歯茎のできものが心配…!口内炎・歯肉腫の症状&治療法を解説

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歯茎に「できもの」を見つけたとき、どうしていますか? 1週間くらいなら、「しばらく経てば治るはず」と経過観察するかもしれません。でも、1~2週間が経過しても改善しなかったら…?痛みがあるなら、2週間以上も耐えるのは難しいと思います。または、痛みがなくても「口腔癌などの、怖い病気ではないか」と不安を感じるかもしれません。

こちらの記事では「歯茎に生じるできもの」に焦点をあてて、「主な原因・症状・治療法」をまとめることにしました。「できもの」の正体を知りたいときに、医療機関を受診するかどうか悩んでいるときに、ぜひ、お役立てください。

目次

1.歯茎の「できもの」は口内炎…?
1-1 アフタ性口内炎の症状・治療法
1-2 カタル性口内炎の症状・治療法
1-3 カンジダ性口内炎の症状・治療法
1-4 ヘルペス性口内炎の症状・治療法

2.口内炎以外の「歯茎のできもの」
2-1 エプーリス(限局性歯肉腫)
2-2 口腔白板症
2-3 紅板症
2-4 歯肉癌
2-5 下顎歯肉癌
2-6 上顎歯肉癌

3.虫歯が原因で「歯茎のできもの」ができる?
3-1 サイナストラクトとは…?
3-2 サイナストラクトの治療法

4.まとめ

 

1.歯茎の「できもの」は口内炎…?

口腔内に「できもの」を見つけたとき、最初に思いつく原因は口内炎だと思います。そこで、まずは「歯茎に発生する口内炎の種類」を解説することにしましょう。いずれかの特徴に合致しているなら、あなたの口腔内にある「できもの」は口内炎である確率が高いです。

1-1 アフタ性口内炎

世間一般で「口内炎」という言葉を使った場合、多くは「アフタ性口内炎」を意味しています。黄白色~灰白色の窪んだ「できもの」で、大きさは2~6mmの範囲内になることが多いです。白い部分と周囲の境界線ははっきりしています。単発で発生することもありますが、3個くらい同時に発生することもあります。物理的刺激のほか、「辛味・酸味・塩味」などの刺激に対して痛みを覚えます。

発症メカニズムが明確になっているわけではありませんが、発症リスクを増大する要因がいくつか知られています。「疲労」「ストレス」「睡眠不足」などの体調不良に、以下の要素が加わるとアフタ性口内炎を発症する確率が増大すると考えられています。

口腔乾燥症(ドライマウス)
ビタミンB群の欠乏
鉄分の欠乏
口腔粘膜への慢性的刺激
口腔内の不衛生

「口腔粘膜への慢性的刺激」というのは、「割れて鋭利になっている歯の存在」「突起のある詰め物・かぶせ物」などで、歯茎の同じ場所に物理的刺激が繰り返されること…などを指します。総合すると「体調不良」「栄養不良」「口腔環境の不良」「物理的刺激」がアフタ性口内炎のリスクファクターになるわけです。

アフタ性口内炎の治療法

アフタ性口内炎ならば、特別な治療をしなくても1週間程度で自然治癒するのが普通です。どんなに遅くとも、2週間以内には改善するでしょう。

医療機関を受診した場合、治癒を早めるために「ステロイド剤(副腎皮質ホルモン剤)」を処方されることが多いです。また、ビタミンB群の欠乏が疑われる場合は「ビタミン剤の投与」、補綴物(詰め物・かぶせ物・入れ歯)による物理的刺激が疑われる場合は「補綴物の調整」をおこないます。

あまりに治りが遅いときや、同じ部位に再発を繰り返すときは、「レーザー治療器で患部を焼く」という選択肢もあります。

1-2 カタル性口内炎

アフタ性口内炎ほどではありませんが、こちらも頻繁に見かける口内炎です。歯茎・頬粘膜などに赤い斑点状の「できもの」が現れ、周囲が赤く腫れることが多いです。赤い病変と周囲の境界線はぼやけています。痛みはそれほど強くありませんが、腫れている部位に熱感(ヒリヒリと熱い感覚)を訴える人がいます。そのほか、「口臭の悪化」「粘性の強い唾液の大量分泌」「味覚を感じにくくなる」といった症状をきたすケースもあるようです。

疲労・睡眠不足などの体調不良に「物理的刺激」「口腔内の不衛生」といった要因が加わると、カタル性口内炎の発症率が増大します。また、矯正器具・入れ歯が合っていない場合、治療器具の物理的刺激によってカタル性口内炎を起こす場合があります。物理的要因で発症することから、「単純性口内炎」と呼ぶこともあります。

