噛み合わせの治し方を知りたい!不正歯列・顎関節症それぞれの治療法

噛み合わせ_治し方

408view

歯の噛み合わせが悪いと、さまざまな口腔トラブルを招きます。ただ、一般に「噛み合わせの問題」と表現した場合、2通りの意味合いがあるようです。

1つは、歯並びの同義語として使われる「噛み合わせ」です。この意味でいうところの「悪い噛み合わせ」は「不正歯列」を意味します。もう1つは、「顎に起因する噛み合わせ」で、この用法における「悪い噛み合わせ」は「顎関節症」のことです。

こちらの記事では、2種類の「噛み合わせ」にそれぞれ焦点を当てて、「悪い噛み合わせの治し方」を考えてみたいと思います。噛み合わせの種別ごとに、歯科医院・歯科口腔外科でおこなわれる治療法を確認してみましょう。

1.歯並びによる「悪い噛み合わせ」の種類

歯並びに問題がある状態を指して、「噛み合わせが悪い」と表現することがあります。歯並びが悪いことで生じる「噛み合わせのトラブル」には、たとえば、以下のような種類が存在します。

1-1 上顎前突

いわゆる「出っ歯」のことです。外見的なコンプレックスになるだけでなく、安全面・機能面の問題も生じることがあります。たとえば、口のまわりをぶつけたときに「歯が折れやすい」「前歯が口腔粘膜に刺さりやすい」などのリスクが増大するでしょう。

また、上顎前突が著しい場合、「口をうまく閉じることができず、常に半開きになる」という問題が出てきます。口をきちんと閉じないと、口腔内が乾燥して「唾液による自浄作用」が低下します。唾液には細菌を抑制する作用があるのですが、この作用がきちんと機能しません。結果、虫歯・歯周病になる確率が上がります。

1-2 開咬(かいこう)

上下の歯を噛み合わせても、上下の前歯が接触しない状態です。別名で「オープンバイト」と呼ばれることもあります。前歯が噛み合わないので「食べ物を噛みきることが困難になる」「一部の音が発音しにくい」など、機能面の問題が顕著です。

1-3 反対咬合

世間一般では「受け口」と呼ばれます。本来、上下の歯は「上の歯が、下の歯にやや覆いかぶさる格好」で噛み合っています。しかし、反対咬合だと「下の歯が、上の歯に覆いかぶさる格好」になるのです。咀嚼が難しくなるほか、一部の音が発音しにくくなることがあります。

1-4 過蓋咬合(かがいこうごう)

「上の歯が、下の歯に覆いかぶさる格好」が正常なのですが、行きすぎれば別問題です。上下の歯を噛み合わせたとき、「上の歯が、下の歯をほとんど覆い隠している」というなら、噛み合わせが深すぎます。この状態を過蓋咬合と呼んでいます。

「下前歯が、上の歯・歯茎を突き上げる」「上下の歯が接触する場所に負担がかかる」などの問題が起こります。「歯の摩耗」「歯周組織へのダメージ」が懸念されます。

1-5 叢生(そうせい)

「部分的に歯が重なり合っている」「歯並びがデコボコしている」など、歯並びが乱れた状態を指しています。一般的には「乱杭歯(らんぐいば)」と呼ぶことが多いです。歯磨きの効率が低下するので、虫歯・歯周病リスクが増大します。

2.歯並びによる「悪い噛み合わせ」の治し方

歯並びの問題であれば、歯列矯正による治療を試みるのが一般的です。「矯正歯科」に対応している歯科医院で治療を受けることができます。ただし、保険外の自由診療になるので、費用は高額になります。矯正治療にもいくつかのバリエーションがあるので、主な矯正方法を紹介することにします。

2-1 ワイヤー矯正

歯に「ブラケット」と呼ばれる器具を取り付けて、ブラケットに通したワイヤーで歯を引っ張る方法です。一般的に「歯列矯正」と表現した場合、このワイヤー矯正を指していることが多いです。費用は60~80万円くらいになります。

2-2 舌側矯正(ぜっそくきょうせい)

矯正の方法自体は、ワイヤー矯正と同じです。ただ、ブラケットを歯の裏側に装着する…という違いがあります。表側から矯正器具が見えないので、矯正中の外見を気にする人に好まれています。費用は100~120万円くらいです。

2-3 マウスピース矯正

取り外し可能なマウスピースを使って、歯列矯正をおこないます。マウスピースは透明な材質でできているので、見た目にも影響しません。ただ、ワイヤー矯正と比べれば、歯を動かす力には劣ります。費用は50~100万円程度です。

