歯が欠ける原因には、歯が弱くなっていることで起こるケースや、外傷によって生じるケースがあります。
自分の歯がなぜ欠けたのかを知ることで、原因に応じた対策を考えやすくなります。
この記事では、歯が欠ける主な原因や、欠けたときの対処法、歯が欠けるのを防ぐための予防法について紹介します。
この記事の目次
1.歯が欠ける主な原因
歯が欠ける原因には、歯そのものが弱くなっている場合と、外から強い力が加わった場合があります。
1-1 歯の健康が損なわれているケース
ここで関係するのが「エナメル質」と「酸」です。
エナメル質は歯の表面を覆っている硬い組織です。
一方で、酸によってエナメル質が溶けると、歯が弱くなることがあります。

むし歯
口の中にはむし歯に関係する細菌が存在します。
これらの細菌は、糖を利用して酸を作ります。
その酸によってエナメル質が溶けると、むし歯が進行し、歯がもろくなることがあります。
酸蝕歯
むし歯菌が作り出す酸だけでなく、飲食物に含まれる酸によって歯が溶けることもあります。
これを酸蝕歯といいます。
酸性の飲食物には、柑橘類、酢を使った食品、炭酸飲料、スポーツドリンクなどがあります。
摂取の頻度や口の中に酸が触れている時間が長いと、歯が弱くなることがあります。
1-2 外的な力がかかっているケース
歯そのものが弱くなっていなくても、強い力が加わることで歯が欠けることがあります。
歯ぎしりや噛み締め
歯ぎしりや食いしばりは、歯に大きな負担をかけることがあります。
特に睡眠中の歯ぎしりは自分で気づきにくく、継続すると歯のすり減りや欠けにつながる場合があります。
歯ぎしりや食いしばりが気になる場合は、歯科医院で相談しましょう。
外的なアクシデント
転倒や事故、スポーツ中の接触などによって、歯が欠けることがあります。
特に、接触の多いスポーツや強く食いしばるスポーツでは注意が必要です。

2.歯が欠けたときの対処法
歯が欠けたときは、欠け方や症状によって必要な処置が異なります。
自己判断せず、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。
2-1 小さな亀裂や欠損の場合
歯の表面に引っかかりを感じる、少し欠けているといった浅い欠損では、角を丸めたり、歯科用レジンで修復したりする場合があります。
欠けた部分が小さく痛みがなくても、亀裂が入っていることがあるため、歯科医院で確認してもらいましょう。
2-2 詰め物が取れた場合
詰め物が取れた場合は、取れた詰め物を保管し、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。
詰め物は経年的に劣化することがあります。
また、詰め物の下でむし歯が進行して外れることもあります。
定期検診を受けることで、詰め物の状態を確認しやすくなります。
2-3 歯の根っこが割れる「歯根破折」の場合
歯の見えている部分ではなく、根の部分が割れることを歯根破折といいます。
外傷や強い食いしばり、神経を取った歯の強度低下などが関係することがあります。
割れ方や範囲によっては、保存が難しい場合があります。
治療では、被せ物で補強する方法や、状態によって抜歯が検討される場合があります。

2-4 グラグラになった場合
外からの衝撃で歯がグラグラしている場合は、歯の脱臼や歯根の破折が疑われます。
レントゲン検査などで確認し、必要に応じて固定処置を行うことがあります。
放置せず、速やかに歯科医院へ相談しましょう。
2-5 根こそぎ抜けた場合
外傷によって歯が完全に抜けてしまうことがあります。
永久歯の場合、抜けた歯を適切に保存して早く受診できれば、再植できる可能性があります。
抜けた歯は乾燥させないことが大切です。
保存液や牛乳があれば浸して持参しましょう。
歯の根の部分はこすらず、強く洗わないようにしてください。
小児の場合、口の中に入れて保存すると誤飲の危険があるため避けましょう。
乳歯が抜けた場合は、自己判断で戻さず、歯科医院へ相談してください。

3.歯が欠けるのを防ぐ対策
3-1 正常な口内環境をキープしよう!
口の中では、歯の成分が溶け出す「脱灰」と、唾液の働きによって修復を助ける「再石灰化」が繰り返されています。
脱灰が進むと、エナメル質が弱くなり、歯が欠けやすくなることがあります。
むし歯予防
歯が欠ける原因を減らすためには、むし歯予防が大切です。
毎日の歯磨きに加えて、デンタルフロスや歯間ブラシを使い、歯垢をためないようにしましょう。
酸性食品に注意
酸性の飲食物を摂った後は、水で口をすすぐなどして、口の中に酸が長く残らないようにしましょう。
酸性の飲食物を頻繁に摂る習慣がある場合は、摂取方法を見直すことも大切です。
歯の再石灰化を促す
再石灰化には唾液が関係しています。
よく噛んで食べる、水分を取る、口の中を清潔に保つなど、唾液が働きやすい環境を整えましょう。
キシリトール配合ガムは、唾液の分泌を促す補助的な方法として活用できます。
カルシウムの摂取
バランスのよい食事は、全身の健康だけでなく、歯や口腔環境の維持にも大切です。
カルシウムを含む食品も含め、偏りのない食生活を心がけましょう。

3-2 外的な要因に注意する
歯ぎしりや食いしばり、スポーツ中の接触など、外からの力によって歯が欠けることがあります。
歯ぎしりや噛み締め
歯ぎしりや食いしばりには、ストレスや生活習慣が関係することがあります。
日中に食いしばっていることに気づいたら、上下の歯を離して力を抜きましょう。
睡眠中の歯ぎしりが疑われる場合は、歯科医院でマウスピースについて相談する方法があります。
スポーツ用マウスピース
接触の多いスポーツでは、スポーツ用マウスピースを使用することで、歯や口のけがを防ぐ助けになる場合があります。
競技の種類によっては装着が推奨または義務づけられていることもあります。
歯科医院で自分の歯に合ったものを作製してもらうこともできます。
4.まとめ
歯は、むし歯や酸蝕歯によって弱くなったり、歯ぎしりや外傷による強い力を受けたりすることで欠けることがあります。
歯が欠けた場合は、痛みがなくても歯科医院で確認してもらいましょう。
特に、
・強い痛みがある
・歯がグラグラしている
・歯が完全に抜けた
・欠けた範囲が大きい
・出血がある
といった場合は、早急な受診が必要です。
日頃からむし歯予防や酸蝕歯対策を行い、歯ぎしりやスポーツによる外傷が気になる場合は、歯科医院で相談しましょう。
【参考サイト】
・日本外傷歯学会
https://www.ja-dt.org/
・日本歯科医師会
https://www.jda.or.jp/
・厚生労働省 e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
・日本歯科保存学会
https://www.hozon.or.jp/
・日本スポーツ歯科医学会
https://kokuhoken.net/jasd/
2007年 第100回歯科医師国家試験合格
2007年 日本歯科大学 生命歯学部卒業
2008年 埼玉県羽生市 医療法人社団正匡会 木村歯科医院
歯科医師としてのホスピタリティの基礎を学ぶ。
2010年 埼玉県新座市 おぐら歯科医院
地域に密着した医院で地域医療に携わり、
小児から高齢者歯科まで治療を行う。
2011年 東京都文京区 後楽園デンタルオフィス
施設の訪問診療などにも携わる。
2015年 東京都港区 青山通り歯科 院長
現在に至る

執筆者:
歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。
