唇のできものに要注意!口唇ヘルペス・口唇炎から口唇癌まで解説

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唇に「できもの」ができたとき、いったい、どのように対処すれば良いのでしょうか? 特に、なかなか治らない場合は対処に迷ってしまいます。どれくらいの期間で改善しなかったら、医療機関を受診すべきなのでしょうか?

こちらの記事では、唇に発生する「できもの」の種類をまとめ、それぞれの特徴・治療法などを解説することにしました。「できもの」の正体を突き止め、適切に対処するための一助にしていただければ幸いです。

また、「できもの」の種類ごとに、適切な診療科目も紹介しています。何科を受診するべきか…と迷ったときに活用してみてください。

◆目次◆

1.口唇ヘルペス
2.アトピー性口唇炎
3.接触性口唇炎

4.剥離性口唇炎
5.日光口唇炎
6.口角炎
7.ニキビ
8.クインケ浮腫
9.パピローマウイルスによるイボ
10.口唇癌
11.まとめ

1.口唇ヘルペス

「唇の外側」というのは、言い換えれば「口の周囲」です。口の周囲に「できもの」が発生した場合、口唇ヘルペスの疑いを考えるべきでしょう。口唇ヘルペスの症状は「唇の周辺に水疱(水ぶくれ)ができる」と説明されるのが普通です。しかし、水疱のほかにも、「腫れ」「びらん(表面が荒れてただれること)」などの症状をきたすことがあり、一概に「水疱ができる」とばかりも言えません。

また、口唇ヘルペスは「初感染で発症した場合」と「再発例」で症状が異なります。「初感染での発症」は重症化する傾向があり、「発熱」「倦怠感」「口腔内にも多数の水疱が発生(ヘルペス性口内炎)」といった症状をきたすことがあります。稀(まれ)に「ヘルペス性脳炎」を起こすこともあり、この場合は生命にかかわります。

「再発例」の場合、ほとんどは口唇ヘルペスの症状だけが出ます。前兆として「唇のあたりがピリピリする」といった自覚症状があり、それから唇に水疱・びらんが発生します。全身症状が出ることは非常に稀(まれ)で、体感的には「唇のあたりにできものが発生した」という自覚症状にとどまります。

1-2 口唇ヘルペスの原因

口唇ヘルペスはウイルス感染症であり、原因はウイルスです。原因となるウイルスは「単純ヘルペスウイルス1型」と呼ばれる種類になります。日本人の70~80%が単純ヘルペスウイルス1型に感染しているとされており、多くの人が幼少期に感染するウイルスの1つです。幼児期は免疫力が高いので、「発症しないまま感染だけする」ということも珍しくありません。

ちなみに、現代の医学において、「体内に侵入した単純ヘルペスウイルスを根絶する方法」は存在しません。一度でも感染すれば、生涯、体内に単純ヘルペスウイルスを有した状態で生きていくことになります。ふだん、単純ヘルペスウイルスは三叉神経節と呼ばれる場所に潜んでいます。そして、何らかの理由で免疫力が落ちると、口唇ヘルペスを引き起こすのです。

以上から、成人が口唇ヘルペスを発症するとき、ほとんどは再発例です。「ウイルスが体内に侵入して発症する」というよりは、「体調不良で免疫力が低下したときに、体内のウイルスが暴れ出す」と理解するのが正確です。風邪のときに併発しやすいことから、口唇ヘルペスには「風邪の華」という別名があります。そのほか、多量の紫外線を浴びた後に発症する例も多いです。

1-3 口唇ヘルペスの治療法

ウイルス感染症なので、治療には抗ウイルス薬を用います。ただ、あくまでも「ウイルスの増殖を抑える薬」であり、「ウイルスを根絶する薬」ではありません。簡単に言うならば、「自然治癒を早める・助ける」という方向性の薬になります。さて、口唇ヘルペスの治療薬には、以下の種類が存在します。

アシクロビル

ヘルペスウイルスが増殖するのに必要な酵素(DNAポリメラーゼ)の働きを妨害することで、増殖を抑える薬です。作用機序から「DNAポリメラーゼ阻害薬」と呼ばれます。アシクロビルを有効成分とする医薬品には、内服薬・点滴薬・外用薬が存在します。アシクロビルを有効成分とする薬剤には、ゾビラックス(内服薬)、アクチビア(外用薬)、ヘルペシア(外用薬)、サワイ(点滴薬)などがあります。

