就寝時の歯ぎしりについて、お悩みをお持ちの方はいらっしゃいませんか? 歯ぎしりは寝ている間に無意識に行われているものなので自分自身では気付きにくいものです。
そんな、やっかいな“歯ぎしり”を抑える一つの方法として、使用されているのがマウスピース! 今回は、マウスピースを使うことで、歯ぎしりは抑えられるのか否かについての説明をしていきます。
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1.マウスピースの効果や使用方法
マウスピースとは、取り外し可能な矯正装置のようなものです。マウスピースを睡眠時にはめることで、歯ぎしりによる悪影響を軽減させます。では、実際の効果はどのくらいあるのでしょうか?
この章では、マウスピースの効果や効果的な使用方法について説明していきます。
1-1 歯ぎしりにおけるマウスピースの効果
歯の擦り減りを軽減できます
歯ぎしりの「ギリギリ…」という音は、歯と歯がすれる音です。その際に、歯が削れてしまい、歯に与えるダメージが大きくなります。マウスピースを使用することにより、上の歯と下の歯が直接すれ合うことを防止し、歯のすり減りを防止し、歯ぎしりの音の軽減にもつながります。
顎の痛みの軽減・顎関節症の予防
歯ぎしりによって、歯や歯茎・顎にかかる負担は思っている以上に大きいです。マウスピースのゴムが、歯にかかる負荷を吸収してくれるので、歯や顎にかかる負担を軽減することができ、顎の痛みの軽減と顎関節症の予防につながります。
筋肉の緊張をやわらげる
歯ぎしりが行われているときは、口元や顎の筋肉が緊張し、硬くなっています。マウスピースを使用することで、かみ合わせの位置が高くなり、歯に力が入らなくなるので筋肉の緊張を和らげることが出来ます
安心感が得られる
気持ちの面になりますが、「マウスピースをつけていれば大丈夫!」といった安心感がうまれ、ストレスから開放され、リラックスした状態を維持し眠りにつくことができます。
1-2 マウスピースを使うベストタイミング
日中は歯ぎしりを自分でコントロールすることができますが、就寝時は無意識に歯ぎしりや食いしばりを行ってしまい、自分でコントロールすることができないため、マウスピースを着用するタイミングは夜寝るタイミングがベストといえます。
2.マウスピースは歯医者でも市販でも購入可能!
2-1 歯医者で作るマウスピース
マウスピースは歯医者さんで作製してもらえます。マウスピースを手に入れるまでの流れと、費用の相場について説明します。
【治療の流れ】
検査
まずは問診を行い、レントゲン撮影によるお口の中の状態と顎骨の診断を行います。
マウスピース作製
歯型をとり、患者さんのお口に合わせたマウスピースの作製に入ります。検査・診断後、通常の歯医者さんでは1~2週間後に受け取りになります。中には、1~2日後に作成が完了する歯医者さんもあります。急ぎの方にはピッタリです。
【マウスピース作製のイメージ】
受け取り後、就寝時に使用開始
最初は違和感がありますが、慣れ始めると安心して眠りにつくことができます。
【費用の相場】
歯ぎしりのためのマウスピースの作成でしたら、保険適用で約5,000~7,000円程度で作製可能です。病名・処置方法などによっては、保険が適用されない場合もあるので、しっかりドクターと話し合いましょう。
2-2 市販でも購入可能
様々なマウスピースが売られていますが、大きく分けてマウスピースの種類は2つあります。
自分で歯型を作る場合は、お湯につけて柔らかくし、歯型を付けます。口の中からだし冷ますと、自分自身の歯型がついたマウスピースが出来上がります。 |
奥歯だけ固定さ 柔らかい素材で出来ており、奥歯にスーと当たり、お口にかかる負担も少ないです。自分に合った方を使用してみてください。 |
3.マウスピースの適した洗浄・保管方法
マウスピースにもハードタイプとソフトタイプの2種類があります。それぞれに合った洗浄方法・保管方法があるので、正しく洗浄・保管し、マウスピースを長持ちさせましょう。
3-1 ハードタイプの適切な洗浄方法
ハードタイプは、固く変形しないものです。ハードタイプの材料には、吸水性があり、乾燥してしまうと割れやすくなっているので未使用時は水中保管しましょう。
吸水性があるため、唾液の成分等が吸収され黄ばみが出てきたり、臭いが気になったりすることがあります。そのときは、入れ歯洗浄剤の総入れ歯用を使用すると良いです。装着する際は、一度ブラッシングすると良いでしょう。
3-2 ソフトタイプの洗浄方法
ソフトタイプは、シリコンのような柔らかい材質で変形します。基本的に乾燥状態の保管になります。手洗いしてから、風通しの良い場所で保管しましょう。ヌメリや汚れが気になる方は、マウスピース用洗剤で洗うといいでしょう。
4.歯ぎしりの原因やそこからくる影響について
1章から3章には、マウスピースの使用方法や効果などについてお伝えしましたが、この4章では、元々の歯ぎしりの原因や、その種類や影響について説明いたします。
