舌苔の正しい取り方は?口臭予防に役立つ舌ケアを解説

舌苔の正しい取り方は?口臭予防に役立つ舌ケアを解説

舌の表面に付着する白っぽいものを「舌苔(ぜったい)」といいます。

舌苔は、剥がれ落ちた口腔粘膜の細胞、細菌、食べ物の残りなどが舌の表面に付着したものです。舌苔にいる細菌がタンパク質やアミノ酸を分解すると、揮発性硫黄化合物(VSC)と呼ばれる物質が作られ、口臭の原因になることがあります。

ただし、舌を強くゴシゴシ磨くことは避けましょう。必要以上に舌をこすると、舌の粘膜を傷つける可能性があります。

舌苔の付き方には個人差があり、体調や時間帯によっても変化します。すべて取り除こうとせず、舌を傷つけない範囲で適切に清掃することが大切です。

この記事では、舌苔の正しい取り方と、口臭予防のために日常生活で心がけたいオーラルケアについて解説します。

この記事の目次

1.舌磨きのやり過ぎは要注意!? 舌苔の正しい取り方

舌苔は口臭の主な原因の一つです。

口腔内の細菌は、舌苔に含まれるタンパク質やアミノ酸などを分解し、揮発性硫黄化合物(VSC)を作ります。VSCは、口臭を生じさせる代表的な物質です。

そのため、舌苔が厚く付着している場合は、歯磨きに加えて舌清掃を行うことで生理的口臭の予防につながります。

一方、舌苔の量には個人差があります。

健康な方でも起床時や空腹時などには舌苔が増えることがあり、舌の表面が多少白く見えること自体が直ちに異常とは限りません。

「完全に白いものがなくなるまで磨く」のではなく、目立つ舌苔をやさしく取り除く程度にしましょう。

1-1 舌を傷つけないようにする

舌の表面には舌乳頭と呼ばれる小さな突起があり、その周囲に舌苔が付着します。

強い力で何度も舌をこすると、舌粘膜に細かな傷が付いたり、ヒリヒリした痛みが出たりすることがあります。

日本歯科医師会では、舌清掃によって舌に傷が付く可能性があるため、できるだけ弱い力で清掃することが大切だとしています。

また、舌清掃は何度も繰り返す必要はありません。

厚生労働省e-ヘルスネットでは、舌を傷つけないため、舌清掃は起床時の1日1回でよいとしています。舌に傷や潰瘍がある場合は、舌清掃を中止します。

次のような症状がある場合は、舌磨きを続けず歯科医院や歯科口腔外科へ相談しましょう。

・舌を磨くと痛い
・出血する
・ヒリヒリ感が続く
・舌に潰瘍がある
・白い部分をこすっても取れない
・赤みや腫れが続いている
・舌の見た目の変化が長く続いている

舌が白く見える原因は舌苔だけではありません。

白い病変が取れない場合には白板症など、白い付着物と痛みがある場合には口腔カンジダ症など、別の病気が隠れていることがあります。

1-2 舌ブラシを使ってやさしく清掃する

舌苔を清掃するときは、専用の舌ブラシを使用すると便利です。

厚生労働省e-ヘルスネットでは、毛先のやわらかい小児用歯ブラシなども使用できるとしていますが、専用の舌ブラシを使う方が効果的としています。

舌清掃は、次の手順で行います。

①鏡を見ながら舌を前へ出す
まず、舌を前へ出し、舌苔がどこに付着しているか確認します。
舌苔は舌の奥側に多く付着することがあります。

②舌ブラシを舌の奥へ軽く当てる
鏡で見える範囲の奥側へ舌ブラシを軽く当てます。
無理に喉の近くまで入れる必要はありません。吐き気が出る場合は、ブラシを当てる位置を手前にします。

③奥から手前へゆっくり動かす
舌ブラシは、舌の奥から手前へ向かって一方向に動かします。
前後に何度もゴシゴシこすらないようにしましょう。
力を入れ過ぎず、舌の表面をなでる程度の感覚で行います。

