歯の神経の痛みを和らげる応急処置と痛みが起きた際の注意点

歯の神経の痛みを和らげる応急処置と痛みが起きた際の注意点

歯の神経の痛みは、我慢しがたい程かなり強いものです。ひどい歯痛だと、寝る事もできないので、早めに原因解明と、治療が求められます。

この記事では、突然の歯の痛みに襲われた時の応急処置の方法や、痛みがあるときにやってはいけないこと、痛みの原因についても紹介していきます。

また、応急処置を終えたらすぐに歯医者さんを受診しましょう。

 

この記事の目次

1.歯の神経の痛みにすぐ効く2つの応急処置

急に歯が痛くなったご経験はありませんか? もともと虫歯のある方でしたら、急激に神経痛を感じる事もありますよね。すぐに歯科医院に行ければいいのですが、仕事やその他の用事などで、対応できない事もあるはずです。

あまりに痛みがひどいと、仕事や睡眠にも支障をきたしてしまうので、自分でできる応急処置についても、きちんと知っておきましょう。応急処置としておすすめの2つの方法には、どんなものがあるのでしょうか?

1-1 鎮痛剤や歯痛の薬を処方する

市販の痛み止めを飲むだけでも、痛みが緩和される事があります。一時的であっても、痛みを抑えて楽になれるでしょう。例えば、第一三共ヘルスケアの「ロキソニンS」です。ロキソニンSの主成分である「ロキソプロフェンナトリウム水和物」が、痛みの原因物質を素早く抑える働きがあると言われています。

ロキソニンSは、眠くなる成分も含まないので、仕事や運転にも支障がないと言われています。ピンクの小型錠剤で飲みやすく、一回一錠でも有効ですので、おすすめです。

1-2 正露丸をつめる

すぐにできて歯の痛みを緩和できるのは、正露丸を詰める方法です。正露丸は、ご家庭で常備している事も多いのではないでしょうか。やり方は、正露丸を歯痛の原因となっている虫歯の穴に入る大きさにして、突っ込むだけです。30分程で、歯の神経が麻痺してきて、痛みから解放されるでしょう。

正露丸は食あたり、消化不良、下痢などの他、虫歯の痛みにも有用です。有効成分である「木クレオソート」が作用して、痛みを和らげてくれます。

2.薬以外の対処法

この章では、一時的に痛みを取り除くために薬以外の対処法を紹介していきます。手元に薬がない場合は、ぜひ4つの対策を実行してみてください。

2-1 痛みの元を冷やす

正露丸や市販の薬がない場合には、冷えピタを貼って冷やすと、歯痛が軽減します。また、冷水や氷などを口に含み、歯を直接冷やすと、より歯痛は緩和されます。

歯痛は、歯の中で血液が多くなってしまい、神経を圧迫する事により発生します。冷やす事によって、血流を一時的に抑えると、神経への刺激を少なくできるでしょう。

2-2 食べカスを除去する

虫歯を持っている方でしたら、食べカスなどが原因で、歯痛が起こっている可能性もあります。もし、食後に歯が痛み始めたら、糸ようじやつまようじで、食べカスを綺麗に取り除きましょう。

ただ、直接刺激しないように注意しなければなりません。神経を刺激して、逆効果になってしまう恐れがあるからです。

2-3 ぬるま湯でうがいする

手元に冷やせるものも何もない時、ぬるま湯でうがいするのも良いでしょう。口の中を清潔に保ってくれます。

もしも冷たい水しかない場合には、常温に戻してうがいに使いましょう。食べカスが詰まっている場合も、うがいで綺麗に落とす事ができるので、おすすめです。

2-4 手のツボを押す

歯痛に効くツボと言えば、歯痛点(しつうてん)と、合谷(ごうこく)です。これらを刺激すると、痛みが和らぐでしょう。歯が痛い時に痛みを緩和させてくれる効果的なツボです。

3.歯が痛いときにやってはいけない3つの事

歯の神経が痛む時に、やってはいけない事は色々あります。やってしまうと余計痛みが悪化してしまう事があるので、知っておきましょう。

3-1 熱い飲み物を避ける

歯が痛いと、つい熱い飲み物を飲んでしまいがちですが、これはNGです。熱い飲み物は、炎症している部分を余計刺激してしまうので、控えるべきです。

また、痛みが落ち着くまでは、熱いお風呂につかる行為や、激しい運動も避けるようにしましょう。これらは血圧を上昇させ、痛みのある歯の血流を良くしてしまい、神経を圧迫し、痛みが増してしまうからです。

