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悪い歯並びを直すための9つの矯正法とさまざまなメリット

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歯並びを直したいけど、どんな風に矯正するのか、治療期間や費用はどのくらいかかるのか、気がかりなことも多いと思います。歯列矯正というと、ワイヤーを歯の表側に施すブラケット矯正が思い浮かぶと思いますが、現在の歯並びの状況や、あなたのニーズに合わせた、さまざまな矯正法があります。また、健康保険が適用となるケースもあります。事前に、こうした周辺知識を知ることで、歯並びを直すイメージがより具体的に描けるはずです。

また、歯並びを直したい方は、歯の見た目の美しさを手に入れたいというのが、大きな動機の一つではないでしょうか。しかし、歯並びを直すことは、こうした審美的な側面だけではなく、歯の健康を保ちやすくしたり、消化吸収を改善するなど、実に幅広いメリットがあるのです。メリットを知れば知るほど、歯並びの矯正に迷われている方は、より前向きに臨めることでしょう。

1.悪いとされる歯並びと9つの矯正法

あなたはどんな歯並びに該当するのか? それに対して、どんな矯正法があるのかを、まず、おおまか知っておきましょう。悪い歯並びの程度の差もあり、また悪い歯並びが複合しているケースもありますが、主な矯正法を予備知識として知っておくことで、歯科医の先生と、より具体的な相談ができるはずです。下記のイラストで自分自身の歯並びをチェックし、2章で、それに適した矯正法を見つけることが可能です。

◆自分自身の歯並びをチェック

・上顎前突(じょうがくぜんとつ)上顎前突(じょうがくぜんとつ)

出っ歯と言われるもので、上顎全体が前方に突出しているケースもある

 

過蓋咬合(かがいこうごう)・過蓋咬合(かがいこうごう) 

上部の歯全体が下の歯へ大きく被さるように噛みこんでしまう状態

 

上下顎前突(じょうげがくぜんとつ) ・上下顎前突(じょうげがくぜんとつ) 

上の前歯のみならず、上下の前歯が前方に突出した状態

 

反対咬合(はんたいこうごう)・反対咬合(はんたいこうごう)

下の歯が上の歯よりも前面になって咬合した状態

 

交叉咬合(こうさこうごう)・交叉咬合(こうさこうごう)

部分的に上下の噛み合わせが逆になる状態

 

叢生(そうせい)・叢生(そうせい)

歯が部分的に奥まったり突出してしまったりする、いわゆる乱ぐい歯

 

空隙歯列(くうげきしれつ)・空隙歯列(くうげきしれつ)

歯と歯の隙間が多い歯列で、いわゆる「すきっ歯」の状態

 

1-1ブラケット矯正

歯並びを直す最もスタンダードな方法が、「ブラケット矯正」です。歯の1つ1つにブラケットという器具を取り付け、そこにワイヤーを通して引っ張ることで、矯正をします。

メリット

全体的な歯並びと噛み合わせを改善でき、それぞれの歯を0.1ミリ単位で矯正することも可能です。また、過去の十分な実績があり信頼性の高い歯列矯正法といえます。

デメリット

やはり見た目の悪さが上げられます。金属製のブラケットが目立つため、矯正中の見た目が悪くなりますが、透明のクリアブラケットを使う方法もあります。また、ブラケットやワイヤーの間に、食べかすや歯垢などが溜まりやすくなるので、しっかりとケアしないと虫歯になりやすいというデメリットもあります。

矯正方法_ブラケット

費用と治療期間の目安

80万円程度、2年半から3年程度

この矯正法が適用できる歯並び

上顎前突(じょうがくぜんとつ)

過蓋咬合(かがいこうごう) 上下顎前突(じょうげがくぜんとつ) 

反対咬合(はんたいこうごう)

 

 

 

交叉咬合(こうさこうごう)

叢生(そうせい)

 

 

 

1-2 舌側ブラケット矯正

ブラケットを歯の裏側(舌側)に装着してワイヤーで矯正するのが、「舌側ブラケット矯正」です。表ブラケットを装着するよりも、歯並びを整えることが技術的に難しくなり、費用もブラケット矯正より割高になります。