④ブラシに付いた汚れを水で洗う
数回動かしたら、ブラシに付着した舌苔を流水で洗い流します。
必要に応じて同じ動作を繰り返しますが、白い部分を完全になくそうとして何度もこする必要はありません。
舌が痛む、赤くなる、出血するといった場合は、その日の舌清掃を中止してください。
口腔内の乾燥が強い方では、口腔用の保湿ジェルやスプレーなどを使用すると乾燥感を和らげられる場合があります。

ただし、保湿剤そのものが舌苔を除去するわけではありません。口腔乾燥への補助的なケアとして使用します。

1-3 食べ物だけで舌苔を取ろうとしない

「パイナップルを食べると舌苔が取れる」と紹介されることがあります。

パイナップルには、ブロメラインと呼ばれるタンパク質分解酵素が含まれています。

しかし、食後にパイナップルを食べることを、舌苔の除去や口臭治療として一般的に推奨できる十分な根拠は確認できません。

パイナップルを大量に食べると、酸や酵素などの影響で舌や口腔粘膜に刺激や痛みを感じることもあります。

キウイフルーツ、パパイア、イチジクなどについても、「食べれば舌苔が取れる」という目的で積極的に摂取する必要はありません。

口臭対策として舌苔を減らしたい場合は、果物による「化学的な除去」を期待するのではなく、舌ブラシを適切に使用する方法を基本としましょう。

2.舌苔が増えにくい口腔環境を保つには?

舌苔の付着量には、咀嚼や嚥下、舌の運動、唾液分泌などが関係すると考えられています。

厚生労働省e-ヘルスネットでは、経口摂取が困難な方や絶食時などに舌苔が増える傾向があることから、これらの口腔機能との関連を示しています。

舌清掃だけに頼らず、口腔内が乾燥し過ぎないようにし、食事や会話などで口を適切に動かすことも大切です。

2-1 口腔乾燥に注意する

唾液には、口腔内の食べ物や汚れを洗い流したり、細菌の増殖を抑えたり、口腔粘膜を保護したりする働きがあります。

唾液の分泌が低下すると、口の中が乾燥して口臭が強くなる場合があります。

口腔乾燥の原因には、次のようなものがあります。

・一部の薬の副作用
・シェーグレン症候群や糖尿病などの病気
・脱水
・緊張やストレス
・口呼吸
・唾液腺の病気

口の乾燥が気になる場合は、原因に応じて対策を行います。

◆鼻呼吸できる状態を整える

口呼吸をしていると、口腔内の水分が蒸発しやすくなります。

鼻が問題なく通る方は、安静時には自然に口を閉じ、鼻で呼吸することを意識しましょう。

ただし、鼻炎や副鼻腔炎などで鼻が詰まっている場合は、無理に鼻呼吸を続けるのではなく、耳鼻咽喉科などで原因を確認します。

睡眠中に口を閉じる目的で「口閉じテープ」などを使用する方法もありますが、鼻づまりや睡眠時無呼吸などがある方では呼吸を妨げる可能性があります。自己判断で使用することは避けましょう。

◆食事をよく噛む

食べ物を噛む刺激によって、食事中の唾液分泌は増加します。

そのため、食事を急いで飲み込まず、無理のない範囲でよく噛むことを心がけましょう。舌苔の付着は咀嚼や嚥下、舌運動、唾液分泌と関係すると考えられています。

ただし、唾液を増やすために特別に硬い食品を食べる必要はありません。

歯や顎が痛む方、飲み込む力が低下している方などは、無理に硬い食品を食べないでください。

口の乾燥が強い場合は、口腔用保湿剤などを利用できることもあります。

乾燥が長期間続く、水を飲んでも改善しない、舌が痛む、食事や会話に支障があるといった場合は、歯科医院や歯科口腔外科へ相談しましょう。

2-2 舌や口の機能を保つ

舌は、食べる、飲み込む、話すといった動作で日常的に使われています。

口腔機能が低下すると、舌や唇の動き、咀嚼、嚥下などにも変化が生じる場合があります。

厚生労働省e-ヘルスネットでは、口腔機能を維持するため、食事や会話によって口を動かすことや、必要に応じて口腔体操などを行うことを紹介しています。

ただし、「舌の筋力が弱くなると舌が下がり、口蓋との摩擦が減って舌苔が増える」と一律にはいえません。

舌苔を防ぐために、自己流で強い舌の筋力トレーニングを行う必要もありません。

普段から次のことを心がけましょう。

・食事を無理のない範囲でよく噛む
・会話などで口や舌を動かす
・口腔内の乾燥に注意する
・歯と歯の間を含めて適切に歯を清掃する
・入れ歯を使用している場合は毎日清掃する
・定期的に歯科医院で口腔内を確認してもらう

