前歯の矯正方法と費用の目安、部分矯正のメリット・デメリット

前歯の矯正方法と費用の目安、部分矯正のメリット・デメリット

矯正治療は、見た目の改善を目的とする場合もありますが、歯並びや噛み合わせ、清掃性などに関わる治療でもあります。前歯の部分的な矯正であっても、一般的には保険外の治療となることが多いです。ただし、厚生労働大臣が定める疾患に起因する咬合異常、顎変形症の手術前後の矯正治療など、一部では保険診療の対象となる場合があります。

矯正治療にはさまざまな方法があり、費用も異なります。治療法や費用の考え方を知っておくことで、自分の歯並びや希望に合った矯正方法を検討しやすくなります。

まずは、前歯の主な5つの矯正方法と費用の目安を知っておきましょう。そして、子供の前歯矯正や、前歯の部分矯正のメリットとデメリット、さまざまな治療例を紹介していきます。

※本記事に掲載している自由診療の料金は、2026年時点でEPARK歯科に掲載されている歯科医院の料金情報を参考にしたものです。料金は地域や施術内容、使用する機材、歯科医院の方針等によって異なります。実際の料金については受診予定の歯科医院へご確認ください。

この記事の目次

1.前歯を矯正するための5つの方法と費用

前歯の歯並びが気になるけれど、矯正となると大掛かりな治療となり、費用もかさむと考えがちです。しかし、気になるところだけを対象とする部分矯正で対応できる症例であれば、歯並び全体を整える全体矯正よりも費用や治療期間を抑えられる場合があります。

ただし、部分矯正が適しているかどうかは、歯並びだけでなく、噛み合わせ、顎の状態、歯周組織の状態などによって異なります。歯科医師の診査・診断を受けたうえで検討しましょう。

1-1 ブラケットを使った部分矯正 

方法

全体矯正でも用いられる治療法の一つが、ブラケット矯正です。動かしたい歯にブラケットという器具を固定し、ワイヤーの力で歯を動かす治療法です。前歯の部分的な矯正でも、このブラケット矯正が選択肢の一つとなります。前歯の部分矯正の場合、治療期間は半年から1年程度が目安とされることがありますが、歯の動き方や症例によって異なります。

費用

およそ15万円~50万円程度

※2026年時点のEPARK歯科掲載自由診療料金情報を参考に編集部集計
※自由診療の費用は歯科医院ごとに異なります。検査料、診断料、調整料、保定装置料などが別途必要になる場合があるため、総額を事前に確認しましょう。

1-2 歯の内側にブラケットを使う矯正 

方法

ブラケット矯正には、歯の内側にブラケットを装着するリンガル矯正という方法もあります。ただし、表側のブラケット矯正と比べて、費用が高くなる傾向があります。また、発音や舌の違和感が出ることもあります。

費用

およそ45万円~60万円程度

※2026年時点のEPARK歯科掲載自由診療料金情報を参考に編集部集計
※費用は症例や装置、通院期間によって異なります。

1-3 マウスピースによる矯正 

方法

大きく歯を移動させる必要のない、軽度な前歯の部分矯正では、マウスピースを使った治療法もあります。動かしたい歯に装置を常に装着するブラケット矯正とは違い、自分で取り外しが可能です。

ただし、決められた時間の装着を続ける必要があります。装着時間が不足すると、予定通りに歯が動かないことがあります。

費用

およそ35万円~50万円

※2026年時点のEPARK歯科掲載自由診療料金情報を参考に編集部集計
※マウスピース矯正の費用は、装置の種類、作製枚数、治療範囲などによって異なります。要確認です。

1-4  被せ物がある場合のハイブリッド矯正 

方法

被せ物がある前歯を矯正する場合、矯正治療とセラミックなどの補綴治療を組み合わせることがあります。歯根の位置を矯正治療で調整し、必要に応じて被せ物を作り直すことで、歯並びや見た目の改善を目指す方法です。

ただし、被せ物の状態、歯根の向き、歯周組織の状態によって適応は異なります。健康な歯を削る必要が出る場合もあるため、治療前に十分な説明を受けることが大切です。

費用

およそ30万円~50万円程度

その他、セラミック治療で1本あたり9万6千円~12万円程度かかることがあります。

※2026年時点のEPARK歯科掲載自由診療料金情報を参考に編集部集計
※矯正費用と被せ物の費用が別になる場合があります。

1-5 矯正用アンカースクリューを用いる矯正

方法

矯正用アンカースクリューを顎の骨に一時的に埋め込み、それを歯を動かすための固定源として使う方法があります。一般的な歯科インプラントとは目的が異なり、矯正治療の補助装置として用いられます。

前歯が大きく突出している場合や、歯を効率よく動かす必要がある場合などに検討されることがあります。ただし、外科的な処置を伴うため、適応やリスクについて歯科医師に確認する必要があります。

費用

およそ18万円~45万円程度

※2026年時点のEPARK歯科掲載自由診療料金情報を参考に編集部集計
※矯正用アンカースクリューの費用が別途必要になる場合があります。

2.前歯の部分矯正のメリットとデメリット

気になる前歯を集中的に整える部分矯正。費用が比較的抑えられる場合があり、治療期間も短く済むことがある一方で、全体的な噛み合わせの改善には向かないことがあります。

2-1 前歯の部分矯正のメリット 

気になるところだけを治療対象にできる

歯並びを整えたいけれど、気になるのは前歯だけという方には、部分矯正が選択肢になることがあります。奥歯の噛み合わせに大きな問題がない場合、全体矯正ではなく部分矯正で対応できることがあります。