メリット

舌側なので、矯正中の見た目の悪さがないのが大きなメリットとなります。

デメリット

ブラケットが内側にあり舌に接するので、装着に違和感を感じるケースもあります。もちろん、通常のブラケット矯正と同様に、虫歯になりやすいので、入念なケアが必要です。

舌側ブラケット矯正

費用と治療期間の目安

120万円程度、3年程度

この矯正法が適用できる歯並び

上顎前突(じょうがくぜんとつ)過蓋咬合(かがいこうごう)上下顎前突(じょうげがくぜんとつ)交叉咬合(こうさこうごう)

 

 

 

叢生(そうせい)

空隙歯列(くうげきしれつ)

 

 

 

1-3 マウスピース矯正

ブラケット矯正と違い、取り外しが可能なマウスピースを使った矯正方法です。定期的に「アライナー」と呼ばれるマウスピースを交換して、歯を徐々に移動させていきます。歯列の凹凸を直すような比較的簡単な矯正に使用され、歯を動かす距離が大きい場合には向いていません。

メリット

自分で簡単に取り外しができることと、ブラケット矯正と比べて、歯のケアがしやすく、虫歯になりにくいこと。

デメリット

人前に出るときにも、取り外しておけば見た目の悪さを気にかけることはありません。ただし、これがデメリットにもなります。1日の装着時間は20時間くらいが目安ですが、ついついさぼってしまい、治療期間が長くなってしまう場合もあります。

マウスピース矯正

費用と治療期間の目安

上下で80万円程度、1年から2年程度

この矯正法が適用できる歯並び

上顎前突(じょうがくぜんとつ)過蓋咬合(かがいこうごう)空隙歯列(くうげきしれつ)

 

 

 

1-4 ダイレクトボンディング法

ブラケット矯正やマウスピース矯正など、歯列全体を移動させる矯正法とは異なり、歯科用レジンを歯に盛りつけて、歯の隙間などを埋める矯正法。主に、空隙歯列(すきっ歯)などを直すために用いられます。

メリット

健康な歯を削るなどの処置が不要なため、治療が短期間で済み、既存の歯にセラミックを被せる治療よりも安価で、破損した時の修復も簡単に行うことができます。また、保険適用内での治療も可能です。

デメリット

仕上がりが歯科医の技能に大きく依存することです。より審美性を求める場合は、質の高い歯科用レジンを用いるため、多くの場合は、保険適用外となります。また、レジンは長期の使用によって変色する素材で、定期的な修復が必要です。

ダイレクトボンディング法

費用と治療期間の目安

1万円から5万円程度(自費の場合)、数日程度

この矯正法が適用できる歯並び

空隙歯列(くうげきしれつ)

 

 

 

1-5 セラミック矯正(クイック矯正)

既存の歯にセラミックの被せ物を施す治療法がセラミック矯正です。主に、審美性を高めることに重きが置かれ、歯の表面にラミネートベニアと呼ばれる被せ物を、つけ爪のように装着したり、歯を覆うようにクラウンを被せる方法などがあります。セラミックはレジンのように変色しないので、白い歯にすることも可能です。また、一部の歯の形を変えて、部分的に噛み合わせを良くするような矯正に向いています。

メリット

既存の歯を移動させて審美性を高める方法と比較して、治療が短期間で済みます。

デメリット

セラミックを被せる場合、ラミネートベニヤやクラウンを装着できるよう、通常、既存の歯を削ったり、歯髄を抜く処置が必要となり、健康な歯の寿命を縮めてしまう可能性もあります。全体的な噛み合わせを改善するには適していません。

矯正方法 ラミネートベニヤ

費用と治療期間の目安

セラミッククラウン1本あたり7万円から15万円程度、1ヶ月から3ヶ月程度

この矯正法が適用できる歯並び

上顎前突(じょうがくぜんとつ)空隙歯列(くうげきしれつ)

 

 

 

1-6 部分矯正

主に、前歯の歯並びを直すのに用いられるのが部分矯正です。前歯だけにブラケット矯正やマウスピース矯正を施したり、あるいは乱杭歯を抜歯したり削ったりして、重なりを改善するような処置を行います。奥歯の噛み合わせを改善する必要のない場合に適しており、全体的な噛み合わせの改善はできませんまた、部分矯正をセラミック矯正と併用するハイブリッド矯正もあります。

