唇のぶつぶつを治したい…!口唇炎の原因&治療法を解説

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唇に得体の知れない「ぶつぶつ」ができていませんか? 唇の「ぶつぶつ」には複数の種類があり、まずは「何が原因なのか」を考える必要があります。ウイルス性から、アレルギー性まで、さまざまな原因が考えられるからです。

もちろん、すぐに医療機関を受診すれば、原因の特定は容易でしょう。しかし、口唇炎くらいだと、自宅で経過観察する人が多いと思います。だからこそ、「どれくらいで医療機関を受診するか」を考えるためにも、ある程度の知識を得ておくことが大切なのです。

こちらの記事では、唇に生じる「ぶつぶつ」を種類ごとにまとめ、「一般的な治療法」を解説したいと思います。

1.唇のぶつぶつは、ウイルス感染症かも…?

もし、唇に水ぶくれ(水疱)のような「ぶつぶつ」ができているなら、ウイルス性の感染症を疑ってください。唇に症状が出るウイルス感染症には、主に2種類が存在します。

1-1 口唇ヘルペス(単純疱疹)

唇に水ぶくれができている場合、もっとも確率の高い病気は「口唇ヘルペス」でしょう。口唇ヘルペスではまず「唇の周辺にピリピリした刺激を感じる」という初期症状があり、それから半日くらいで赤く腫れてきます。その後、1~3日で多数の水ぶくれが生じて、1~2週間で自然治癒するのが普通です。

初期症状の「ピリピリ感」は特徴的で、口唇ヘルペスを何回か繰り返している人は「ヘルペスが再発する…」と自分でわかるそうです。再発しやすい病気で、人によっては年に複数回のペースで繰り返すこともあります。

口唇ヘルペスの原因

口唇ヘルペスはウイルス感染症なので、原因はウイルスです。「単純ヘルペスウイルス1型」と呼ばれるウイルスが、口唇ヘルペスを引き起こしています。

先ほど、口唇ヘルペスを「再発しやすい」と記述しました。中には「ウイルス感染症なのに、再発…? それは再度、感染しただけじゃないの?」と思った人もいるのではないでしょうか? 実は、ヘルペスウイルスの場合、再感染ではなく「再発」が正しい表現です。ヘルペスウイルスは、一度でも感染すると、ずっと体内に残るからです。

単純ヘルペスウイルス1型は、たいてい幼少期に初感染し、そのまま体内に棲み続けます。三叉神経節という場所に、一生、潜伏するのです。そして、免疫力が低下したり、体力を消耗したりしたときに暴れだし、口唇ヘルペスの再発をもたらします。

以上から、単純ヘルペスウイルス1型は「感染→発症」ではなく、「免疫力・体力低下→発症」という流れで、口唇ヘルペスの原因になるのです。ちなみに、初感染で発症したときは発熱・全身倦怠感を伴い、唇だけでなく広範囲に水疱を発生する傾向があります。なので、口唇ヘルペスの症状だけにとどまる場合、基本的には再発例です。

口唇ヘルペスの治療法

ウイルス疾患なので、抗ウイルス薬による治療をおこないます。ただ、前述のとおり、体内のヘルペスウイルスを全滅させる薬はありません。あくまでも、ヘルペスウイルスの増殖を抑える薬です。

ヘルペスウイルスが増殖するには、ウイルスのDNA複製に用いる酵素―「DNAポリメラーゼ」が必要不可欠です。そこで、DNAポリメラーゼの働きを阻害する抗ウイルス薬を用い、ウイルスの増殖を抑えます。DNAポリメラーゼ阻害薬には、以下のような種類が存在します。

◆口唇ヘルペスに使われる抗ウイルス薬
アシクロビル(商品名:ゾビラックス etc.)
バラシクロビル塩酸塩(商品名:バルトレックス)
ファムシクロビル(商品名:ファムビル)
ビダラビン(商品名:アラセナ etc.)