比較的短期間で治療できる場合がある

奥歯を含む全体矯正では、歯を移動させる範囲が広く、治療期間が長くなることがあります。一方、前歯の部分矯正であれば、全体矯正と比べて短い期間で治療できる場合があります。

費用を抑えられる場合がある

全体的な歯列矯正では、ブラケット矯正の場合、およそ70万円~100万円程度の費用がかかることがあります。しかし、前歯の部分矯正で対応できる症例であれば、全体矯正より費用を抑えられる場合があります。

※2026年時点のEPARK歯科掲載自由診療料金情報を参考に編集部集計
※費用は自由診療のため、歯科医院ごとに異なります。

2-2 前歯の部分矯正のデメリット 

隙間が残る場合がある

全体矯正と違い、前歯の部分矯正では、前後の凹凸は整えられても、それぞれの歯の隙間が残ってしまう場合があります。その場合には、隙間を塞ぐための追加治療が必要となることがあります。

全体的な噛み合わせは直せない

前歯だけの部分的な矯正なので、噛み合わせや歯列全体の矯正ではありません。したがって、全体的な噛み合わせを整えたい場合には向いていないことがあります。

まずは人目が気になる前歯を整えたいという場合でも、噛み合わせに問題がある場合は、全体矯正を勧められることがあります。歯科医師と相談したうえで治療法を検討しましょう。

3.前歯の矯正治療例

出っ歯、すきっ歯、乱ぐい歯など、前歯の部分矯正で対応できる場合がある治療例について知っておきましょう。

3-1 出っ歯(上顎前突)

上顎の前歯にブラケットなどの矯正装置を付けることで、出っ歯(上顎前突:じょうがくぜんとつ)の改善を目指せる場合があります。治療期間はケースバイケースですが、部分矯正で対応できる軽度の症例であれば、全体矯正より短期間で済むことがあります。
ただし、骨格的な問題が大きい場合や、奥歯の噛み合わせにも問題がある場合は、部分矯正だけでは対応が難しいことがあります。

3-2 乱ぐい歯(叢生)

乱ぐい歯とは、歯が重なりあっている状態で、叢生(そうせい)と言われています。前歯の軽度な叢生は、部分矯正で対応できる場合があります。八重歯も叢生の一つですが、歯の位置やスペースの不足が大きい場合は、全体矯正や抜歯を伴う矯正が必要になることもあります。

3-3 すきっ歯(空隙歯列)

すきっ歯は、歯間が空いた状態で、専門用語では空隙歯列(くうげきしれつ)と言います。前歯が空いた状態が気になる場合、その部分を集中的に整える前歯の部分矯正が選択肢になることがあります。

ただし、隙間の原因が歯の大きさ、顎の大きさ、舌の癖、歯周病などにある場合は、矯正以外の治療や習癖への対応が必要になることがあります。

3-4 受け口(反対咬合)

下の歯が上の歯よりも前に出ているのが反対咬合(はんたいこうごう)です。前歯のみが反対咬合になっている軽度のケースでは、前歯の部分矯正で対応できる場合があります。

ただし、骨格的な反対咬合や、奥歯の噛み合わせに問題がある場合は、部分矯正だけでの対応は難しいことがあります。成長期の子供では、顎の成長を考慮した早期の診査が重要になる場合もあります。

4.まとめ

歯並びで気になりやすいのは、やはり見た目です。特に、前歯の歯並びは目立ちやすい部分です。全体的な噛み合わせも大切ですが、まずは見た目から整えたいと考える人もいるでしょう。

一方で、前歯の部分矯正だけで対応できるかどうかは、歯並びだけでなく、噛み合わせ、顎の状態、歯周組織の状態などによって異なります。反対咬合のように、前歯だけの問題に見えても、全体の噛み合わせや骨格に関係している場合があります。

費用を抑えやすい部分矯正が、今選ぶべき手段として適しているかどうかも含めて、歯科医院とじっくり相談してみましょう。

【参考サイト】
・公益社団法人 日本矯正歯科学会「矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは」
https://www.jos.gr.jp/facility
・公益社団法人 日本矯正歯科学会
https://www.jos.gr.jp/
・公益社団法人 日本臨床矯正歯科医会
https://www.jpao.jp/
・厚生労働省「先進医療・患者申出療養等」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/sensiniryo/index.html
・厚生労働省「医療広告ガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/index.html

伊丹太郎 先生監修
プロフィール&経歴

目指したきっかけ:医療には関心あったが、やはり一番は両親の教育が大きかったのではないかと思う。
やりがい:大学のときは他の職種とは違う特殊性に惹かれていたのですが、実際歯科医になってからはお礼を言われる部分です。

松本歯科大学卒業後、同病院勤務。
琉球大学医学部付属病院歯科口腔外科にて
顎顔面領域悪性腫瘍治療に従事。
その後都内複数歯科医院勤務後、
麻布シティデンタルクリニックを開院。
現在に至る。

執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。

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