12年間、過敏症の方向けに竹製の歯ブラシを作り続けてきたワケ

    12年間、過敏症の方向けに竹製の歯ブラシを作り続けてきたワケ

    毎日使用している歯ブラシですが、歯ブラシの形や種類はとても多くなっています。子供用から高齢者用まで、幅広い年齢層向けの歯ブラシがあります。今は身体が不自由な方用の歯ブラシも作られていますが、あなたは歯ブラシを選ぶときのこだわりはありますか?

    今回は、環境や身体に配慮をした「竹の歯ブラシ」について紹介します。

    歯ブラシメーカーのファイン株式会社に伺い、竹の歯ブラシについていろいろ調査しました。ファイン株式会社とは、約60年にわたり歯ブラシを扱っている老舗の歯ブラシメーカーです。今回は、代表取締役の清水直子(しみずなおこ)さんに、竹の歯ブラシはどんな方が利用しているのかなどを教えていただきます。

    この記事の目次

    土に埋めるとなくなる歯ブラシ?竹の歯ブラシとは

    写真:竹の歯ブラシ

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    歯の教科書 編集部

    竹の歯ブラシとはどのようなものなのでしょうか?

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    ファイン株式会社 清水直子さん

    竹の歯ブラシとは、日本の竹とデンプンを原料にしている歯ブラシです。

    ブラシ部分は豚毛を使用しているので、歯ブラシを1年くらい土に埋めるとブラシ部分はなくなってしまいます。豚毛ではありませんが超極細毛の物もあるので、好みで選んでみてくださいね。

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    歯の教科書 編集部

    歯ブラシの柄には植物資源(日本産の竹と植物由来の樹脂)を100%使用しているため、使用後に破棄処置する際の燃焼カロリーが低く、CO2の増加もしづらいため環境にも優しいそうですね。環境に優しい竹の歯ブラシを作った理由はなんですか?

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    ファイン株式会社 清水直子さん

    姪っ子がアトピーをもって生まれてきたんです。それで食べ物をあげるときに、乳製品が入っていないかどうかなど商品の裏を見始めたんですよね。

    そうすると、いろいろな物が入っていることに気がつきまして・・・。それを機に、エコに関心が向かうようになりました。

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    歯の教科書 編集部

    なるほど。歯ブラシと言えばプラスチックのイメージが強いですよね。

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    ファイン株式会社 清水直子さん

    以前はプラスチックを不燃ゴミとして出していて、埋め立てることができたので、大量の歯ブラシを埋め立てていましたが、その数字を考えたときに、エコの歯ブラシが必要なのではないか、と思ったんです。

    ただ、みなさんはエコと歯ブラシへは結びつかないですよね・・・。

    竹の歯ブラシを使用するユーザーは化学物質過敏症の方

    写真:ファイン株式会社 清水直子(しみずなおこ)さん

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    歯の教科書 編集部

    そうすると、竹の歯ブラシを使用しているのはどのような方なのでしょうか?

    ファイン株式会社 清水直子さん
    ファイン株式会社 清水直子さん

    最近は脱プラ生活(脱プラスチック生活)を送っておられる方が増えてきましたが、竹の歯ブラシを使用しているのは、実は化学物質過敏症の方が多かったんです。その方たちのために12年間ずっと竹歯ブラシを作り続けてきました。

    化学物質過敏症の方はインクや紙にも触れられないんです。再生紙だと漂白剤とかが入っているので。化学物質過敏症がどんどん進んでくると、今度は電磁波過敏症になるので、スマホを見ることもできなくて、スマホの画面を見ているだけで頭が痛くなってしまう人もいるそうです。

    なので、なかなかその人たちに、この商品の情報を届けることができないんです。

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    歯の教科書 編集部

    届けたい人たちに思いが届かないのはジレンマですね。それでも、竹の歯ブラシを作り続けた理由は何だったのですか?

    ファイン株式会社 清水直子さん
    ファイン株式会社 清水直子さん

    でも、普通の歯ブラシだと手で持つこともできないんです。なので、竹の歯ブラシを作るのをやめると、化学物質過敏症の方は追い詰められた気持ちになるんだそう。

    明日からは何で歯を磨こうって感じですよね。化学物質過敏症の方は、歯医者さんにもいけないんです。薬剤が使用できないので、きちんと自分で歯を磨かないといけない。

    そのため、竹の歯ブラシを作るのをやめないでという声をいただきます。なので、ほそぼそと作り続けてきました(笑)。

    歯の教科書 編集部まとめ

    竹の歯ブラシがあると、正直知りませんでした。環境にいいだけではなく、化学物質過敏症の方も使える歯ブラシは、これからも作り続けていただきたいなと感じます。以前は有機食品などを売っているスーパーマーケットのような所にしかなかったようですが、最近は置いてくれるところが増えてきたので、見かけたときにはチェックしてみてください。

    執筆者:歯の教科書 編集部

    執筆者:歯の教科書 編集部

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