舌痛症の恐れも…?舌の痛みに気づいたら歯科口腔外科へ!

舌痛症の恐れも…?舌の痛みに気づいたら歯科口腔外科へ!

「舌が痛む」「舌がしびれる」といった症状に悩んでいませんか?世の中には、舌にトラブルが起こる病気もたくさんあります。「ちょっと痛いだけだから…」と軽視せず、きちんと医療機関を受診するようにしましょう。

「舌が痛いときは、どこの診療科目にかかれば良いの?」と迷っている方もいるかもしれませんが、原則、口の中で発生する問題は「歯科口腔外科」の領域です。こちらの記事では、「舌痛症(ぜっつうしょう)」を中心に、舌が痛む病気についてまとめています。歯科口腔外科の受診を検討する際の基礎知識としてお役立てください。

この記事の目次

1.そもそも「舌痛症」はどんな病気?

舌痛症というのは、「明確な原因が見当たらないのに舌に痛み・しびれが出る病気」です。かつては「気のせいではないか」と扱われることも多かったのですが、近年は「精神的要因による心身症の一種」と考えられています。以下の特徴を持った方が、発症しやすいといわれています。

・几帳面・神経質な性格
・40代以上の女性
・精神的にストレスの多い生活をしている人

この傾向は、いわゆる心身症の特徴にそのまま当てはまっています。主な治療法は「抗うつ薬」の投与です。アミトリプチリンなどの「三環系抗うつ薬」、パロキセチンなどの「SSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)」などが用いられます。不安・不眠を併発することも多いので、必要に応じて「抗不安薬」「睡眠導入剤」などを処方することもあります。主にベンゾジアゼピン系の抗不安薬が用いられる傾向にあります。そのほか、東洋医学の観点からは「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」に一定の作用を認める医師も多いようです。

ただ、舌が痛む病気はほかにもありますから、容易に「これは舌痛症」と結論を出すわけにもいきません。「舌痛症である」と判断するためには「ほかの病気ではない」ことを確認する必要があります。

2.舌痛症だけじゃない!舌の痛みを伴う病気

もちろん、詳細な診断をするためには、医療機関を受診して検査・診断を受けなくてはなりません。とはいえ、「舌が痛むときには、どんな病気にかかっている恐れがあるのか」を知りたい方も多いでしょうから、「舌の痛みを伴う主な病気」を紹介することにしましょう。

2-1 慢性的な刺激による舌炎

詰め物・かぶせ物に突起がある場合、かぶせ物が外れた箇所がとがっている場合など、たびたび舌に引っかかって刺激を与えることがあります。こういった物理的な刺激が慢性化すると、舌表面に「びらん・潰瘍(かいよう)」などの炎症が生じます。

慢性的刺激が原因の舌炎であれば、刺激を取りのぞくことで解消に向かいます。詰め物・かぶせ物を作りなおすことが、舌炎の根本治療となります。

2-2 ドライマウス(口腔乾燥症)

ドライマウスで口の中が乾燥すると、舌が傷つきやすくなります。唾液は「粘膜の保護作用」を持ち、潤滑油のような役割を果たしています。唾液が不足すると、舌の表面は容易に傷つくようになってしまいます。この場合は、ドライマウスの治療をすることが、舌を守ることにつながります。

2-3 鉄欠乏性貧血

鉄分の不足による貧血です。赤血球が酸素を運ぶのに使うヘモグロビンは、鉄分がなければ生合成できません。そのため、「鉄の欠乏」はヘモグロビン不足に直結します。鉄欠乏性貧血の症状には、めまい・疲労感などがあり、さらに「プランマー・ヴィンソン症候群」と呼ばれる合併症を引き起こすリスクがあります。このプランマー・ヴィンソン症候群の症状として、舌が痛む「舌炎」があげられます。

2-4 悪性貧血

萎縮性胃炎などで胃粘膜が収縮すると、ビタミンB12をほとんど吸収することができなくなります。ビタミンB12は赤血球や白血球をつくるために必要なので、ビタミンB12が欠乏すると、血液をつくっても血球が足りず、きちんと機能しません。この状態を「無効造血」と呼びます。「悪性貧血」は、ビタミンB12欠乏による無効造血で、貧血症状をきたす病気です。この悪性貧血の症状として、舌の痛みが生じます。

2-5 亜鉛欠乏症

亜鉛の欠乏はさまざまな症状を引き起こす恐れがあります。脱毛、表皮内に水泡ができる皮膚炎、貧血、下痢などに加え、味覚障害や舌痛が生じます。亜鉛が不足している…というのが原因ですから、亜鉛補充療法により軽快します。

2-6 口腔感染症

「単純ヘルペスウイルス」による単純ヘルペス、「カンジタ真菌」によるカンジタ症、水痘ウイルスへの感染など、口腔内に感染症が生じることがあります。この場合、感染症に起因する舌痛が生じます。感染症を治療することで、舌の痛みも解消します。

2-7 神経痛

三叉神経痛、舌咽神経痛により、舌が痛むことがあります。血管が神経を圧迫することで痛みが生じます。薬物療法のほか、局所麻酔を複数回打って痛みを除いていく「神経ブロック療法」などがおこなわれます。

3.まとめ

舌の痛みを引き起こす病気には、さまざまな種類が存在します。「舌が痛いだけだから」と軽く考えずに、きちんと医療機関を受診することが大切です。口の中に違和感を覚えたときは、歯科口腔外科を受診する習慣をつけましょう。

また、「舌痛症かな?」と思った場合は、大学病院の歯科口腔外科をはじめ、大きめの医療機関がよいでしょう。口腔内の心身症にも対応できる上、ほかの病気だった場合もそれに応じた診療科目に案内してもらえます。

 

先生からのコメント

舌が痛い原因には外傷(ケガ)や火傷、癌などがあり、幅広い病気から原因を探り当てていくことになります。歯医者の先生と話すときは些細なことでも相談してみると良いと思います。

執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。

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