3-2 アルコールは摂取しない

アルコールは、中枢神経を麻痺させるので、一時的には痛みを忘れる事ができますが、血行が良くなるため、その後に強い痛みが走ります。

3-3 たばこは吸わない

たばこも、歯の神経を刺激してしまいます。落ち着こうと思い、つい吸いたくなってしまいますが、血液の流れが良くなり、神経過敏になってしまうので、余計に腫れてしまいます。

4.歯の神経痛の原因

歯の神経痛には、いくつか原因があります。人によってその原因は様々ですが、考えらえる主な原因について、まとめてみました。是非参考にしてみてください。

4-1 知覚過敏

虫歯がないのに冷たいものがしみたり、歯ブラシが当たるだけでピリッと痛くなるのは、「知覚過敏」になっている可能性があります。知覚過敏は、根の表面の象牙質がむき出しになる事で、冷たいものに対して敏感に反応してしまう症状です。

冷たい飲み物やアイスクリームなどを食べると、神経が普通よりも敏感に刺激されてしまい、痛みを感じます。

歯痛を避けるためにも、知覚過敏を改善していく必要があります。知覚過敏用の歯磨き粉の使用やフッ素塗布を行い、象牙質表面の神経の細かい穴を埋めていきましょう。1、2か月程度で改善してくる事が多いです。

4-2 虫歯が深くなっている

虫歯が原因で、歯の神経が痛くなっている事もあります。根の先の骨の中に虫歯菌が入り込むと、骨の中に膿を溜め、大きく歯茎が腫れるので、神経が痛みだします。この痛みを改善するには、歯茎を切って膿を出す必要があります。また、自然に破れる事もあり、何度も腫れを繰り返します。

4-3 歯周病

歯周病の始まりである歯周ポケットが作られ、歯周病がひどくなると、歯痛が起こります。歯肉と歯周組織の感染により歯周ポケットが形成されると、歯の周りに炎症を引き起こすため、神経に痛みが生じます。

歯周病になると、歯茎の中に膿がたまり痛みが生じる事もあるのです。腫れが悪化してしまうと、歯茎を切り、膿を出す必要があります。痛みは繰り返すので、早めの治療を心がけてください。

4-4 ストレス原因の歯ぎしり

歯ぎしりによって、歯が揺さぶられ、噛んだ時に神経痛が出る事もあります。歯ぎしりをする事で、歯がすり減ったり、ヒビが入ったりするので、歯痛につながります。また、ストレスがたまって歯ぎしりをしている可能性もあるので、最近、疲れがたまっていないかどうか、振り返ってみるといいでしょう。

歯ぎしりは、ウィルス性と言われる事もありますが、ほとんどはストレスによる自律神経の乱れからくるもので、これによって、神経も過敏状態になってしまいます。また、デスクワーク中に歯ぎしりをしているケースもあります。歯を食いしばる事により、顎の間接と周囲の筋肉が非常に緊張し、過緊張状態になると歯痛が起こります。

4-5 疲労による抵抗力低下

虫歯でもないのに、歯や歯茎が痛み、数日後に痛みが消えたり、少し休息をとると治ったりするのは、疲れによるストレスが原因の場合もあります。身体の健康状態によって、歯の痛みが現れる事もあるのです。

ストレスが歯の痛みを直接的に引き起こす事は、一般的にはありません。しかし、ストレスが高まった時には、寝不足や疲労によって、歯の調子もおかしくなる事がよくあります。

これらの痛みの原因は、ストレスによって間接的に身体の抵抗力が低下していることが関係しています。ストレスによって間接的に身体の抵抗力が弱まり、歯痛が出てくると、身体の抵抗力で痛みを押さえ込んでしまい、歯茎が腫れる事もあります。

精神的ストレスが原因である場合、ストレスにさらされることにより、血液中に含まれるカテコールアミンという物質が増加します。このカテコールアミンの増加が、歯の周りの血管に悪影響を与え、歯痛が起こるのです。

5.まとめ

歯は、私たちが思っているよりも、とてもデリケートです。日頃のお手入れは勿論の事、ストレスなど、ちょっとした事でもすぐに痛む事があります。歯が痛いときにやってはいけない事は、日々の生活習慣ともつながりがあるので、意識しながら対策していきましょう。

経歴

1975年 東京歯科大学 卒業
1975年~1977年 新宿ビル歯科 勤務
1978年 早川歯科医院 開業
現在に至る

執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

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