軽度から重度まで、前歯のむし歯のさまざまな治療法とその費用

軽度から重度まで、前歯のむし歯のさまざまな治療法とその費用

前歯がむし歯になると、食べ物を噛みちぎる際に痛む、笑ったときに黒い部分が見えてしまう、といったように、日常生活に影響が出てしまいます。
この記事では、前歯のむし歯の治療法を紹介するとともに、保険診療と自由診療でできる治療の違いや、費用の目安について紹介しています。
早期に治療を開始することで身体面でも費用面でも負担を抑えられることがあります。
前歯にむし歯がある人は、ぜひ参考にして歯科医院を受診するといった対処につなげましょう。

※本記事に掲載している自由診療の料金は、2026年時点でEPARK歯科に掲載されている歯科医院の料金情報を参考にしたものです。料金は地域や施術内容、使用する機材、歯科医院の方針等によって異なります。実際の料金については受診予定の歯科医院へご確認ください。

この記事の目次

1.前歯のむし歯の治療法

前歯のむし歯といっても、軽度のものから重度のものまであり、症状に応じてさまざまな治療法があります。

1-1 前歯に小さな穴が空いた場合

小さな穴が空いた程度のむし歯であれば、コンポジットレジンを用いて穴をふさぐことがあります。
コンポジットレジンとは、自然な歯の色に近い樹脂で、光を当てることで硬化する素材です。
むし歯が小さければ健康な歯を大きく削らずに済む場合があり、硬化後は歯に接着するため、比較的自然な見た目を目指せます。短期間で治療できることもあります。

1-2 前歯が欠けてしまった場合

見た目は小さな穴でも、内部でむし歯が大きく進行していると、歯が欠けてしまうケースがあります。
この場合、内部のむし歯を除去した後に、レジンやセラミックで欠けた部分を埋めるといった治療法があります。

1-3 痛みが激しい場合

痛みが激しい場合、内部に広がったむし歯が歯の神経にまで到達していることが考えられます。
むし歯の除去に加えて、炎症を起こしている神経の治療をおこないます。
神経の状態によっては、神経を取る治療が必要になることもあります。
歯髄(しずい=神経がある部分)をきれいに掃除して消毒し、細菌に再感染しないように詰め物をして穴をふさぎます。

1-4 前歯が黒く変色している場合

神経がすでに機能していない場合、歯が徐々に黒ずんでいくことがあります。
むし歯の治療および、必要に応じて神経を除去したうえで、レジンやセラミックで修復します。

1-5 前歯が折れてしまった場合

むし歯が進行すると、歯が折れてしまうことがあります。
また、むし歯を除去するため、根元を残して全体を削らなければならない場合もあります。
むし歯の治療をしたうえで土台を作り、レジンやセラミックで欠損した部分を修復するといった治療をおこないます。

1-6 前歯を根元まで失った場合

むし歯によって、前歯を根元まで失ってしまった場合、左右の歯を土台にしてブリッジを被せる、インプラント(人工歯根)を埋め込み、それを土台にして人工の歯を被せる、といった治療法があります。

2.保険適用内の治療

保険診療では、素材や治療法が制限されています。
「前歯は目立つので銀歯は避けたい」という人には、白いレジンを使った治療法があります。
歯を失った場合、保険診療ではブリッジが選択肢になることがあります。

2-1 コンポジットレジン

小さなむし歯を埋めるときに使われるコンポジットレジンは、保険適用内でおこなえる場合があります。
ただし、レジン素材は時間が経つと汚れを吸着して黄変することがあるので、前歯の表側といった使用箇所によっては、詰め物が目立ってくることがあります。
その場合は、一度外して再度コンポジットレジンを詰めるといった方法で対応が見込めます。

2-2 前歯なら硬質レジン前装冠で治療できる場合がある

前歯を大きく削る場合、金属をベースに、外から見える部分にのみ白色のレジンを貼りつけた、硬質レジン前装冠を使用できる場合があります。
前歯であれば、条件により保険適用内でおこなえることがあります。
ただし、時間が経つことでレジンが変色したり、ベースとなる金属が徐々に溶け出して、歯ぐきの境目が黒くなったりする場合があります。

硬質レジン前装冠
提供:早川歯科医院

2-3 ブリッジの保険適用範囲

欠損した前歯を治療する場合は、ブリッジによる処置が保険適用内となることがあります。
保険診療で白い歯を入れられる範囲や条件は、歯の部位や支台となる歯の状態、使用する材料などによって異なります。詳しくは歯科医院に確認しましょう。