メリット

セラミッククラウンを被せることで、歯の移動距離を少なくして、短い期間で治療を終えることができます。

デメリット

クラウンを被せるために、セラミック矯正同様に、健康な歯を削る必要があります。

費用と治療期間の目安

矯正費用15万円から30万円程度+セラミック1本7万円から15万円程度、3ヶ月から1年程度

この矯正法が適用できる歯並び

叢生(そうせい)

 

 

 

1-7 抜歯による矯正

抜歯をすることで、歯の空間に余裕を作る方法で、ブラケット矯正など、他の矯正法と併用されることが多い矯正法です。たとえば、顎が小さく、歯が綺麗に並ぶスペースがない場合、乱杭歯になったり、上顎前突や上下愕前突になったりします。こうした場合、歯を抜くことで、矯正によって歯を動かすスペースを作ることが可能となります。

メリット

適切な空間を作ることで、効果的な矯正ができることです。

デメリット

健康な歯を抜いてしまうことが上げられます。

費用と治療期間の目安

併用される矯正法による

この矯正法が適用できる歯並び

上顎前突(じょうがくぜんとつ)叢生(そうせい)

 

 

 

1-8 外科矯正

上記のような矯正では困難な場合に、顎の骨を切るなど外科的な手術を施すのが外科矯正です。顎変形症の場合など、保険の適用が可能となる場合もあります。

メリット

通常の矯正法よりも著しい矯正効果が期待でき、治療期間も大きく短縮できる可能性があります。

デメリット

全身麻酔による本格的な外科手術を受ける必要があり、手術後に顔が痺れたりするケースもあります。また、保険を適用するためには、認定された医療機関で顎変形症の診断結果を受けた後、術前矯正、外科矯正、術後矯正のプロセスを経ることが必要です。

費用と治療期間の目安

50万円から60万円(保険適用の場合)、術前矯正6ヶ月から1年半、手術後入院期間2週間程度、術後矯正6ヶ月から1年半

この矯正法が適用できる歯並び

過蓋咬合(かがいこうごう)

反対咬合(はんたいこうごう)

 

 

 

 1-9 インプラント矯正

歯の矯正法で、比較的新しい方法の一つです。歯骨にインプラントを埋め込み、それを固定源としてブラケット矯正を行うというものです。

メリット

矯正のための、強固な固定源を使うことで、より良い治療結果が得られる可能性が高まることと、治療期間を大幅に短縮することができます。

デメリット

インプラントを埋めるための手術が必要なこと、治療費が高額になることなどが上げられます。また、新しい技術のため、こうした矯正のできる歯科医が限られていることです。

費用と治療期間の目安

13万円から15万円 ブラケット矯正と比較して、最大約半分の治療期間

2.歯列矯正で保険が適用可能なケース

歯並びを直すさまざまな方法をご紹介しましたが、ダイレクトポンディング法を除き、多くは保険適用外となります。ただし、保険適用が可能となるケースもあります。それは、唇顎口蓋裂、頭蓋骨異形成など、全23疾患の先天異常がある場合と、顎変形症であると診断された場合です。

顎変形症とは、歯の噛み合わせが原因となり、顎が変形しているような状態です。上顎が出てしまう上顎前突、下顎が出てしまう下顎前突、顎が左右非対称になってしまう顔面非対称症などが上げられます。

顎変形症

◆保険を適用して治療する際に必要なプロセス

まず、保険の適用に際して、次の2つのことを知っておきましょう。顎変形症で保険が適用できる医療機関は定められていること。そして、保険の適用には外科的な手術が必要であること。保険適用の際に定められた医療機関とは、顎口腔機能診断施設(がくこうくうしんだんしせつ)です。

顎変形症であると診断できる所定の医療機器を備えており、外科手術や矯正処置のできる医療機関との連携のある施設が、顎口腔機能診断施設として、認定されています。

外科手術が必要とされる理由は、そもそも、保険が適用されるのが外科手術を要する矯正治療のみであるからです。従って、治療の流れとしては、手術前の矯正治療→外科手術→手術後の矯正治療となります。所定の施設で顎変形症と診断され、一度、保険の適用が認められても、こうした治療のプロセスを経ず、後から外科手術をやめてしまった場合などは、遡って自費での支払いを求められることになります。

3.歯並びを直すさまざまなメリット

矯正法によっては、費用も治療期間もかかる歯列矯正ですが、そのメリットは単に歯並びが美しくなるだけではありません。矯正後のさまざまなメリットを知っておきましょう!