高齢になり、「硬い物が食べにくくなった」「むせることが増えた」「舌が動かしにくい」「食べ物が口に残る」といった変化がみられる場合は、口腔機能低下症などの評価が必要になることがあります。

3.まとめ

舌苔は、剥がれ落ちた口腔粘膜の細胞、細菌、食物残渣などが舌の表面に付着したものです。

舌苔では、細菌によってタンパク質などが分解され、口臭の原因となる揮発性硫黄化合物(VSC)が作られるため、舌苔が厚く付着している場合は舌清掃が口臭予防に役立ちます。

ただし、舌を強く何度も磨く必要はありません。

舌清掃の基本は次のとおりです。

・舌ブラシなどを使用する
・舌の奥から手前へ一方向に動かす
・力を入れ過ぎない
・1日1回程度にする
・舌に傷や潰瘍があるときは中止する

厚生労働省e-ヘルスネットでも、舌清掃は起床時の1日1回でよいとしており、過度な清掃は舌粘膜を傷つける可能性があるとしています。

また、パイナップルなどの果物を食べることで舌苔を除去し、口臭を治療できるとする十分な根拠は確認できません。

舌苔のケアでは、舌清掃だけでなく、口腔乾燥を防ぎ、日常の食事や会話で口の機能を保つことも大切です。

口臭は舌苔だけで起こるものではありません。

歯周病、むし歯、歯垢や歯石、唾液分泌の低下、入れ歯の清掃不良なども原因になる場合があります。

舌を清掃しても口臭が続く場合は、舌をさらに強く磨くのではなく、歯科医院で原因を確認しましょう。

また、舌の白い部分がこすっても取れない、痛みや潰瘍がある、赤みやヒリヒリ感が続くといった場合は、舌苔以外の口腔粘膜疾患が隠れている可能性があります。歯科医院や歯科口腔外科へ相談してください。

 

【参考サイト】
・厚生労働省 e-ヘルスネット「口臭の治療・予防」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-07-002.html

・厚生労働省 e-ヘルスネット「口臭の原因・実態」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-07-001.html

・公益社団法人 日本歯科医師会「口臭―舌の清掃の方法について教えてください」
https://www.jda.or.jp/park/trouble/index03_06.html

・公益社団法人 日本歯科医師会「口臭―舌清掃は安全ですか」
https://www.jda.or.jp/park/trouble/index03_07.html

・公益社団法人 日本歯科医師会「お口のなんでも相談 口臭」
https://www.jda.or.jp/consultation/vol-32.html

・公益社団法人 日本口腔外科学会「口臭がひどい」
https://www.jsoms.or.jp/public/soudan/kouku/kousyu/

・公益社団法人 日本口腔外科学会「口の中が乾燥する」
https://www.jsoms.or.jp/public/soudan/kouku/kanso/

・公益社団法人 日本口腔外科学会「口腔粘膜疾患」
https://www.jsoms.or.jp/public/disease/setumei_koku/

・厚生労働省 e-ヘルスネット「口腔機能の健康への影響」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-08-001

・一般社団法人 日本老年歯科医学会「口腔機能低下症を診断しましょう」
https://www.gerodontology.jp/committee/001190.shtml

貝塚浩二 先生監修
先生からのコメント

「エピオス」というたんぱく質分解水がありまして、もちろん飲んでも平気です。舌苔だけでなく、口腔全体の殺菌に使用します。当医院でも殺菌などに使用しています。

医院情報
住所:東京都葛飾区お花茶屋2-5-16
電話:03-3601-7051
執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。

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