カタル性口内炎の治療法

通常、カタル性口内炎は1週間~10日で自然治癒します。口腔内が不衛生だと治りにくくなるので、口腔内を衛生的に保ちましょう。低刺激のうがい薬を用いると良いでしょう。クロルヘキシジン(商品名:コンクール)、ポビドンヨード(商品名:イソジン)などのうがい薬がおすすめです。アルコールが大量に入った洗口液は、刺激が強すぎて炎症を促進することもあるのでNGです。

医療機関を受診した場合、ステロイド剤などの外用薬で対症療法をおこないます。トリアムシノロンアセトニド(商品名:ケナログ)を処方されることが多いようです。

1-3 カンジダ性口内炎

カンジダ性口内炎は、入れ歯を使用している高齢者によく見られる口内炎です。外見的には「できもの」というより、白い苔状の膜が張ったように見えます。「苔状の白い膜」はガーゼなどでこするとはがれます。たいてい、白い膜をはがした部位には発赤・びらん(表面が窪み、荒れた病変)が見られます。

原因は、カンジダ菌と呼ばれる真菌(カビ)です。もともとカンジダ菌は、口腔内に棲んでいる常在菌です。健康な人であれば、そう簡単に感染することはありません。しかし、入れ歯をきちんと洗浄せずに使用していると、入れ歯の内部でカンジダ菌が増殖することがあります。高齢者は入れ歯を使用する人が多く、さらに免疫力も低下しがちです。だから、入れ歯を使用する高齢者にカンジダ性口内炎が散見されるわけです。実際、白い苔状の病変は、入れ歯が接触していた部分の歯茎に好発します。

カンジダ性口内炎の治療法

カンジダ性口内炎は真菌感染症ですから、抗真菌剤による投薬治療をおこないます。カビは植物性の細胞膜を持っているので、植物性細胞膜を破壊する性質を有した「アゾール系抗真菌薬」が主に使われます。

逆に、真菌に対してNGなのが、抗生物質です。抗生物質は細菌を殺菌する(あるいは、増殖を抑える)一方で、真菌には効果がありません。真菌と勢力争いをしているライバルを倒してしまうので、むしろ真菌の増殖を促してしまいます。同様に、免疫力を抑えてしまう「ステロイド系抗炎症薬」も、真菌感染症を悪化させます。

1-4 ヘルペス性口内炎

ヘルペス性口内炎は、ウイルス感染症の症状として現れるウイルス性口内炎の1つです。原因となるウイルスは、「単純ヘルペスウイルス1型」です。歯茎・頬粘膜などに、痛みを伴う水疱(水ぶくれ)が生じます。発熱・倦怠感などの全身症状が出ることはめったにありません。

「ウイルスが体内に入ったときに発症する」と誤解している人も多いですが、日本人の7~8割はすでに単純ヘルペスウイルス1型に感染しています。現代医学では単純ヘルペスウイルスを体内から根絶できません。いったん感染すれば、ずっと体内の三叉神経節にウイルスが残存することになります。風邪など、体調不良で免疫力が低下したとき、三叉神経節のヘルペスウイルスが暴れ出し、ヘルペス性口内炎などの症状をもたらすのです。

ヘルペス性口内炎の治療法

ウイルス感染症なので、抗ウイルス薬による治療をおこないます。ただ、前述したとおり、体内からヘルペスウイルスを根絶する薬はありません。抗ウイルス薬の効能は、「ヘルペスウイルスの増殖を抑えること」にとどまります。

単純ヘルペスウイルスに使われる抗ウイルス薬としては、「アシクロビル(商品名:ゾビラックスなど)」「塩酸バラシクロビル(商品名:バルトレックス)」「ビダラビン(商品名:アラセナ)」が知られています。

2.危険な病変も存在…!口内炎以外の「歯茎のできもの」

歯茎の「できもの」が、すべて口内炎とは限りません。口内炎に分類されない「できもの」も存在しています。口内炎と異なり、簡単に自然治癒しない病変が多いので、あまり楽観はできません。

2-1 エプーリス(限局性歯肉腫)

エプーリスは「歯茎にできる良性腫瘤」です。「割れて鋭利な部分のある歯」「適合していない詰め物・かぶせ物」などによる慢性的な物理刺激が要因となり、歯茎の一部が大きく膨れ上がることがあります。このような「良性のできもの」を「エプーリス」または「限局性歯肉腫」と呼んでいます。