バラシクロビル塩酸塩

アシクロビルにバリンというアミノ酸を結合させ、吸収効率を高めた薬です。体内でアシクロビルに変わるので、作用機序はアシクロビルと同じになります。こういった薬について説明するとき「バラシクロビル塩酸塩は、アシクロビルのプロドラッグである」と表現します。吸収効率が向上したことで、1日2回の内服で作用するようになりました。(アシクロビル内服薬は1日5回)バラシクロビル塩酸塩を有効成分とする薬剤にはバルトレックス(内服薬)があります。

ファムシクロビル

ファムシクロビルは、体内でペンシクロビルという有効成分に変化して、ヘルペスウイルスの増殖を抑えます。つまり、ファムシクロビルはペンシクロビルのプロドラッグに相当します。ただ、ペンシクロビルは経口摂取での吸収が非常に悪いので、プロドラッグとして活用しているのです。作用機序自体はアシクロビルと同じく「DNAポリメラーゼの阻害」です。ファムシクロビルを有効成分とする薬剤にはファムビル(内服薬)があります。

ビダラビン

ビダラビンは、作用機序が厳密には解明されていない薬です。ただ、恐らくはアシクロビルと同様、DNAポリメラーゼを阻害するのではないか…と考えられています。ビダラビンを有効成分とする薬剤にはMEEK(外用薬)、SW(外用薬)、F(点滴薬)などがあります。

軟膏などの外用薬は「第一類医薬品(薬剤師が販売する医薬品)」として市販されていますが、市販薬の適応症は「口唇ヘルペスの再発例」となっています。初めて症状が出た場合は使えませんので、医療機関を受診して内服薬(処方薬)を処方してもらってください。もちろん、重症と思われる場合も医療機関を受診するべきです。

口唇ヘルペスが疑われるときは、何科を受診する?

乳幼児の初感染→小児科
全身症状あり→内科
口唇の症状のみ→皮膚科 / 耳鼻咽喉科 / 歯科口腔外科

2.アトピー性口唇炎

唇に「できもの・荒れ」が見られる場合、アトピー性口唇炎かもしれません。これは簡単に説明するなら、「アトピー性皮膚炎が口唇に発生したもの」です。アトピーの素因を持っている人の唇が荒れているなら、真っ先に疑われる疾患といえます。多くは強いかゆみを伴い、外見的特徴としては「唇がカサカサに乾燥して、ひび割れる」というのが一般的です。

2-1 アトピー性口唇炎の原因

アトピー性皮膚炎は、「はっきりとした原因がわからない皮膚炎」と言われています。しかしながら、最近になって、アトピー性皮膚炎の原因が徐々に解明されてきました。有力視されているのは、「表皮バリア破綻説」です。

表皮は4層に分かれていて、内側から順に「基底層→有棘層→顆粒層→角質層」となっています。このうち、外部からの刺激をシャットアウトする「バリア機能」を担っているのは、顆粒層と角質層です。

顆粒層では、顆粒細胞同士が密に連結して、「外部からの物質侵入」「内部からの物質流出」を防いでいます。顆粒層で「内外の物質移動」を阻害しているバリア構造を「タイトジャンクション構造」と呼称します。

そして、角質層では「細胞間脂質」がバリア構造を作り出しています。細胞間脂質というのは、角質細胞の隙間を埋めている「セラミド」「コレステロール」「脂肪酸」などの総称です。細胞間脂質は「水分と脂質を重ね合わせた構造(ラメラ構造)」をとり、内外の物質移動を阻害しています。

表皮バリア機能の重要性は「肌を乾燥から守ること」にあります。外部からの刺激をシャットアウトすることも大切ですが、それ以上に重要なのが「水分が外に蒸発するのを防ぐ」という働きです。角質層の中に水分をとどめることで、肌の乾燥を避け、同時にラメラ構造を維持しているからです。

水分と脂質をサンドイッチのように重ね合わせた構造ですから、水分が失われればラメラ構造は破綻します。逆に言えば、角質層に十分な水分がある限り、ラメラ構造が保たれて、外部刺激の影響を受けにくい状態が維持されるのです。

以上に解説した「表皮バリア機能」ですが、この機能が破綻すると、アトピー性皮膚炎を起こしやすくなると考えられています。特に重要なのが、角質層のラメラ構造によるバリアです。表皮の免疫反応をつかさどる「ランゲルハンス細胞」は、顆粒層のタイトジャンクション構造を超えて、外側まで「樹状突起(ランゲルハンス細胞の手のようなもの)」を伸ばします。