ブリッジ

提供:早川歯科医院

2-4 保険内治療のメリットとデメリット

メリット

前歯のむし歯における保険診療では、治療費を抑えやすいということが大きなメリットとなります。

軽度なむし歯では、比較的少ない負担で治療できる場合があります。

デメリット

治治療後の見た目に関わる素材が、レジンや金属に限られることがあります。
レジンは、自然な歯の色と合わない場合もあり、時間が経つごとに変色することがある素材でもあります。
また、ブリッジを入れる場合、左右の健康な歯を削ることがあります。

3.保険適用外の治療

前歯のむし歯治療において保険適用外となるのは、主に素材の違いによるものです。
失った前歯をブリッジ以外の方法で治療する場合も、保険適用外となることがあります。

3-1 レジン以外の素材

セラミックといった、レジン以外の素材を使用する場合、治療に関わるすべての処置が保険適用外となることがあり、治療費が高くなるといったデメリットがあります。
しかし、前歯は見た目が気になる所でもあり、経年による変色が起こりにくく、自然の歯の質感に近づけやすいセラミックを用いるメリットがあります。

3-2 インプラント

欠損した歯を補う方法としてインプラント治療を選ぶ場合、基本的に保険適用外となります。
外科的手術をする、費用が高額になるといったデメリットがありますが、左右の歯に負担をかけずに、欠損した歯を補うことができるメリットがあります。

インプラントの図解

4.前歯のむし歯治療費の目安

前歯のむし歯治療費の目安は、保険適用内、保険適用外で下記の通りとなります。
詰め物をセラミックにするだけでも、費用に大きな差が出ることがあります。
ブリッジとインプラントでも、費用が大きく異なります。
なお、保険適用外の治療費は、歯科医院によって大きく異なります。保険診療の費用も、治療内容や負担割合によって変わります。詳しい費用については、歯科医院を受診した際に確認しましょう。

4-1 保険適用内の治療費の目安(1歯)

コンポジットレジン 約1,000円~3,000円程度
硬質レジン前装冠 約5,000円~8,000円程度
神経を取る治療をする場合 約2,000円~5,000円程度
金属の土台 約1,500円~3,000円程度
抜歯する場合 約1,000円~3,000円程度
ブリッジをする場合(3歯) 約8,000円~15,000円程度
※2026年現在の保険診療の費用(ここでは初診料やレントゲンは含んでいません。区分や制度の改定でも変動しますので、あくまで目安としてください)

4-2 保険適用外の治療費の目安

セラミックの詰め物 57,000円~100,000円程度
セラミックの被せ物 96,000円~120,000円程度
インプラント 350,000円~500,000円程度
※2026年時点のEPARK歯科掲載自由診療料金情報を参考に編集部集計

5.前歯のむし歯治療の痛みについて

前歯のむし歯治療では、痛みも気になるところです。
小さいむし歯で麻酔をせずに削るケースでは、人によって痛みを感じることがあります。
その場合は、遠慮なく先生に相談しましょう。
また、人によっては麻酔が効きにくいことがあります。
痛みが気になる場合、麻酔の方法を相談する、麻酔がしっかり効くまで時間を空けてもらうといったように、自分の意思を先生にしっかりと伝えましょう。
痛みが強い場合や、時間が経っても効いている感じがしない場合は先生に相談しましょう。

6.まとめ

前歯の治療法は、むし歯の進行状況によってさまざまです。
自由診療の治療も含めると、見た目や耐久性の面でメリットがある治療法もありますが、むし歯の程度が軽ければ、保険適用内で自然な見た目を目指せる場合もあります。
小さなむし歯をできるだけ早く発見するためにも、歯科医院の定期健診を受けることをおすすめします。

【参考サイト】
・厚生労働省 e-ヘルスネット「むし歯の特徴・原因・進行」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-02-001.html
・厚生労働省「診療報酬情報提供サービス」
https://shinryohoshu.mhlw.go.jp/
・日本補綴歯科学会
https://www.hotetsu.com/
・厚生労働省 令和8年度診療報酬改定について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html

早川康明 先生監修
経歴

1975年 東京歯科大学 卒業
1975年~1977年 新宿ビル歯科 勤務
1978年 早川歯科医院 開業
現在に至る

執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

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