口唇ヘルペスの症状まとめ!初めての発症と再発例で重症度が違う?

口唇ヘルペス_症状

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唇の周囲に水ぶくれが発生する病気―「口唇ヘルペス」をご存じですか? 口唇ヘルペスは「初めて発症したとき」と「再発したとき」で大きく症状が変わる病気です。

こちらの記事では、初発・再発を含めて「口唇ヘルペスの一般的な症状」を解説することにしました。「口唇ヘルペスの原因」「一般的な治療方針」も併せて掲載しているので、ぜひ、参考にしてください。

1.口唇ヘルペスの一般的な症状は…?

それでは、まず「口唇ヘルペスの症状」についてまとめることにしましょう。「初めて発症したとき」には強い症状をきたす一方、「再発のとき」はかなり穏やかな症状になるのが普通です。それぞれの違いも含めて、まずは「口唇ヘルペスはどういうものか」を理解してください。

1-1 口唇ヘルペスを初めて発症したときの症状

口唇ヘルペスはウイルス感染症であり、原因となるウイルスは「単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)」です。

人間の免疫システムには「自然免疫」と「獲得免疫」の2種類があります。自然免疫は「異物である病原体を無差別に排除する免疫機構」であり、獲得免疫は「感染したことのある病原体を攻撃する抗体をつくり、効率的に排除する免疫機構」です。初めて感染したときには、獲得免疫が機能しませんから、発症した場合は重症化しやすくなります。

初感染で発症すると、唇の周囲だけでなく、口内・喉にまで大量の水疱(水ぶくれ)が発生する場合があります。口腔内に水疱ができる症状を指して、「ヘルペス性口内炎」と呼びます。口腔内の水疱は強い痛みを伴うので、飲食が困難になります。多くは発熱・頭痛・倦怠感などの全身症状を伴い、重症例では40℃前後の高熱を出すこともあります。

稀(まれ)なケースにはなりますが、ヘルペスウイルスが上気道(鼻粘膜)に感染すると、嗅神経を経由して側頭葉(脳)に及ぶこともあります。脳が炎症を起こした場合、発熱・嘔吐・頭痛・痙攣に加え、人格変化・異常行動・幻視・せん妄・意識障害などの劇症をきたします。この症状を「ヘルペス性脳炎」といいます。生命にかかわる症状で、年間300~400人が発症し、10%前後が命を落としています。

ちなみに、単純ヘルペスウイルスに感染したからといって、全員が口唇ヘルペスを発症するわけではありません。幼児期は自然免疫の力が強いので、幼児期に初感染した場合は発症しないことも多いです。この場合、無症状のまま抗体を獲得します。結果、生涯にわたり、ヘルペスが劇症化することはほとんどなくなります。口唇ヘルペスは、大人になってから初感染すると重症化しやすい傾向があるのです。

1-2 口唇ヘルペスが再発したときの症状

単純ヘルペスウイルス1型は、いったん感染すると体内から除去することができません。症状が治まっても、三叉神経節というところに潜伏を続けます。要するに、一度でも単純ヘルペスウイルスに感染すると、生涯、ウイルスとの共存を強いられるのです。

さて、三叉神経節に潜伏しているヘルペスウイルスは、体力が落ちているときなどに再度、活動をはじめます。三叉神経から上顎神経・下顎神経に移動してきて、唇の周囲にある細胞へと感染するわけです。風邪をひいたときに再発する傾向があることから、口唇ヘルペスのことを「風邪の華」と呼ぶこともあります。

再発した口唇ヘルペスは、ほとんどの場合、唇周辺の症状だけにとどまります。全身症状を伴うことは、ほとんどありません。口唇周囲の水疱のほか、びらん(表面が荒れること)・口角炎(唇の端が炎症を起こすこと)・腫れなどの症状をきたすことが多いです。

口唇ヘルペスが再発するときには、たいてい、前触れがあります。唇周辺の皮膚が「ピリピリ・チクチクする」と感じる人が多いようです。何度か再発を繰り返している人は、前触れとなる前駆症状で「もうすぐ口唇ヘルペスが再発する」とわかります。