免疫が反応できるということは、要するに「アレルゲンに対して、アレルギー反応を起こす恐れがある」という意味です。角質層のバリアを突破したアレルゲンに対しては、アレルギー性の炎症が起こり得る…ということになります。わかりやすく表現するなら、「角質層のバリアが崩れると、アレルギー性の炎症を起こす確率が上がる」と言い換えることができます。

角質層の表皮バリアが破綻する原因としては、バリア機能を維持するために重要な役割を負っている「フィラグリン」の不足が挙げられます。フィラグリンは角質細胞の細胞質を満たすと同時に、分解されて天然保湿因子(NMF:表皮の水分を保持する働きをする)になる物質です。フィラグリンが不足すれば、表皮の水分量が低下し、バリア機能の維持が困難になります。実際、アトピー性皮膚炎を発症している人の2、3割は、フィラグリン遺伝子に異常があることがわかっています。

要するに、アトピー性皮膚炎の要因は「フィラグリン遺伝子異常をはじめとした、何らかの要因で表皮の水分が失われ、バリア機能が破綻したことだ」と推測できるわけです。同じことが口唇で起これば、アトピー性口唇炎を誘発します。

参照URL:www.kyoto-u.ac.jp/static/ja/news_data/h/h1/news6/2013/130918_2.htm

2-2 アトピー性口唇炎の治療法

アトピー性口唇炎の治療は、基本的にアトピー性皮膚炎に対する治療法と同じです。過剰な免疫反応が原因の炎症ですから、免疫を抑制する「ステロイド剤(副腎皮質ホルモン剤)」を用いて消炎を図ります。かゆみが強い場合は内服の「抗ヒスタミン剤」を処方されることもあるでしょう。軽度の場合は、唇を保湿することで軽快するので、「ワセリン」「ヘパリン類似物質(商品名:ヒルドイド)」などが用いられることもあります。

アトピー性口唇炎が疑われるときは、何科を受診する?

皮膚科 / 歯科口腔外科

3.接触性口唇炎

アトピー性口唇炎と並んで多く見られるのが、接触性口唇炎です。接触性口唇炎については、「接触性皮膚炎が口唇に発生したもの」と捉えていただいて構いません。腫れ・発赤に加え、水疱・湿疹などの「できもの」が発生することがあります。

アトピー性口唇炎が「バリア機能低下により、特定困難な漫然とした外部刺激で発生する炎症」であるのに対して、接触性口唇炎は「バリア機能が維持されていても発生することがあり、特定可能な外部刺激が要因となる炎症」です。

3-1 接触性口唇炎の原因

接触性口唇炎には2通りの発症メカニズムが存在します。それぞれ、「一次刺激性接触性皮膚炎」と「アレルギー性接触性皮膚炎」と呼ばれているので、個別に原因を解説することにしましょう。

一次刺激性接触性口唇炎

炎症の原因となる物質が唇に触れ、その刺激が原因で口唇炎を起こしているケースです。石鹸・洗顔料・リップクリームなどに含まれる化学物質(界面活性剤など)が原因物質になることがあります。炎症の程度は、原因となる物質の毒性に比例します。

アレルギー性接触性口唇炎

アレルギーの要因となる物質が唇に触れ、アレルギー性の炎症を起こしたケースです。何が原因物質になるかは、1人ひとりの体質によります。食品アレルギーを起こす人と、起こさない人がいるように、「何に対してアレルギー反応を示すか」には個人差があります。個人の体質によるところが大きいので、炎症の程度は「原因物質の毒性の強さ」に比例しません。食品など、本来は無毒な物質に対してアレルギーを持っている人もいるからです。

3-2 接触性口唇炎の治療法

根本的には、「原因物質を特定し、接触を避けること」が第一となります。その上で、すでに発生した皮膚炎に対して対症療法をおこないます。炎症を抑えるのには「ステロイド剤」が用いられることが多いです。かゆみが強い場合は「抗ヒスタミン剤」の内服薬を併用することがあります。

接触性口唇炎が疑われるときは、何科を受診する?

