むし歯はお口の中にいる細菌が、食べかすや糖分を利用して酸を作り出すことで発生・進行します。
そのため、「食事をしたらしっかり歯を磨く」ことはむし歯予防の基本です。
しかし、外出先などでは食後すぐに歯磨きができない場合もあります。
そうしたときは、むし歯リスクの軽減につながる食習慣を意識することも大切です。
この記事では、「食事を通じたむし歯予防」に焦点を当て、むし歯リスク軽減につながる食べ物や食習慣について解説します。
もちろん、日々のブラッシングやデンタルフロスの使用が基本ですが、食習慣を見直すことも口腔環境の維持に役立ちます。
この記事の目次
1.むし歯になりにくい食べ物は存在するのか?
大前提として、「これさえ食べればむし歯にならない」という食品は存在しません。
しかし、むし歯リスクの軽減につながる食品や食習慣はあります。
この章では、お口の健康維持に役立つ食品について紹介します。
1-1 アルカリ性食品
むし歯は、細菌が糖を利用して酸を作り出し、歯の表面からミネラルが溶け出すことで進行します。
一方で、口腔内では唾液による中和作用や再石灰化作用が働いています。
海藻類、大豆製品、野菜類などは、一般的にアルカリ性食品として紹介されることがあります。
ただし、むし歯予防は食品単独ではなく、食習慣や口腔ケアを含めた総合的な対策が重要です。
主な食品 :海藻類・大豆製品・野菜類
1-2 清掃性食品
食物繊維を多く含む食品は、よく噛むことで唾液分泌を促すことがあります。
また、唾液には口腔内を洗い流す働きがあります。
酸味のある食品も唾液分泌を促す場合がありますが、摂り方によって歯の脱灰・酸蝕に関わる場合があるため注意が必要です。
主な食品 :ゴボウ・セロリ・インゲン・豆類・酸味のある食品
1-3 キシリトール
キシリトールは、むし歯の原因菌に利用されにくい糖アルコールです。
また、キシリトール入りガムを噛むことで唾液分泌が促されるため、唾液による再石灰化作用をサポートすることが期待されます。
主な食品 :キシリトール配合ガム
1-4 緑茶・ウーロン茶
緑茶やウーロン茶に含まれるポリフェノールについては、細菌の働きに関する研究報告があります。
ただし、むし歯予防効果については日常的な口腔ケアの代わりになるものではありません。
砂糖入り飲料の代わりに選択することで、糖分摂取を抑えることにはつながります。
主な飲料 :緑茶・ウーロン茶
1-5 カルシウム
カルシウムは歯や骨の形成・維持に必要な栄養素です。
また、ビタミンDはカルシウムの吸収に関与しています。
主なカルシウム含有食品:魚介類・乳製品・大豆製品・小松菜
主なビタミンD含有食品:干しシイタケ・キクラゲ・卵・魚類
1-6 歯に付着しにくい~よく噛む食べ物!
よく噛む必要がある食品は唾液分泌を促す一助となります。
主な食品 :するめ・せんべい・ナッツ類
1-7 歯に付着しにくい~口腔内に長時間残りにくい食べ物!
食品によっては口腔内への滞留時間が比較的短いものもあります。
ただし、糖分を含む食品については摂取後の口腔ケア、摂取頻度に注意です。
主な食品:ゼリー・果物など
2.食べ物だけでなく「食べ方」に注目!むし歯予防につながる食習慣
食品選びも大切ですが、それ以上に重要なのが食べ方です。
食習慣を見直す際には、「何を食べるか」だけでなく、「いつ食べるか」「どのように食べるか」も意識しましょう。
2-1 だらだらと食べ続ける習慣はNG!
食事や間食によって糖質が口の中に入ると、細菌が酸を作り出します。
その結果、一時的に歯の表面からミネラルが溶け出す「脱灰」が起こります。
一方で、唾液には脱灰した部分を補う「再石灰化」の働きがあります。
しかし、だらだらと飲食を続けると、再石灰化が十分に行われにくくなります。
そのため、間食の回数や時間を意識し、口の中が休まる時間を作ることが大切です。
2-2 就寝前にはものを食べないようにする!
睡眠中は唾液分泌量が減少します。
そのため、就寝直前の飲食はむし歯リスクを高める可能性があります。
寝る前は飲食を控え、歯磨きを済ませてから就寝するよう心がけましょう。
まとめ
むし歯リスクの軽減につながる食品や食習慣について紹介しました。
ただし、どの食品にも「むし歯を防ぐ効果」が保証されているわけではありません。
むし歯予防の基本は、毎日の歯磨き、フロスの使用、定期的な歯科受診です。
そのうえで、今回紹介した食習慣を取り入れることで、口腔環境の維持に役立ててみてください。
【参考サイト】
・厚生労働省 e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
・日本歯科医師会
https://www.jda.or.jp/
・日本口腔衛生学会
https://www.kokuhoken.or.jp/
【略歴】
1969年 大阪大学歯学部 卒業
1973年 大阪大学大学院 修了
1981年 広島大学 教授
2008年 広島大学 名誉教授
東北大学 教授
2012年 東北大学 客員教授
東北大学 教育研究支援員
東北大学 学術研究員
今日に至る。

執筆者:
歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。