ウイルスの増殖を抑えて自然治癒を早める…という程度の薬ではありますが、治癒にかかる期間を短縮し、症状の悪化を防ぐことができます。

1-2 帯状疱疹

一般的に、帯状疱疹は「身体に水ぶくれができる病気」と認識されています。実際、この認識は間違いではなく、実際、腹部・胸部などに帯状の水ぶくれを生じる例が多いです。しかし、帯状疱疹は必ずしも、腹部・胸部に発生するわけではありません。顔面・口唇に症状が出ることもあります。

口唇ヘルペスと同様に、まずは「ピリピリとした刺激感」が出てきます。その後、刺激のあった部位に発疹・水ぶくれが生じて、痛み・かゆみを覚えます。症状が出てから治癒するまでに3~4週間を要することが多く、元通りになるまでに時間のかかる病気です。

帯状疱疹の原因

帯状疱疹もウイルス感染症です。原因ウイルスは「水痘・帯状疱疹ウイルス」であり、これもヘルペスウイルスの仲間です。

ヘルペスウイルスの仲間なので、基本的な特徴は単純ヘルペスウイルスと似ています。「一度でも感染すると、体内から根絶できない」「初感染と再発例で症状が異なる」といった部分は、水痘・帯状疱疹ウイルスにも当てはまります。ちなみに水痘・帯状疱疹ウイルスの場合、初感染で「水痘(水ぼうそう)」、再発で帯状疱疹を引き起こします。

ちなみに、水痘・帯状疱疹ウイルスをはじめ、ヘルペスウイルスは神経に感染するウイルスです。皮膚症状は神経の感染に付随して起こるもので、神経の走行に沿って現れます。ですから、水痘・帯状疱疹ウイルスが三叉神経(顔の神経)に感染すれば、口内・口唇に「ぶつぶつ」ができることもあるのです。

帯状疱疹の治療法

口唇ヘルペスと同様、抗ウイルス薬による治療をおこないます。口唇ヘルペスにも用いられる「DNAポリメラーゼ阻害薬」が使われるのに加え、帯状疱疹には2017年7月に承認されたばかりの新薬―「ヘリカーゼ・プライマーゼ阻害薬」も使われることがあります。ヘリカーゼ・プライマーゼ阻害薬は、DNAが分裂(複製)するときの分岐点である「ヘリカーゼ・プライマーゼ複合体」の働きを阻害する薬剤です。

◆帯状疱疹に使われる抗ウイルス薬
アシクロビル(商品名:ゾビラックス etc.)
バラシクロビル塩酸塩(商品名:バルトレックス)
ファムシクロビル(商品名:ファムビル)
ビダラビン(商品名:アラセナ etc.)
アメナメビル(商品名:アメナリーフ)

上記のうち、口唇ヘルペスの項目には記載のなかった「アメナメビル」が、ヘリカーゼ・プライマーゼ阻害薬です。

2.唇のぶつぶつは、感染性の口唇炎かも…?

唇に炎症があり、ぶつぶつした「できもの」が見られるなら、菌に感染しているのかもしれません。水ぶくれではなく、「全体的に腫れ・荒れが見られ、赤っぽいぶつぶつがある」というなら、感染性の口唇炎を疑ってみてください。

2-1 カンジダ性口唇炎

唇が荒れて、一部にぶつぶつができた…というような場合、カンジダ菌に感染したのかもしれません。「唇の両端(=口角)」に炎症が現れたときは、特にカンジダ感染の確率が高いです。場所が口角であれば「カンジダ性口角炎」が正確な名称ですが、原因・治療法は同じなので、あまり気にしなくて良いでしょう。

カンジダ性口唇炎の原因

カンジダ性口唇炎の原因は、読んで字のごとく、カンジダ菌による感染です。ただ、カンジダ菌は細菌ではなく、真菌の一種であることに注意してください。真菌はカビ・酵母・キノコの仲間であり、いわゆる細菌とは異なる種類の菌です。

カンジダ性口唇炎の治療法

真菌感染症なので、治療には抗真菌薬を使います。カンジダ菌に対しては、細胞膜の材料になる「エルゴステロール」の合成に使う酵素―「シトクロムP450」の働きを阻害する抗真菌薬を用います。この種の抗真菌薬としては、「アゾール系抗真菌薬」「アリルアミン系抗真菌薬」が知られています。