皮膚科 / 歯科口腔外科

4.剥離性口唇炎

どちらかというと、子供によく見られる口唇炎です。痛みのほか、「唇の皮がめくれる」「唇の皮が剥がれ落ちる(落屑)」「黄色っぽいかさぶたができる」といった外見的特徴を示します。「できもの」というよりは、「表面がボロボロになる」と表現したほうが、実情を示しています。

4-1 剥離性口唇炎の原因

唇を含めて、人間の皮膚は新陳代謝(ターンオーバー)を繰り返しています。「肌のターンオーバー」というと、なんだか良いことのように聞こえるかもしれません。しかし、ターンオーバー周期が早くなりすぎると、未熟な細胞が表面に出てきてしまい、肌が荒れる傾向にあります。同じように唇のターンオーバーが過剰になり表面が荒れると、剥離性口唇炎と呼ばれるのです。

ターンオーバーが過剰になる原因としては「頻繁に唇をなめる」「唇の皮を自分で剥いてしまう」「ビタミンB群(特にB2・B6)の不足」「ビタミンEの過剰摂取」などがあげられます。

4-2 剥離性口唇炎の治療法

患部を清潔にして、ワセリンなどで保湿しておけば自然治癒することが多いです。市販のリップクリーム・乳液などはかえって悪化させる恐れがあるので、使用を控えたほうが無難でしょう。なかなか治らない場合は、医療機関を受診するようにしてください。多くの場合、「ステロイド剤」で炎症を鎮めて軽快を期待することになります。

解離性口内炎が疑われるときは、何科を受診する?

皮膚科 / 歯科口腔外科

5.日光口唇炎

日光口唇炎は、長期的に紫外線を浴び続けたことによる病変―「光線角化症」が唇に発生したものを指します。放っておくと癌に変わる恐れがある「できもの」を「前癌病変」と呼びますが、光線角化症は前癌病変の1つです。褐色・赤褐色・ピンクの病変で、大きさは数mm~2cm程度になります。平らな斑模様(まだらもよう)として現れることが多いですが、立体的な「できもの」が現れる場合もあります。

ただ、それほど高確率で癌化するわけではなく、自然治癒することもあります。癌化した場合は「有棘細胞癌(ゆうきょくさいぼうがん)」「扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)」になります。これらの2つの癌は病理学的には同じものですが、皮膚に発生した場合が有棘細胞癌、粘膜に発生した場合は扁平上皮癌と呼ぶのが普通です。

5-1 日光口唇炎の原因

慢性的な紫外線ダメージにより、DNAが損傷することが原因です。さて、地表に届くことがある紫外線を近紫外線と呼びますが、近紫外線には3種類が存在しています。肌を褐色する働きがある「UV-A」、肌を赤く火傷状態にする「UV-B」、そして生体を破壊するほどのエネルギーを持つ「UV-C」です。このうち、オゾン層を透過して、日々、私たちに降り注いでいるのがUV-AとUV-Bになります。日光口唇炎など、光線角化症の直接原因になるのは、UV-Bです。

5-2 日光口唇炎の治療法

患部を保存して治癒を促す場合、抗炎症薬のジクロフェナクナトリウムなどが用いられます。薬品で患部を除去するなら、フルオロウラシルが選択されます。光線角化症をおこした箇所を意図的に炎症させ、最終的に病変部を除去します。

外科的に「できもの」を除去する場合、液体窒素で凍結させるクライオサージェリーのほか、炭酸ガスレーザー、外科的切除がおこなわれることもあります。

日光口唇炎が疑われるときは、何科を受診する?

皮膚科 / 歯科口腔外科

6.口角炎

「唇の両端」が炎症を起こしている場合、口角炎と呼びます。「ひび割れ」「腫れ」「かさぶた」などが発生し、口を開けたときに痛みを感じます。口を開けた瞬間に「唇の両端」が切れることがあるので、多くの人が「怖くて口を開けられない」という状況に陥ります。

6-1 口角炎の原因

口角炎の原因は大きく分けて2通りが存在します。1つは、真菌(カビ)の一種―カンジダ菌への感染です。カンジダ菌は口の中に棲んでいる常在菌であり、普通の状態で感染することはほとんどありません。しかし、「体調不良による免疫力低下」「ドライマウス」「抗生物質の連用・多用」といった要因があると、カンジダ菌に感染しやすくなるのです。カンジダ菌が口角に感染した場合の炎症を「カンジダ性口角炎」と呼んでいます。