悪性腫瘍と異なり、ほかの組織に浸潤したり、転移したり…といった危険はありません。ただ、大きくなると邪魔になりますし、歯並びに悪影響を与えることもあります。物理刺激が原因のエプーリスは自然治癒しないので、外科的に切除するのが普通です。

妊娠中、ホルモンバランスの変化によって生じる「妊娠性エプーリス」という種類も存在します。妊娠性エプーリスは、出産後に自然治癒することもあるので、多くは経過観察となります。

2-2 口腔白板症

歯茎・頬粘膜・舌などの一部が白く変色して盛りあがってきた場合、その「できもの」は白板症かもしれません。表面の質感は多様で、「ざらざらしているもの」「なめらかなもの」「デコボコしているもの」などが存在します。

白板症は痛みがありませんが、自然治癒は期待できず、むしろ、だんだん大きくなるのが普通です。そのため、アフタ性口内炎との識別はそれほど難しくありません。アフタ性口内炎は痛みを伴い、1~2週間で治癒するからです。

さて、白板症は「前癌病変」といって、癌に変わる恐れがあります。白板症のうち、3~5%は口腔癌に変化する…と言われているのです。歯茎に「白い病変」を見つけたら、2週間、注視してください。治る気配がなければ白板症が疑われるので、歯科口腔外科を受診するようにしましょう。

2-3 紅板症

歯茎の一部が赤く盛りあがっている場合、その「できもの」は紅板症かもしれません。表面はなめらかですが、赤くなっている範囲内に潰瘍が見られる場合もあります。紅板症が発生するときは「まず粘膜が薄くなって、それから赤く盛りあがる」という過程をたどります。粘膜が薄くなる段階で刺激痛を感じることが多いので、「刺激痛のあった箇所が赤く盛りあがった」というケースでは、紅板症が強く疑われます。

紅板症は「前癌病変」の中でも特に癌化リスクが高く、約半数が口腔癌に変わると考えられています。紅板症と思しき「できもの」を見つけたら、早急に歯科口腔外科を受診するようにしてください。生検(組織を切り取って検査すること)した時点で、「すでに上皮内癌に移行している」というケースも多いです。ただ、上皮内癌は「腫瘍が粘膜表面にとどまっている状態」であり、「初期中の初期」に相当します。仮に上皮内癌だった場合でも、外科切除すれば生命予後に支障はありません。

「紅板症」「上皮内癌」の段階で発見できれば、根治することは容易です。怖がることなく、むしろ「危険な状態になる前に見つかって良かった」とポジティブに捉えるようにしてください。

2-4 歯肉癌

歯茎に「白く不定形のできもの」「腫れ・しこり」などはありませんか? 2週間以上の経過観察を経ても治癒しない「口内炎のようなできもの」は歯肉癌の恐れもあります。奥歯の歯茎に発生する傾向があるので、奥歯付近に「治る気配のないできもの」があるなら、要注意です。

《歯肉癌の初期症状》
白く不定形のできもの
2週間以上、治らない腫れ・しこり
歯茎の一部が痺れている
歯がグラグラする
入れ歯が急に合わなくなる

歯肉癌は上顎にできることもあれば、下顎にできることもあります。下顎歯肉癌は口腔癌全体の11.7%、上顎歯肉癌は同じく6.0%を占めます。

下顎歯肉癌

化学療法・放射線治療があまり効果を発揮しないので、外科手術が第一選択です。腫瘍が歯肉にとどまっていれば「歯肉切除」で根治できますが、残念ながら、早い段階で歯槽骨・下顎骨に浸潤することが多いです。

「腫瘍が骨に浸潤している」または「浸潤の疑いがある」という場合、下顎骨を切除することになります。腫瘍の浸潤が歯槽骨までにとどまっていれば、「下顎辺縁切除」で根治を目指します。辺縁切除は「下顎骨の上部をえぐるように切除する術式」です。下顎を完全に分断するわけではありません。

腫瘍が下顎骨の深くまで浸潤していれば、「下顎区域切除」になります。下顎の一部を切除するので、顎の左右の連結は失われます。下顎骨が分断されるわけです。

下顎骨の広範囲にわたって浸潤が見られる場合は、「下顎亜全摘出」または「下顎全摘出」となります。下顎亜全摘出は下顎骨の半分以上、全摘出は全部を摘出する手術です。下顎骨・歯が失われるので、咀嚼機能を維持できません。流動食の生活となり、患者さんのQOLは著しく低下します。

