知覚過敏の人におすすめの歯磨き粉!痛みを抑えるメカニズムを解説

知覚過敏_歯磨き粉

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「冷たいもの・甘いもの」を食べると歯がしみる…という症状に悩んでいませんか? 虫歯でもないのに歯がしみるなら、「知覚過敏」の疑いがあります。「瞬間的に痛みが走り、すぐ消える」という痛み方をするようであれば、高い確率で知覚過敏だと思います。

もちろん、強い痛みを頻繁に感じる場合、早急に歯科医院を受診するべきです。しかし、軽度の知覚過敏なら、「セルフケアで症状が改善した」という人も珍しくありません。こちらの記事では、「知覚過敏の改善に役立つ歯磨き粉の成分」を紹介することにしました。ぜひ、知覚過敏のセルフケアに役立ててください。

1.知覚過敏の痛みを緩和!歯磨き粉のおすすめ成分

それでは、早速、「知覚過敏の痛みをやわらげる成分」を紹介したいと思います。以下に紹介する成分が含まれた歯磨き粉ならば、ある程度、知覚過敏の症状を軽減できるかもしれません。

この章では、ごく簡単な説明にとどめて、「それぞれの成分がどのように働くか」の詳細は、記事の後半で解説します。

1-1 硝酸カリウム

硝酸カリウムは、痛みが神経に伝わっていくのを抑える成分です。「冷たいもの・甘いもの」が触れても、神経が「刺激を受けて、脳に痛みを伝える」という働きをしなければ、痛みを感じることはありません。硝酸カリウムは、痛覚を感じにくくする成分です。

1-2 フッ化ナトリウム

フッ化ナトリウムは、歯の表面にある「エナメル質」を強化・再生する成分です。知覚過敏を起こすのは、「エナメル質が剥がれ、象牙質が露出した部分」です。そこで、エナメル質の再石灰化(再生)を促し、象牙質の露出を抑えるわけです。

1-3 乳酸アルミニウム

乳酸アルミニウムは、「刺激が伝わる通り道」を遮断する成分です。「冷たいもの・甘いもの」による刺激が神経まで伝わらないように、刺激の通り道を塞いでしまうわけです。刺激が伝わらなければ、痛みを感じることはなくなります。

2.メカニズムを解説!知覚過敏が痛む理由

「なぜ、歯磨き粉を変えるだけで知覚過敏の痛みが緩和されるのか」を知るためには、知覚過敏のメカニズムを理解する必要があります。そもそも、歯の表面に神経はありません。それなのに、表面に「冷たいもの・甘いもの」が触れただけで痛むなんて、なんだか不思議に思いませんか?

実のところ、まだ「知覚過敏が痛む理由」に関して、100%の客観的証明はなされていません。しかし、ほとんどすべての歯科医師が支持する有力な仮説は存在しています。「動水力学説」という仮説です。

知覚過敏が起こるのは「表面のエナメル質が剥がれて、象牙質が露出している場所」です。ただ、象牙質にも神経は通っていないので、これだけで「痛みを感じる理由説明」にはなりません。歯の神経があるのは、象牙質よりさらに内側の「歯髄」です。

しかし、象牙質の表面には小さな穴が無数に存在します。象牙質表面から歯髄に向かっており、歯の内外をつなげるトンネルのようになっています。この穴のことを「象牙細管」と呼びます。ただ、象牙細管はあまりに小さいので、「冷たい水」「甘い清涼飲料水」が通過することはできません。何も、「冷たいもの・甘いもの」が象牙細管を通って、歯髄に届いているわけではないのです。

問題なのは、象牙細管の中に入っている液体―「象牙細管内組織液」です。組織液が移動し、歯髄を刺激することが痛みの原因…と考えられているからです。「冷たいもの」が象牙質の表面に触れると、温度変化により組織液の体積が減ります。その結果、象牙細管内の圧力が下がり、歯髄に「引っ張られる力」がかかります。これが痛みの原因です。

同様に「甘いもの」が象牙質表面に当たると、浸透圧の関係で組織液が引っ張られます。すると、連鎖的に歯髄にも「引っ張られる力」が伝わり、痛みが生じるのです。「液体の動きが歯髄に伝わり、力がかかる」というメカニズムにより、「動水力学説」と呼ばれているわけです。

3.知覚過敏の痛みを緩和する3つの方法

実際、知覚過敏の治療は「動水力学説」に基づいておこなわれています。「動水力学説が正しい」と仮定した治療法で結果が出ていることも、動水力学説の支持者を増やす大きな理由になっているのです。