カンジダ菌に用いられる抗真菌薬としては、真菌の細胞壁に必要な「β-Dグルカン」合成を妨げる「キャンディン系抗真菌薬」も存在します。ただ、こちらは点滴薬であり、口唇炎程度の病気には使われません。カンジダ菌が内臓に感染した場合など、深部型感染症に使われます。

逆に、使ってはいけない薬が抗生物質です。抗生物質はいわゆる細菌(真正細菌)を殺菌(または増殖を抑える静菌)する薬剤であり、真菌には効果がありません。むしろ、ほかの細菌を減らすことで、真菌が増殖しやすい環境を作ってしまいます。真菌感染症に対して抗生物質を用いると、かえって症状を悪化させる…ということを知っておきましょう。

2-2 細菌性口唇炎

炎症による「唇のぶつぶつ」は、そのすべてが真菌感染症というわけではありません。真正細菌の感染によって、口唇炎にかかることもあります。外見から真菌感染と細菌感染を見分けることはできないので、区別するためには医療機関で検査を受ける必要があります。

細菌性口唇炎の原因

細菌性口唇炎は多くの場合、ブドウ球菌・レンサ球菌などの皮膚常在菌によって引き起こされます。ブドウ球菌・レンサ球菌はいずれも真正細菌であり、「グラム陽性球菌」と呼ばれるグループに属しています。

細菌性口唇炎の治療法

真正細菌による感染症なので、抗生物質による治療をおこないます。グラム陽性球菌の感染症なので、グラム陽性球菌に奏効する「テトラサイクリン系抗生物質」が多用されます。ちなみに、テトラサイクリン系は「静菌性抗菌薬」と呼ばれる種類の薬です。殺菌性と異なり、細菌を殺すわけではありません。細菌がタンパク質を合成するときに使う「リゾホーム」という器官の働きを抑えます。増殖を抑えて、治癒を早めるわけです。

そのほか、同じく静菌性の抗菌薬である「フシジン酸ナトリウム(商品名:フシジンレオ)」などが用いられることもあるでしょう。グラム陽性球菌のうち、特に黄色ブドウ球菌に対して、強い抗菌力を発揮します。

3.唇のぶつぶつは、接触性口唇炎かも…?

唇に炎症が起きているからといって、菌・ウイルスに感染しているとは限りません。「化学物質の影響」「アレルギー」などによる炎症もあり得ます。このように「化学物質・アレルゲンと接触したことで生じる口唇炎」を「接触性口唇炎」と呼んでいます。

3-1 一次刺激性接触性口唇炎

炎症の原因になる物質が唇に接触し、その部位に炎症が生じている口唇炎です。洗顔料・石鹸・リップスティックなどに含まれる化学物質が原因になることが多いです。化学物質の刺激が原因なので、毒性の強い物質に触れたときほど、症状も強くなります。

3-2 アレルギー性接触性口唇炎

アレルゲンとなる物質が接触したことで、アレルギー性の炎症を起こします。アレルギーは体質的なものなので、「何が原因物質になるか」「どの程度の症状をきたすか」は人によって異なります。当然、「原因物質の毒性」と「症状の程度」は比例しませんし、食品・金属など無毒の物質がアレルゲンになるケースもあります。

接触性口唇炎の治療法

根本的解決のためには、原因となっている物質を特定することが不可欠です。原因物質との接触を断つことができれば、接触性口唇炎の症状は治まるからです。

すでに発症している口唇炎には、対症療法をおこないます。「ステロイド剤」の外用薬で炎症を抑える方法が一般的です。症状が強い場合は、内服用の「抗ヒスタミン薬」を用いて早期消炎を図ります。

4.まとめ

唇の炎症だけでも、さまざまな種類が存在します。こちらの記事では「ぶつぶつ」を生じやすい炎症だけを取り上げましたが、「かさかさした炎症」を引き起こす口唇炎を加えれば、もっとたくさんの種類があります。

さて、口内炎・口唇炎ですぐに医療機関を受診する人は少ないと思います。それ自体は、致し方ないところでしょう。別に自宅で経過観察することに問題はありませんが、「自宅での経過観察は2週間以内」という心構えを持つようにしてください。2週間で改善の兆候が見られないなら、医療機関にかかる…。この一点だけは、心にとめていただけると幸いです。

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