2.口唇ヘルペスの症状を抑える!一般的な治療法

口唇ヘルペスの症状が出た場合、どのように対処すれば良いのでしょうか? この章では、口唇ヘルペスの一般的な治療法を解説したいと思います。「初感染の症状」と「再発の症状」では対処方法が変わってくるので、それぞれ説明することにしましょう。

2-1 口唇ヘルペスを初めて発症したときの治療法

初感染で症状が出たときは、重篤化しやすいので医療機関を受診してください。自然治癒することも多いですが、医療機関を受診したほうが早く治ります。全身症状が強く出ている場合は、総合病院の内科を受診するのが妥当です。

ウイルス感染症なので、治療には抗ウイルス薬を用います。抗ウイルス薬には外用薬・点滴・内服薬がありますが、初めて発症した口唇ヘルペスには内服薬を用いるのが普通です。ただし、重症例では点滴が選択されます。

ヘルペスウイルスに有効な内服薬としては、「アシクロビル(商品名:ゾビラックス)」「バラシクロビル塩酸塩(商品名:バルトレックス)」「ファムシクロビル(商品名:ファムビル)」が知られています。ヘルペスウイルスの増殖を抑え、治癒を早める作用があります。いずれも作用機序は同じです。

アシクロビル・バラシクロビル塩酸塩・ファムシクロビルは、いずれも「DNAポリメラーゼ阻害薬」と呼ばれる薬です。ヘルペスウイルスは細胞を「ウイルス感染細胞」に変えて、「感染細胞に自身の複製を作らせる」という方法で増殖します。そこで、ヘルペスウイルスのDNAを複製するのに必要不可欠な酵素―「DNAポリメラーゼ」の働きを阻害する…という方法が功を奏するわけです。

ただ、DNAポリメラーゼ阻害薬には耐性化の問題があり、アシクロビル・バラシクロビル塩酸塩が奏効しないヘルペスウイルスが出てきました。そこで、DNAが分裂するときの分岐点となる「ヘリカーゼ・プライマーゼ複合体」を阻害する「ヘリカーゼ・プライマーゼ阻害薬」の治験が進められてきました。

一応、2017年7月にヘリカーゼ・プライマーゼ阻害薬―アメナメビル(商品名:アメナリーフ)が承認されました。ただ、アメナメビルの適応症は「帯状疱疹」のみとなっており、口唇ヘルペスに代表される単純疱疹は適応外です。帯状疱疹の原因ウイルスは「水痘・帯状疱疹ウイルス」といって、ヘルペスウイルスの仲間です。今後、アメナメビルが単純疱疹に適応拡大されるかどうか…、気になるところですね。

2-2 口唇ヘルペスが再発したときの治療法

再発の軽症例ならば、医療機関を受診せず、自宅で療養することも可能です。抗ウイルス薬のうち、外用薬に関しては薬局・薬店で市販されています。アシクロビルを主成分とする「アクチビア」「ヘルペシア」、ビダラビンを主成分とする「アラセナ」などが、ヘルペスウイルスに有効な市販薬です。いずれも第一類医薬品なので、薬剤師が常駐している薬局・薬店で探してみてください。

ただし、「数日で症状が軽快しない場合」「水疱の数が多く、重症化の予兆が感じられる場合」は迷わず医療機関を受診するようにしましょう。

3.まとめ

口唇ヘルペスは皮膚科のほか、一部の歯科医院(歯科口腔外科)でも診療を受けることができます。「なぜ、皮膚の症状で歯医者さんに…?」と不思議に思う人もいるかもしれませんね。

世間一般では「歯医者さん=虫歯を治すところ」と捉えられています。しかし、診療科目として「歯科口腔外科」をかかげている歯医者さんなら、歯茎・舌(厳密には舌の先端側2/3)・唇など「口腔全体」を診療対象としています。いわゆる「町の歯医者さん」の中にも、歯科口腔外科に対応できるところは少なからず、存在しているのです。

以上から、口唇ヘルペスの症状が疑われる場合、最寄りの歯科口腔外科に相談するのも一つの選択肢です。

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