2-4 床矯正

「総入れ歯」とそっくりな矯正器具を使う方法です。本人の意志で取り外しできるのに加え、矯正方法としては安価なのが魅力です。ただし、歯の傾きを矯正するだけで、根元から移動させるほどの力はありません。費用は30万円前後です。

3.顎関節症による「悪い噛み合わせ」の種類

顎関節症は「口を開けると痛む」「口が大きく開かない」「口を開けるときに雑音がある」といった症状の総称です。そのため、原因箇所に応じて複数の種類があります。

3-1 咀嚼筋障害(1型顎関節症)

下顎骨を動かすために使う筋肉―咀嚼筋に痛み・コリが出ていると、「口を開くときに痛む(開口痛)」などの症状が出ます。筋肉は連動しているので、咀嚼筋の緊張が原因となって、肩こり・手のしびれが生じることもあります。あくまで筋肉の問題なので、顎関節から雑音が生じることはありません。

3-2 顎関節痛障害(2型顎関節症)

顎関節の靱帯・関節包が損傷していると、やはり痛みが生じます。ちなみに、関節包というのは、関節を包みこんでいる組織のことです。靱帯・関節包とも軟組織ですから、骨・関節自体に問題が起きているのとは違います。「口を開けるとき」だけでなく、「口を閉じるとき」「食べ物を噛むとき」「顎の周囲を圧迫したとき」にも痛みが出ることが多いです。軟組織の問題なので、やはり関節からの雑音はありません。

3-3 顎関節円板障害(3型顎関節症)

顎関節は「下顎骨が側頭骨にはまりこむ格好」になっています。そして、関節がスムーズに動くために、2つの骨の間にはクッション材が存在します。このクッション剤のことを「関節円板」と呼んでいます。しかし、何らかの理由で関節円板の位置がずれることがあります。この状態を「関節円板障害」といいます。

関節円板障害が起きていると、「口が2cmしか開かなくなる(クローズドロック)」「口は開くが、雑音がする」などの症状をきたします。もっとも頻繁に見られる顎関節症は、この顎関節円板障害です。

3-4 変形性顎関節症(4型顎関節症)

軟骨の損耗により、骨が変形していると「顎の痛み」「口を開くときの雑音」が生じることがあります。慢性的な顎関節へのダメージが重なり、骨の変形をきたした例です。

4 顎関節症による「悪い噛み合わせ」の治し方

顎関節症の場合、「歯科口腔外科」または「顎関節症を診療対象としている歯科医院」のいずれかで治療を受けることになります。「噛み合わせ治療」という表現をすることも多いですが、むしろ顎関節の治療です。

4-1 スプリント療法

「歯ぎしり」「食いしばり」などで顎関節に負担が蓄積すると、顎関節症を起こすことがあります。そこで、歯ぎしり・食いしばりなどのダメージを緩和・分散するためのマウスピースである「スプリント」を装着する治療方針が成立します。この方法を「スプリント療法」と呼んでいます。

4-2 マイオモニター療法

顎関節周囲の筋肉に低周波パルスを流して、筋肉の緊張を緩和する治療法です。咀嚼筋障害による顎関節症(1型)、軟組織損傷による顎関節症(2型)に奏効する傾向があります。

4-3 関節腔洗浄療法

関節は、いわば「2つの骨が噛み合っている場所」です。関節にある「2つの骨の隙間」を「関節腔」と呼んでいます。顎関節症の人は、関節腔に血液・炎症物質が滞留していることが多いので、関節腔内部を洗浄することで症状が軽快する可能性があります。そこで、関節腔に注射針を刺して、生理食塩水で内部を洗浄する「関節腔洗浄療法」をおこなう場合があるのです。関節円板障害(3型)、骨の変形(4型)に用いられます。

4-4 パンピングマニピュレーション

関節腔洗浄と同様、まずは関節腔の内部を洗浄します。その後、手動の注射器で内部に圧力をかけて、関節円板の位置を元通りに修正するのが「パンピングマニピュレーション」です。関節円板障害(3型)の顎関節症に適応します。

5.まとめ

「噛み合わせが悪い」という言葉が「不正歯列と顎関節症のどちらを指しているのか」で、治し方は大きく変わります。世間一般における「噛み合わせ」という言葉が2通りの意味を表すことから、「歯列矯正で顎関節症が治る」となどと誤解している人もいます。不正歯列がきっかけとなる顎関節症もあるにはありますが、それは一部の症例に過ぎません。

今回の記事をきっかけに「噛み合わせが有する2種類の意味」を正確に理解していただければうれしいです。

コージ歯科_噛み合わせ_治し方

ページトップへ