほかの歯と同じ大きさにする治療法です。ダイレクトボンディングというのは「直接、貼りつける」という意味なので、読んで字のごとく…といえます。矮小歯にダメージを与えなくて済みますが、コンポジットレジンは経年劣化・変色の恐れがあります。

3-3 歯列矯正

こちらは美容面だけでなく、機能面も重視した治療方針です。矮小歯の影響で空隙歯列・噛み合わせの問題を起こしている場合、歯列矯正で問題を解決することができます。美容面の治療を併用すれば、「機能的な問題を解決した上で、見栄えを良くする」といったことも可能です。

4.まとめ

矮小歯を放置すると、歯列・噛み合わせに悪影響を与えることもあります。矮小歯と思われる歯が生えてきたら、定期的に歯医者さんに通って検診を受けたほうが良いでしょう。周囲の歯に影響が出ていなければ無理に治療することもありませんが、「影響の有無」を判定するために定期健診を受けたほうが無難です。

 

先生からのコメント

場合によっては、ラミネートべニアクラウン、付け爪みたいなものでほとんど歯を削らないでできることもありますので、かかりつけの歯科医院で相談してみてください。

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住所:東京都葛飾区お花茶屋2-5-16
電話:03-3601-7051
執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

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