3-1 歯並びはフェイスラインにも好影響を与えます!

歯並びを直すさまざまなメリット

歯列の矯正というと、歯並び自体を美しくするイメージがありますが、それだけではありません。歯並びは口元のラインや顎のラインにも大きく関わっていることを知っておきましょう。実際、歯並びだけを直すつもりで臨んだ方でも、治療後には口元や横顔のライン、表情までもが美しく改善され、想像以上の変化に驚かれる方が多いものなのです。

3-2 歯の健康はもとより体の健康にも直結します!

しっかりと歯磨きしているつもりでも、歯並びが悪ければ、ブラッシングができない箇所が生じたりもします。恒常的に、食べかすや歯垢が溜まりやすくなる箇所があれば、そこから、虫歯や歯周病へとつながっていきます。歯並びを直すと、ブラッシングがしやすくなり、虫歯や歯周病、口臭の予防なども効果的に行えます。

また、噛み合わせが悪ければ、当然、咀嚼が不十分となり、胃腸の消化吸収に対する負担が増してきます。歯並びを直すことで、咀嚼の機能が高まり、消化吸収の大きな改善へとつながって、健康増進にも大いに役立つのです。

3-3 美しい歯からメンタルも大きく変わります!

歯を見せて笑うことに、引け目を感じていた方は、当然、明るい笑顔を積極的に見せられるようになります。歯並びを矯正された方は、メンタル的にも明るく前向きな生活に変わったことを実感するケースが実に多いのです。

さらに、歯のケアに対する意識も、以前よりもずっと向上するものです。一度、手に入れた美しい歯を損ないたくないという意識が高まり、日頃のケアも熱心になり、歯の健康を保つ習慣を高める大きなモチベーションにもつながってくるのです。

4.歯並びを悪くする生活習慣と自分で直す方法

せっかく矯正治療をしても、元の歯並びに戻っていってしまうケースもあります。歯並びは日々積み重ねられる日常生活の悪い習慣が起因する場合もあるからです。たとえば、頬杖やうつ伏せ寝などは、ブラケット矯正やマウスピース矯正などの矯正治療の何十倍もの力が歯にかかると言われています。

口呼吸や唇を噛む癖がある方も要注意。唇や舌が歯に与える力のバランスが崩れて、歯並びを悪くする可能性があるからです。悪い習慣を列挙すると、他に、歯の片側での咀嚼、舌を歯の内側に押し付ける癖、爪を噛む癖、指しゃぶりなどが上げられます。

逆に、良い癖や生活習慣を積み重ねることで、歯並びを自分できれいにすることだって、不可能ではありません。歯の位置は、内側から押す舌と外側から押す唇の力のバランスによって決まるといわれ、以下のトレーニングを行うことで、そのバランスを改善し、噛み合わせや歯並びが徐々に改善されるというものです。

その一つがガムを使ったトレーニングです。ガムをよく噛んだ後、それを舌で口蓋の上部に広げます。そして、舌でそのままガムを上顎に押し付けたまま、奥歯を噛んで唾液を飲み込みます。

矯正方法 ガムを使ったトレーニング

べろ回し法というのもあります。口を閉じた状態で、舌を歯の外側に沿わせてぐるぐる回すというものです。上部の右奥歯から左奥歯に回し、その後、下部の左奥歯から右奥歯へと回します。1周2、3秒で行い、50回、逆回りで50回で1セット。これを、朝昼晩で1セットずつ行うというものです。

唇に重点を置いたトレーニング方法もあります。唇全体を歯で覆うようにくわえ、歯を押さえつけるように唇に力を入れ、最後にパンッと音を立てるように、くわえた唇を開放します。

矯正方法 唇に重点を置いたトレーニング方法

5.まとめ

歯並びを治す際、歯並びの悪さの程度やその矯正法によって、費用と長い治療期間のかかるものもあります。また、保険が適用されるケースでは外科手術による矯正が必須です。しかし、歯並びを整えることは、見た目を良くすることだけでなく、咀嚼機能や消化機能を高めたり、笑顔に自信が持てたりと、心身ともに健康になり、多大な好影響を与えてくれるものなのです。

歯並びの整った歯は、ケアしやすくなる上、歯を大切にする意識がより高まります。様々な矯正法を予備知識として頭に入れておけば、歯科医を選ぶ際や、歯科医に相談する際にも大いに役立つはずです。

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