現在、知覚過敏の治療においては、動水力学説に基づき「組織液の動きが歯髄に伝わり、痛みが伝達されていくのを妨げる」という方向性が採用されています。当然ながら、「知覚過敏用の歯磨き粉」に関しても、動水力学説に基づいたメカニズムで開発されています。

それでは、知覚過敏の痛みを緩和する3つの方法を解説するとともに、知覚過敏の方におすすめの歯磨き粉を紹介したいと思います。

3-1 感覚を鈍麻させる方法

神経に「痛み刺激」が伝わるとき、細胞外から神経細胞内にナトリウムイオンが流入します。「痛み刺激」によって細胞膜にある「ナトリウムチャネル(ナトリウムイオンの通り道)」が開くからです。

痛みなどの神経伝達は、「ナトリウムイオン(Na+)流入」の繰り返しです。「神経細胞A(Na+多)」と「神経細胞B(Na+少)」が隣接していれば、「痛み刺激」により、神経細胞Aから神経細胞BにNa+が流入します。今度は「神経細胞B(Na+多)」から、隣接する「神経細胞C(Na+少)」にNa+が流入。次は神経細胞Cから、神経細胞Dへ…。これを繰り返して、痛みは伝わっていくのです。ごく簡単に表現すれば「神経伝達=Na+の移動」ということになります。

イオンは電荷を帯びているので、Na+の流入に伴い、細胞内はマイナス電位からプラス電位に変わります。これを繰り返すことで電気が流れていき、最終的に「痛みの情報」が脳に伝わるわけです。この電気を「活動電位」と呼んでいます。

そこで、感覚を鈍磨させる治療法では、「歯髄神経繊維の周囲におけるカリウムイオン(K+)濃度を上げる方法」を採ります。カリウムイオンには、ナトリウムイオンの移動による神経伝達を阻害する働きがあるからです。これは局所麻酔の作用(ナトリウムチャネルと結合して入口を塞ぎ、Na+の移動を妨げる)に似ています。「鈍麻」は、神経伝達を妨げて痛みを感じにくくするわけです。

◆感覚を鈍磨させる主な成分
硝酸カリウム

3-2 組織液を凝固させる方法

次は、もっとわかりやすいメカニズムです。痛みの原因は、「象牙細管内組織液の動きが歯髄に伝わること」でした。それなら、「組織液が動かなければ、痛みは生じない」と発想することができます。

組織液を凝固させてしまえば、「組織液が動くこと」「組織液の体積が変わること」をいずれも防ぐことが可能です。「凝固」は、組織液を固める治療方針になります。

◆組織液を凝固させる主な成分
グルタルアルデヒド

グルタルアルデヒドは毒性が強いので、歯磨き粉の成分としては使われていません。歯科医院では「5%グルタルアルデヒド(商品名:グルーマ・ディセンシタイザー)」を用いた知覚過敏治療をおこなえますが、近年はあまりおこなわれていません。

3-3 象牙細管の入口を封鎖する方法

これも、かなりシンプルなメカニズムです。象牙細管内の組織液が動くのは、象牙質表面に「冷たいもの・甘いもの」が触れるからでした。象牙細管の入口に触れるから、「内部の温度変化」「浸透圧の変化」が生じるわけです。それならば、象牙細管の入口にフタをして、封鎖してしまう…というのはどうでしょう?

象牙細管の入口が封鎖されていれば、もう象牙細管内部に影響が出ることはなさそうです。象牙細管内組織液が動くこともなく、歯髄に刺激が伝わることもないでしょう。「封鎖」は、象牙細管を塞ぐ治療方針です。

◆象牙細管を封鎖する主な成分
フッ化ナトリウム
フッ化ジアンミン銀
シュウ酸カルシウム
乳酸アルミニウム

4.まとめ

ほとんどの口腔トラブルは、歯科医院でしか対処できません。虫歯・歯周病をセルフケアで緩和するというのは、事実上、不可能です。しかし、知覚過敏だけは、軽症ならセルフケアでも対処できる可能性があります。

もし、軽度の知覚過敏に悩んでいるなら、まずは記事内で紹介した成分の入った歯磨き粉を試してみてはいかがでしょうか? ただし、なかなか改善しないようなら、一度、歯医者さんを受診して診断を仰ぐことをおすすめします。

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