初期虫歯の特徴・治療方法をチェック!早期発見・早期治療の重要性

初期虫歯の特徴・治療方法をチェック!早期発見・早期治療の重要性

「虫歯=穴があいて黒くなった歯」と認識している人が多いですが、黒い穴が見えるのは「C2:象牙質齲蝕」と呼ばれる段階まで進行した虫歯です。初期虫歯は、見た目にはあまり変化がなく、「歯科検診で偶然発見された」というケースが多いです。

こちらの記事では、「CO:要観察歯(虫歯の一歩手前)」「C1:エナメル質齲蝕(軽度の虫歯)」といった初期虫歯の基礎知識をお届けすることにしました。初期虫歯のうちに歯医者さんを受診すれば、虫歯1本あたり1回の通院で済むことが多いです。ぜひ、虫歯の早期発見・早期治療を心がけ、負担の少ない歯科治療を受けてください。

この記事の目次

1.初期虫歯とは何か~虫歯の進行度は5段階で示す

虫歯には段階があり、基本的には「CO」「C1」「C2」「C3」「C4」の5段階で表現されます。まずは、5段階それぞれの特徴をまとめることにしましょう。

1-1 初期虫歯~「CO:要観察歯」

エナメル質の成分が溶けだすことを「脱灰」と言いますが、この脱灰が疑われる状態をCOと呼びます。「Questionable Cries under Observation」の略で「虫歯が疑われるため要観察」という意味になります。虫歯の穴が見当たらない歯で、以下の3つの条件のいずれかを満たしているときにCOと扱われます。

① 平滑面(歯の表面)が白濁したり、茶色く斑になったりしている
② 奥歯の咬合面(噛み合わせる面)の溝が茶色く変色している
③ 隣接面など確認の難しい箇所に、虫歯と疑わしい部分がある

これは「日本学校歯科医会」が定めているCOの基準です。今すぐに治療が必要な状態ではないものの、放っておくと本格的な虫歯になる恐れがある…という意味合いになります。ただ、「虫歯と疑わしい部分がある」という基準が含まれているので、「CO=まだ虫歯ではない」と油断するのは考え物です。感覚としては、「虫歯の一歩手前か、あるいは初期虫歯」と認識したほうが、正解に近いでしょう。

1-2 初期虫歯~「C1:エナメル質齲蝕」

エナメル質の表面に穴があいた状態です。エナメル質は2.0~2.5mmほどの厚みですが、まだ虫歯の穴はわずかで、エナメル質の範囲内に収まっています。

すでに自然修復は期待できませんので、虫歯を削って詰め物をします。基本的には、「コンポジットレジン」と呼ばれる歯科用プラスチック樹脂(白色)を充填するだけで済みます。コンポジットレジン充填なら、1回の通院で完了します。

ちなみに、エナメル質は痛みを感じません。そのため、麻酔なしで削ったとしても、治療中、痛むことはありません。C1の段階までなら、「治療中の痛み」を感じなくて済みますから、そういった意味でも、初期虫歯のうちに治すことが大切です。

1-3 進行虫歯~「C2:象牙質齲蝕」

虫歯がエナメル質を突破し、象牙質に及んだ段階です。C2になると、「冷たいもの」「甘いもの」がしみるといった症状が出てきます。象牙質を削るときには痛みを伴うので、ほとんどは麻酔を用いて治療する必要があります。このあたりから、「本格的な虫歯」という感覚になってきます。

1-4 進行虫歯~「C3:歯髄の仮性露出」

虫歯が歯髄(神経)に到達した段階です。歯髄炎を起こしているので、何もしなくてもズキズキと痛みます。この段階になると、ほとんどは神経を抜くことになります。神経を抜いた場合は、歯の内部を無菌化する治療(根管治療)も必要になってきます。この段階では、虫歯1本のために4~5回の通院を要します。

1-5 末期虫歯~「C4:残根」

神経が死んでしまい、すでに痛みさえ感じなくなった段階です。神経が死んだばかりなら歯を救えることもありますが、ほとんどは抜歯になります。

2.初期虫歯の治療法~COの段階での処置の仕方

「C1:エナメル質齲蝕」になっていれば、「虫歯を取りのぞいてレジンを詰める」という治療法になります。しかし、まだ穴があいていない「CO:要観察歯」の段階で見つかった場合、どのような処置をおこなうのでしょうか?

2-1 ブラッシング指導

COの段階であれば、まだ自然修復(再石灰化)を期待することができます。エナメル質の成分が溶けだした(脱灰)だけで、穴はあいていないからです。歯科医師・歯科衛生士によるブラッシング指導を受ければ、自然修復の確率は高まるでしょう。ただ、C1に進行したとき、すぐに手を打つ必要がありますので、忘れずに定期検診を受けるようにしてください。

2-2 フッ素塗布

歯の表面にフッ素(厳密には「フッ化物」)を塗ることで、エナメル質の再石灰化を促すことができます。フッ化物は、エナメル質の「酸に対する耐性」を高める作用があるので、今後の虫歯予防にも役立ちます。

2-3 初期虫歯用のペースト

歯の再石灰化に必要なミネラル(リン・カルシウム)のほか、口腔内を中性に近づける成分を配合したペーストがあります。歯みがきのあと、ペーストを歯の表面に塗るだけで作用します。フッ素配合の歯磨き粉と併用することで、さらに作用が強まります。

2-4 PMTC

PMTCは、歯科医師・歯科衛生士が専用の機器を用いて実施する口腔クリーニングです。正式名称では「プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング」といいます。虫歯・歯周病リスクを低減するために役立つので、COが虫歯に発展するのを防ぐ作用も十分に期待できるでしょう。

3.まとめ

「治療が痛そうだから、歯科医院は気が進まない」と考えている人はたくさんいます。だからこそ、初期虫歯のうちに歯医者さんを受診することが大切です。「CO:要観察歯」のうちに受診すれば歯を削る必要さえありませんし、「C1:エナメル質齲蝕」のうちに受診すれば治療で痛みを感じることはありません。初期虫歯のうちに治療をはじめれば、痛い思いをしなくてすみます。怖い思いをしないためにこそ、早期発見・早期治療を心がけるようにしましょう。

 

先生からのコメント

小さな虫歯ならレーザーで蒸散や、歯質の強化なども方法はあります。虫歯の深さはダイヤグデントというレーザー器具で計測して、再石灰化か、削って充填の区別をしています。歯医者さんで相談してみてください。

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執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

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