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歯並びは遺伝するの!?出っ歯・受け口など不正歯列の原因とは?

歯並び_遺伝

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人間の特徴には、遺伝によって決まる部分もたくさんあります。実際、身長・顔立ちなどは、先天的に決まるところが大きくなっています。一方、後天的に変えられる特徴も存在します。たとえば、体型です。「太りやすい」「痩せやすい」といった遺伝的素因はあるものの、ある程度、後天的な要因で変わる余地もあります。

では、歯並びはどうなのでしょう? 遺伝でほとんど決まるものなのか、それとも後天的影響が大きいのか…、どちらだと思いますか? こちらの記事では、「歯並びと遺伝の環境」を解説することにしました。

1.遺伝だけではない!歯並びは後天的に変わる

結論から言うと、歯並びは後天的に変わる余地があります。根拠になるのは、日本小児歯科学会の「小児科と小児歯科の保健検討委員会」が発表した「指しゃぶりと上顎前突の相関関係」です。「上顎前突」はいわゆる「出っ歯」のことですが、指しゃぶりの癖がある2歳児は、高く確率で上顎前突だった…という結果が出ています。

同じように、「おしゃぶりと開咬の相関関係」も見出されています。開咬というのは「上下の歯がきちんと噛み合わず、隙間がある状態」ですが、おしゃぶりを使用している子供は開咬の確率が高かったのです。

これらの統計は、「指をくわえる」「おしゃぶりをくわえる」などの物理的な力によって、歯並びが変化したことを示唆します。ちなみに、3歳になるまでに指しゃぶり・おしゃぶりをやめれば、歯並びは徐々に正常に戻っていくことが多いようです。もし、お子さんに指しゃぶり・おしゃぶりの習慣があるなら、3歳ごろまでにやめられるよう働きかけをおこなってみてください。

もちろん、歯並びを悪化させる習慣は、指しゃぶり・おしゃぶりだけではありません。この章では、歯並びに悪影響を与える「遺伝以外の要因」を確認したいと思います。

参照URL①:http://www.jspd.or.jp/contents/main/proposal/index03_04.html#pro04
参照URL②:http://www.jspd.or.jp/contents/main/proposal/index03_05.html#pro05

1-1 口呼吸の習慣

歯は「唇・舌・頬から加えられる圧力が等しい場所に位置する」と言われています。たとえば、前歯は「唇と舌」に押されています。唇は歯を内側に引っこめる方向に押し、舌は歯を外側に突き出すように押します。奥歯なら、「頬と舌」に押されています。頬は歯を内側に押し、舌は外側に押しているわけです。そして、「内側に押す力」と「外側に押す力」が釣りあう場所に、歯が位置している…と考えてください。

さて、本来、何もしていないときに口は閉じています。口を閉じていれば、唇が歯を内側に押す力が働きます。しかし、口呼吸の習慣がある人は、常に口が半開きになっています。口が開いたままでは、「唇が歯を内側に押す力」が弱くなります。結果、「舌が歯を外側に押す力」が相対的に強くなるわけです。

「舌が歯を外側に押す力」が上の前歯に働けば、上顎前突(出っ歯)になるでしょう。舌の前歯に働いた場合は反対咬合(受け口)を誘発します。口呼吸の習慣によって、歯並びに悪影響が出るわけです。

1-2 舌癖(ぜつへき)による不正歯列

唇・舌・頬から加えられる圧力が等しい場所に歯が位置するなら、「舌で歯を過剰に押す」などの悪習慣で歯並びが悪化する恐れがあります。舌で内側から歯を押す癖があると、「内⇒外」の圧力が強まり、歯が移動するわけです。実際、舌で前歯を押す動作が癖になっていると、上顎前突(出っ歯)のリスクが上がると考えられています。

1-3 顎が十分に発育していない

人間の骨格が成長するのは、だいたい14歳頃までになります。骨格が大きくなるということは、当然、顎の骨も成長するわけです。しかし、成長期にやわらかく歯ごたえのない食品ばかり食べていると、顎が十分に成長しません。結果、永久歯がきちんと並びきらない「小さな顎」になってしまいます。当然、歯が生えるのに十分なスペースがなければ、きれいな歯並びにはなりません。

2.遺伝の影響もある!歯並びが悪化する先天的要因

ここまで解説したように、歯並びを悪化させる原因の多くは「環境要因」です。ただ、当然ですが、遺伝による影響もあります。たとえば、生まれつきの「顎の大きさ」だって、歯並びを決定づける要素になるでしょう。残念ではありますが、「環境面に気をつければ不正歯列にならない」というものではありません。

この章では、歯並びに影響を与える遺伝的要因を紹介したいと思います。

2-1 先天性欠如歯

先天性欠如歯というのは、本来、「生えるべき歯が生えてこないこと」を意味します。実のところ、先天性欠如はそれほど珍しい現象ではありません。2010年に日本小児歯科学会が調査した結果によると、下顎第二小臼歯(5番)は6.10%、下顎側切歯(2番)は3.81%の子供で欠如が見られました。いずれか1本以上の歯が欠如している子供は10.09%となっており、10人に1人以上が先天性欠如を持っていることになります。

さて、先天性欠如歯があると、欠如歯の両隣にある歯が傾いてきたり、移動したりします。つまり、全体の歯並びに影響が及ぶ…ということです。これは遺伝的要因による歯列不正ということになります。

参照URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspd/48/1/48_29/_pdf

2-2 過剰歯

過剰歯は、欠如歯の反対です。本来、「存在しない歯が生えてくること」を意味します。特に多いのは「正中過剰歯」と「第四大臼歯」です。ちなみに、正中過剰歯は左右中切歯(1番)の真ん中に生えてくる余計な歯を意味します。第四大臼歯は、親知らずのさらに奥に生えてくる歯です。

過剰歯は、「本来存在するべき歯」を圧迫するなどして、全体の歯並びを崩してしまいます。これら過剰歯も遺伝的素因による先天異常ですから、「歯列不正の遺伝的原因」と考えられます。

2-3 上唇小帯(じょうしんしょうたい)の異常

上唇小帯というのは、上唇の裏側にある「筋」のような組織です。唇の裏から、上前歯の歯茎に向かって伸びているはずです。この上唇小帯が長すぎると、前歯が生えてくるときに邪魔になってしまいます。中切歯(1番)の間に上唇小帯が入りこむ形になって、空隙歯列(すきっ歯)の状態になる場合があるのです。

3.まとめ

上述のとおり、歯並びが悪くなる原因には、遺伝要因と環境要因の両方があります。ただし、不正歯列の7割くらいは環境要因によると考えられています。「歯並び=遺伝」というものではありません。

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