虫歯は初期の段階ではなかなか気づきにくいものですが、痛みを伴う前に発見して悪化を防ぐことは可能です。この記事ではまず虫歯の原因を紹介していきます。そして、修復可能な「初期虫歯」とはどんな状態のものを指すのか、解説していきます。
夏を迎えると冷たく甘いものを口にすることが多くなると思います。虫歯予防の「対策」もここで提供していきます。
この記事の目次
1.虫歯の原因は「脱灰(だっかい)」
1-1 虫歯の原因菌は「ミュータンス菌」
虫歯の原因となっている菌が「ミュータンス菌」と呼ばれる細菌です。この細菌は、生まれたての赤ちゃんの口の中には存在しませんが、例えばお母さんが口移しで赤ちゃんに食事をさせると唾液を通して感染してしまいます。また、母親と同じスプーンを使った場合でも同様のリスクが伴います。そして、ミュータンス菌はそのままお口の中に棲みついてしまいます。
1-2 脱灰によって歯に穴が空き、虫歯に
お口の中に棲みついたミュータンス菌は、歯に付着すると「歯垢(プラーク)」を作り出します。歯垢が好むのは糖質で、糖分を含んだ甘いものばかりを食べていると虫歯になるといわれるのはそのためです。
虫歯は糖質を使って酸を発生させます。歯の成分はカルシウムやリンでできていますが、この成分が、酸によって溶かされてしまいます。これを「脱灰(だっかい)」といい、やがて歯の表面のエナメル質に穴が空いてしまうと『虫歯』になるわけです。
2.穴が空く前の「初期虫歯」と「再石灰化」
エナメル質に穴が空く寸前の状態を「初期虫歯」と呼びます。この状態はまだ修復が可能で、お口の中の唾液の作用によって酸を中和してくれる「再石灰化」によって溶けた歯の成分(カルシウムやリン)を元に戻してくれるのです。
2-1 「フッ素」によって再石灰化を促す
再石灰化を促すには、「フッ素」が有用です。フッ素によってエナメル質が修復され、歯質を強化することができます。私たちが普段の歯磨きで使用している歯磨き粉にフッ素が配合されているのはそのためです。また、フッ素は歯医者さんで塗布してもらうことも可能です。
2-2 キシリトールによる作用
虫歯予防の作用を発揮するお菓子として、キシリトール配合のガムが存在します。自然の甘味料である「キシリトール」はお口の中で酸を発生させることがなく、さらに、ガムを噛むことで唾液の分泌が良好になり、再石灰化を促進してくれます。
3.もしも虫歯になってしまったら?
脱灰が進行して、もしも虫歯になってしまったら、セルフケアではどうすることもできません。速やかに歯医者さんで治療してもらうようにしましょう。虫歯は進行すると、エナメル質の先の象牙質、さらに神経にまで到達すると強い痛みを伴います。そのまま放置すると大切な歯を失う結果になります。
4.夏の虫歯対策~注意すべきポイント
虫歯になりにくい季節というのはありませんが、これまで述べてきたように虫歯の原因菌は糖質を使って酸を発生させます。特に夏は、糖分を多く含んだジュースや炭酸飲料、甘いシロップのかかった冷たい「かき氷」や「ラムネ」など、甘い物を口にする機会が多くなることが予想されます。
また、暑い季節に大量の汗をかいて、「スポーツドリンク」を飲むこともあるかもしれません。スポーツドリンクは身体に必要なカルシウムやマグネシウムなどを多く含む一方、ほとんどの製品が糖分を多く含みます。過剰に摂取してしまうと虫歯リスクを高めてしまいますので注意が必要です。
水分補給は大切ですが、適量を守って虫歯にならないように気をつける必要があります。最近では「経口補水液」と呼ばれる製品も販売されています。経口補水液はスポーツドリンクよりも糖分が少なく、夏の屋外で脱水症状を引き起こした際などに向いています。
5.まとめ
虫歯の原因を知ることで、自分自身でも対策を講じることができます。それでも虫歯になってしまったら、歯医者さんで早期に治療してもらうことが大切です。日頃の歯磨きの仕方が気になっているのであれば、磨き方のポイントも丁寧に教えてもらえるはずです。自分では気づきにくい初期虫歯を見つけるには、歯医者さんでの定期検診も重要です。
暑い夏。かき氷、炭酸飲料!スポーツドリンク。すべてが虫歯リスクの高いものになります。食べたら磨く、これって幼少期に習っていることですよね。外出先で歯磨きができない時でもせめてうがいだけでもしてほしいと思います。私は甘いものが大好きなので・・・歯磨きします。
執筆者:
歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。