もう1つの原因は、細菌感染です。連鎖球菌・黄色ブドウ球菌などが口角に感染すると、やはり口角炎を起こします。

6-2 口角炎の治療法

基本的には自然治癒します。治癒を早めたいのなら、「患部を石鹸などで洗って清潔にし、ワセリンで保湿する」という方法が良いでしょう。ただし、自己判断で市販の抗生物質を塗るのはNGです。原因がカンジダ菌だった場合、むしろ事態は悪化します。抗生物質は真菌には効かず、細菌だけを殺菌します。真菌と細菌は縄張り争いをする関係にあるので、細菌を殺菌すると、真菌(カンジダ菌)が大量増殖するのです。

医療機関を受診した場合、まずは原因がカンジダ菌なのか、それとも細菌なのかを特定することになります。カンジダ菌ならば抗真菌薬、細菌ならば抗生物質による治療を選択します。

口角炎が疑われるときは、何科を受診する?

皮膚科 / 歯科口腔外科

7.ニキビ

口の周囲に、皮脂が詰まった「できもの」が見られるなら、ニキビかもしれません。ただし、場所が「唇のピンク色の部分」であれば、ニキビではなく口唇ヘルペスを疑ってください。ニキビは毛穴がある場所にしかできません。唇の粘膜部分には毛穴がないので、ニキビができるはずはないのです。ただ、「皮膚と唇の境目」はニキビのできやすい部位です。口唇ヘルペスとの判別が重要になります。

7-1 ニキビの原因

ニキビの原因は、毛穴が角栓によって詰まることです。毛穴が詰まったことで、毛穴の内部に皮脂が溜まります。すると、アクネ桿菌(かんきん)と呼ばれる細菌が皮脂を餌に増殖し、毛穴内部で炎症を起こすのです。

一般に皮脂が溜まり始めた段階を「白ニキビ」、皮脂が参加して黒くなった段階を「黒ニキビ」、炎症を起こして腫れている段階を「赤ニキビ」と呼称します。さらに悪化し、化膿して膿が溜まったものを「黄色ニキビ」と呼ぶこともあります。

7-2 ニキビの治療法

皮脂が溜まっている状態(=炎症が起きていない)なら、面皰圧出と呼ばれる処置が一般的です。針・レーザーでニキビの表面に微小な穴をあけ、「アクネプッシャー」という器具でニキビの中身を取り除きます。

すでに炎症が起きて赤く腫れているようなら、トリアムシノロンアセトニドを注射する「ケナコルト注射」などがおこなわれます。ステロイド剤の一種で、炎症を速やかに鎮めることができます。

ニキビが疑われるときは、何科を受診する?

皮膚科

8.クインケ浮腫

「できもの」というよりは、唇全体が赤く腫れあがるようなイメージです。唇だけでなく、まぶた・頬(ほお)などが腫れることもあります。数時間で急速に腫れあがり、3、4日ほど腫れた状態が続きます。ただ、いったん治っても、何度も繰り返す傾向にあります。

痛み・かゆみはなく、これといった自覚症状はありません。指で押しても跡は残らず、すぐに戻ります。遺伝性のクインケ浮腫では、気管支・喉が腫れて呼吸困難を起こすことも少なくありません。「クインケ浮腫の症状があり、息苦しさを感じる」という場合はすぐに医療機関を受診してください。

8-1 クインケ浮腫の原因

クインケ浮腫には、遺伝性と後天性があります。遺伝性の場合、多くは「C1エステラーゼインヒビター(C1-INH)」と呼ばれる酵素の欠損が原因です。遺伝性のクインケ浮腫を「遺伝性血管神経性浮腫(HAE)」といいます。気管支・喉に症状が出て気道閉塞を起こすのは、たいてい遺伝性の場合です。ただ、遺伝性のクインケ浮腫は珍しく、日本国内で10家系ほどと推定されています。

後天性は、アレルギー反応と考えられています。もっとも多いのはアスピリン・ペニシリンなどの薬剤に対するアレルギーです。アレルギー反応によって「ヒスタミン(アレルギー物質)」が分泌されると、血管から水分などが漏れやすくなり(=血管透過性が上がる)、浮腫が生じます。疲労・ストレスなどで免疫のバランスが崩れることも、発症原因になるようです。

8-2 クインケ浮腫の治療法

遺伝性の場合は、欠損している「C1エステラーゼインヒビター」を補充する必要があります。上気道が腫れて気道閉塞の危険がある場合は、急速に炎症を鎮めるためにステロイドの静脈投与を併せて実施します。また、気道確保の必要があれば、気管挿管・気管切開をおこないます。

後天性であれば、蕁麻疹を伴うことが多く、「蕁麻疹と同様のアレルギー反応」と見なせます。そのため、蕁麻疹の治療と同じ方法を用います。具体的には「抗ヒスタミン薬」を投与して、消炎を図ります。

クインケ浮腫が疑われるときは、何科を受診する?

