最近、歯茎が下がってきたと感じることはありませんか? 人間は年を重ねていくと歯茎も衰え後退してしまいます。さらに、歯と歯茎の間に歯垢が蓄積すると、歯垢の中の細菌が原因で炎症が起きてしまいます。
繰り返し炎症が起きると、歯茎を健康に保つために必要な「コラーゲン」が減少してしまいます。この記事では、ピンク色の健康的な歯茎を持続するための歯茎ケアの仕方や、歯茎の弾力を保つ「コラーゲン」の大切さを紹介していきます。
この記事の目次
1.正しい歯茎ケアの方法
1-1 歯茎ケアには「バス法」を
毎日の歯磨きをするうえで歯茎もしっかりケアしてあげることが大切です。ここでは、歯茎ケアの正しい方法を紹介していきます。
歯茎が下がって見えてしまうのは、歯周病によって歯茎が炎症を起こしているためです。基本、歯磨きの際は「スクラビング法」という歯面に歯ブラシを直角に当てて磨いていく方法をとりますが、歯茎ケアを行う際には、「バス法」と呼ばれる下記イラストのように歯茎に45度の角度で歯ブラシを当てて、左右に軽く動かしながらケアをしていきます。
バス法の仕方(イメージ図)
「バス法」は歯と歯茎の境目の「歯周ポケット」に毛先が届く磨き方として適しているといえます。歯周ポケットは歯周病菌が潜んでいる場所です。ここを意識して磨くことによって、歯茎の炎症を鎮めます。この際、少しの出血があっても問題ありません。
1-2 歯肉溝を意識した「デンタルフロス」によるケア
歯ブラシだけでなく、デンタルフロスを使ってケアする方法もあります。デンタルフロスは「糸巻きタイプ」と「ホルダータイプ」の2種類がありますが、両方とも図のように「歯肉溝」を意識することで、歯垢をからめ取ります。
①糸巻きタイプ
②ホルダータイプ
「歯肉溝」は歯垢が溜まりやすい箇所です。①の場合は図のように「くの字」にしながら歯垢を取り除きます。②の場合は上下左右に動かすのがポイントです。
2.歯茎に大切なコラーゲンとビタミンC
2-1 歯周病でコラーゲン繊維が破壊される
健康的な歯茎を維持するには、肌と同じく「コラーゲン」が大切な要素となります。歯周病菌によって侵された歯茎はコラーゲン繊維が破壊されてしまった状態です。この状態で放置してしまうと歯がぐらつき始め、歯を支えてくれていた歯槽骨まで溶け始めてしまいます。やがて、大切な歯は抜け落ちてしまうことになります。
2-2 ビタミンCを上手に摂取
壊れたコラーゲン繊維を元に戻すには、ビタミンCが重要です。ビタミンCはコラーゲンを作り出すことができ、別名「ビタミンC注射薬」とも呼ばれる水溶性のビタミンです。そのため水に溶けやすいのが特徴です。食事でビタミンCを多く含む果物や野菜を摂取する際は、熱をあまり加えないような工夫が必要です。
ビタミンCが多く含まれた主な食材は以下の通りとなっています。
ビタミンCが多く含まれた主な食材
・アセロラ
・キウイ
・ゆず
・レモン
・パプリカ
・赤ピーマン
・ゴーヤ
・ブロッコリー
2-3 健康な歯茎に見られる「スティップリング」
歯茎が健康であると、「スティップリング」を見ることができます。コラーゲン繊維が良好に保たれていると、オレンジの皮の表面のように小さなへこみができた状態になります。
3.間違った磨き方が招く歯茎の異常
1章で述べたように正しい磨き方を行えば問題ありませんが、「オーバーブラシング」といって強く磨き過ぎることで、歯茎の後退だけでなく歯の表面がすり減ってしまいます。もし使っている歯ブラシの毛先が広がっているような場合は、オーバーブラシングを疑ってみてください。歯茎の後退以外にも、間違った磨き方が招く歯茎の異常は以下のようなものが挙げられます。
3-1 歯肉擦過傷
磨き過ぎによって歯肉や口腔粘膜に傷を作ってしまうと、「歯肉擦過傷(しにくさっかしょう)」になってしまいます。新しく買い換えたばかりの硬い毛の歯ブラシを使ったり、古いものでも毛先が傷んだものを使用したりした際に生じやすくなります。
3-2 クレフト
歯肉に縦にV字やU字型の裂け目ができてしまうことを指します。力を入れ過ぎて縦磨きを行い続けると、このような状態が起きやすくなります。また、歯間部に歯垢が残って炎症を起こすことも原因です。噛み合わせが正常でないと起きるケースもあります。
3-3 フェストゥーン
歯肉のふちの部分がロール状に盛り上がった状態になることです。こちらも磨き過ぎが原因で歯肉が肥厚してしまいます。咬合性外傷によって起こることもあります。
4.まとめ
歯茎を形成するうえでコラーゲンは大切です。そのコラーゲンを作り出すことができるのがビタミンCであり、ビタミンCを多く含んだ食材を上手に摂取することが大事です。また、間違った歯磨きの仕方で歯茎を傷つけないように、この記事で正しい「歯茎ケア」の仕方を身につけましょう。
歯ブラシでの磨き方は、かかりつけの歯科医院で指導してもらうのが良いと思います!
電話:03-3601-7051
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