4-1 歯ぎしりの原因
大きな原因は「ストレス」
歯ぎしりの原因は大半が「ストレス」と言われています。一日過ごしていたら、ストレスを感じることも多々あると思います。ただ、受けたストレスを溜め込み、発散することが出来ずにいると就寝中に歯ぎしりや食いしばりが起きやすくなります。
かみ合わせの問題
かみ合わせが悪く、顎の骨格の異常によって、歯ぎしりが起こりやすくなります。かみ合わせが悪いと、私達は無意識の内に痛みを感じない方を使うようになります。そのため、一箇所の歯や歯茎に負担がかかり、筋肉に負荷が偏ってしまいます。
また、無理にかみ合わせを合わそうとして不正咬合が起こる場合もあります。
その他の要因
過剰な喫煙やアルコール摂取も歯ぎしりの原因になるといわれています。
4-2 歯ぎしりの種類
グラインディング
強く食いしばり上下の歯をすり合わせる症状です。「ギリギリ」という音がする歯ぎしりです。グラインディングが続くと、歯の噛み合わせの面が擦り減り、かみ合わせの悪化にもつながります。起床時には、口元の痛みや顎の痛みを感じることが多いです。
クレンチング
奥歯を強く食いしばる症状です。音が出ないのが特徴ですが、強く食いしばることで歯や歯茎などにかかる負担は大きく、起床時に、顎の痛みを強く感じることがあります。
タッピング
タッピングとは、「カチカチ」とかみ合わせ音がなる症状です。上記の2つに比べ、歯や歯茎・顎にかかる負担は少ないです。
4-3 歯ぎしりによる悪影響
歯肉炎や顎関節症になる
歯ぎしりの力は、約40~60キロに及ぶといわれています。それほどの力が歯や歯茎、顎には大きな負担がかかっています。毎晩のように歯ぎしりを行っていたら、歯を痛め、歯茎の炎症を引き起こすこともあります。
偏頭痛や肩こり
口の動きと顎の動きは連動しており、咀嚼筋や側頭筋にも負荷がかかってきます。そして、その筋肉は頭部や首の筋肉までつながっています。歯ぎしりを行っている際は、筋肉が過剰運動しており、常に働いている状態です。そのため、余計な力を使い、疲労感からくる偏頭痛や肩こりの原因にもなってきます。
4-4 歯ぎしりの予防法
ストレスを溜め込まない!
よく笑い、好きなものを食べ、趣味などを見つけてみましょう! ストレスを溜め込まないことが、一番の歯ぎしりの予防法になります。
かみ合わせの矯正治療
かみ合わせがあまりに悪い場合は、かみ合わせ治療を行うことで歯ぎしりの緩和につながります。
筋肉のマッサージ
耳の前や耳の下、頬骨の下まで押したり伸ばしたりしてみても良いでしょう。マッサージで筋肉をほぐしてあげると、血液の流れも良くなり、顎の痛みも楽になります。
質の良い睡眠ができる環境をつくりましょう
睡眠は非常に大切です。十分な睡眠時間と質の良い睡眠ができるよう、安眠できる環境をつくるようにしましょう。
マウスピースの使用
この記事でも述べてきたように、マウスピースを使用し、歯ぎしりを抑え、歯ぎしりからくる悪影響を軽減させましょう。
5.まとめ
歯ぎしりは無意識のうちに起こる症状です。自覚症状がない分、気付きづらいものです。下記のセルフチェック表で、自分自身が歯ぎしりをしている可能性があるか確かめてみてください。
簡単 セルフチェック | |
□ | 起床時、口元や顎が疲れている、重い |
□ | 寝る前より、朝起きたときの方が知覚過敏を感じる |
□ | 歯にヒビがある・欠けたことがある |
□ | 頬の内側・舌を噛んだ痕がある |
□ | 集中している際、口元に力が入っている |
□ | 歯が欠けたり、折れたり、ヒビが入っていたりする |
□ | 治療済みの詰め物や被せ物が取れやすい |
皆さん、セルフチェックはいくつ当てはまりましたか? 多く当てはまった場合は、早めに歯医者さんに相談しましょう。
歯ぎしりは、自覚症状がないものなので、発見がおくれると口元だけではなく身体にまで悪影響を与えます。歯ぎしりによって、歯や歯茎・顎にかかる力は約40~60キロと言われています。そんな力が毎晩加わっているとしたらどうでしょうか? 「たかが歯ぎしり」と考えている方も多いと思いますが、自分自身の口元をしっかりと守ってあげましょう。
守る方法の一つとして、マウスピースがあります。市販での購入もできますし、歯医者さんでマウスピースを作ってもらうこともできます。
市販で購入したマウスピースもおすすめですが、長く使用しているとマウスピースの型が崩れてきてフィットしなくなり、装置すると痛みを感じることもあります。そのため、継続的に使用したい方やしっかりと歯ぎしりを治したい方は歯医者さんへ行き、自分に合ったマウスピースを作ってもらうのがベストといえます。
またマウスピースを作ってもらおうか悩んでいる場合でも、自分自身の口内環境を知ることが対策の一つともいえるので、歯医者さんへ見てもらいましょう。
執筆者:歯の教科書 編集部
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