内科 / 皮膚科

9.パピローマウイルスによるイボ

唇の端に白く小さな「できもの」がいくつも発生している場合、パピローマウイルスによる「ウイルス性のイボ」かもしれません。イボは正式名称で「尋常性疣贅」と呼び、ウイルス感染症の1つです。

9-1 パピローマウイルスによるイボの原因

原因となるウイルスは、ヒトパピローマウイルス(HPV:乳頭腫ウイルス)です。接触感染するウイルスで、皮膚表面の小さな傷から入りこみます。ただ、感染するのは表皮細胞だけで、血液中には侵入しない…という特徴があります。また、感染した細胞を破壊するわけでもなく、大量のウイルス粒子をばらまくわけでもありません。

ただ、ウイルスにしてはあまりにおとなしいために、免疫システムがあまり反応せず、パピローマウイルスに対する永続的な免疫が獲得されることはありません。そのため、「同じ型のパピローマウイルスに何度でも感染する」ということが起こります。

とはいえ、「おとなしい」という表現はあくまでも「ウイルス血症を起こさず、大量増殖しない」という意味にとどまります。癌抑制遺伝子のp53・pRbと結合し、分解する遺伝子を有しており、発癌性が知られています。

9-2 パピローマウイルスによるイボの治療法

多くは、液体窒素でイボを凍結させる術式がおこなわれます。また、漢方薬のヨクイニン(ハトムギ)にも一定の作用が認められています。一般的に漢方薬は「医師によっては作用を認めている」といった力加減にとどまるのですが、イボに対するヨクイニンの処方は健康保険の対象になっています。健康保険の対象ということは、厚生労働省が効能を認めているということですから、「穏やかながら作用がある」と認識して良いでしょう。

パピローマウイルスが疑われる場合、何科を受診する?

皮膚科

10.口唇癌

唇に発生する「できもの」には、悪性腫瘍も存在します。唇にできる癌なので、口唇癌と呼ばれます。ただ、日本人が口唇癌になることはかなり珍しく、口にできる癌(口腔癌)の中で1%あるかどうか…となっています。

ただ、少ないからといって、警戒しなくて良いわけではありません。口唇に「丸っこい形状の硬いしこり」「えぐれたような病変」を見つけたら、口唇癌を疑う必要があります。口唇癌の8~9割は下唇に発生し、上唇は1~2割にとどまります。下唇に「しこり」「潰瘍」ができたら、特に注意が必要です。

10-1 口唇癌の原因

口唇癌のリスクファクターとしては、「喫煙」「アルコール(とりわけ度数の高い酒類)」「紫外線」「ヒトパプローマウイルスへの感染」があげられます。メラニン色素が少なく色白の人は、紫外線による口唇癌発生リスクが上がりやすい…と考えられています。

10-2 口唇癌の治療法

癌治療ですので、外科手術・放射線治療・化学療法(抗癌剤)を組み合わせた集学治療が基本になります。腫瘍が小さければ外科切除を単独でおこないますが、腫瘍が大きくなっている場合は、先に放射線治療・化学療法で腫瘍の縮小を試みます。切除範囲を小さくしたほうが、術後のQOL(生活の質)を維持しやすいからです。

口唇癌はあまり転移を起こさない癌ですが、所属リンパ節への転移が疑われる場合は「頚部リンパ節郭清」をおこないます。頚部リンパ節郭清は「リンパ節を切除する手術」です。

口唇癌が疑われる場合、何科を受診する?

歯科口腔外科

11.まとめ

唇の「できもの」にはたくさんの種類があり、主要な「できもの」だけでも10種類に及びます。「治癒にかかる期間」「放置した場合のリスク」などは種類によってさまざまですが、単なる口唇炎であれば2週間以内には軽快します。発症から2週間が経過しても改善しないなら、その「できもの」は単なる炎症ではありません。

以上を踏まえて、「2週間で治癒しない場合」「発熱などの全身症状がある場合」は、早急に医療機関を受診するようにしましょう。

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