上顎歯肉癌

上顎歯肉癌では、腫瘍が上部(頭のほうに)浸潤していきます。そのため、下顎歯肉癌より生命予後が悪く、手術後のQOL低下も大きくなる傾向です。QOL低下を最低限にするため、放射線治療と「超選択的動注(腫瘍に栄養供給している血管に抗癌剤を入れる治療)」で腫瘍を縮小してから外科手術をおこないます。

腫瘍が歯肉粘膜にとどまっているなら「歯肉切除」で根治できますが、骨に浸潤している(または浸潤が疑われる)場合は上顎骨を切除範囲に含めます。浸潤の疑いがあるか、少々の浸潤であれば、「上顎部分切除」で根治を試みます。

腫瘍が大きくなっている場合は「上顎亜全摘出」の適応になることが多いです。眼窩底を温存して、上顎骨全体を摘出します。

腫瘍が上顎洞(鼻の横にある空洞=副鼻腔の1つ)の奥深くに及んでいる場合、切除範囲はさらに大きくなります。進行度に応じて、「上顎全摘出」または「上顎拡大全摘出」が選択されます。上顎全摘出では、眼窩底を含めて上顎骨すべてを摘出し、眼窩底を再建する術式をおこないます。上顎拡大全摘出になると、眼窩内容物(眼球を含む)をすべて摘出することになり、QOLは著しく低下することになります。

3.虫歯が原因で「歯茎のできもの」が…!?「サイナストラクト」

歯茎に「白いできもの」ができて膿が出ている場合、「サイナストラクト」を疑ってください。「白いできもの」の周囲に「大きな虫歯」「治療済みの歯」はありませんか? 虫歯(治療済みの歯)の近くに膿を伴う腫れがあるなら、十中八九、歯に原因があります。

3-1 サイナストラクトとは…?

虫歯が進行すると、やがて虫歯菌は神経に達し、激しい痛みが生じます。この状態を「歯髄炎」と呼びます。「歯の神経」は、正式名称を「歯髄」というからです。さて、歯髄炎の段階を通りこすと、歯はどうなるでしょうか? 歯の内部が感染して、虫歯菌が根元のほうまで入りこんでいきます。

治療済みの歯にも、同じことが起こる場合があります。治療に際して神経を抜いた場合、かぶせ物の下で虫歯が再発しても、気づくことはできません。知らないうちに歯の内部が虫歯菌の巣窟になってしまいます。

歯の内部が感染すると、虫歯菌は「根管(歯根の内部にある神経・血管の通り道)」に入っていきます。そして、最終的に歯根の周囲で炎症を起こすのです。歯根付近の炎症を「根尖病変」または「根尖病巣」と呼んでいます。

根尖病変が発生すると、歯茎内部で炎症が起き、腫れが生じます。悪化すれば、歯茎の内側に膿が溜まっていきます。こうして、歯根周囲に膿が溜まると、歯茎に「膿を排出するための出口」が作られます。この「膿の排出口」が「サイナストラクト」です。外見的には「膿の出てくる白いできもの」に見えます。

3-2 サイナストラクトの治療法

サイナストラクト自体が病巣というわけではないので、原因となっている虫歯を治療しなければなりません。具体的には、歯の内部を無菌化する「感染根管治療」をおこないます。

感染根管治療には、「針の先端がヤスリ状になった治療器具」を用います。根管内部の汚染された歯質を手作業で削り、内部の虫歯を除去するのです。根管内の虫歯を取りのぞいたら、薬剤を使って歯内を無菌化します。歯の内部をすっかり無菌化できれば、根尖病変は治癒します。当然、サイナストラクトもなくなるはずです。

もし、感染根管治療だけで歯の内部を無菌化できなければ、「歯根端切除術」をおこないます。歯茎を切開し、歯根を露出させたあと、歯根先端を3mmほど切除するのです。そして、歯根の切り口から、歯を無菌化するための薬剤を詰めていきます。この処置を「逆根管充填」と呼びます。

歯根端切除術でも歯内を無菌化できない場合は、抜歯となります。歯を失うことになりますが、抜歯すれば根尖病巣・サイナストラクトは治癒します。

4.まとめ

歯茎に発生する「できもの」には、実にさまざまな種類が存在します。自然治癒が期待できるものから、癌化する恐れがあるものまで、「危険度」も多種多様でした。そこで、経過観察をする場合は2週間を目安にしてください。2週間が経過しても改善の気配がない場合、「単なる口内炎」と軽視するのはリスキーです。「全然治らないできもの」に気づいたときは、必ず歯科口腔外科を受診しましょう。

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