“口臭”みなさん1度は気にしたことがあるのではないでしょうか。「周りの人に不快感を与えていないかな」「歯をしっかりと磨いているのになぜ口が臭うのだろう」と悩んでいる方もいるはず。
鶴見大学・口腔微生物学・大島朋子教授監修のもと、なぜ口臭は起こるのか、その対策方法をまとめました。
口臭の正しいケア方法が気になる方、ぜひ参考にしてください。
1.口臭はなぜ発生するのか
口臭が発生する理由は、主に3つの成分に関係しています。
・硫化水素
・メチルメルカプタン
・ジメチルサルファイド
これら3成分は、歯周病原菌が食べかすなどに含まれるタンパク質を分解することで発生します。硫化水素は卵が腐ったような臭いが特徴で、これが口臭の主な原因になります。
メチルメルカプタンはタマネギが腐ったような臭い、ジメチルサルファイドはキャベツが腐ったような臭いがします。
この3つの成分は揮発性硫化水素というグループです。
口の中にある3つの成分は微量なので身体に悪影響はありませんが、目に見えるくらいの量だと“猛毒”になるくらいの威力があります。
2.口臭を抑えたい!正しいケア方法
②-1.歯を磨く正しいタイミング
食事をした後、なるべく早めに磨いた方がいいと考えます。
唾液には、食事で酸化している歯を中和し、再び硬さを取り戻す作用があるため、30分ほど経ってから歯を磨いた方がいいという説があります。
しかし、菌が食べかすなどの栄養素を取り込む速さは30分よりも早い可能性があります。そうすると結果的に、歯の再石灰化を助けても、歯磨き後に口内で菌が増えてしまうということにつながります。
そうならないためにも、まずは菌を落とした後で、唾液による作用を期待した方がより良いケアになります。
朝はとくにお口の中の菌が増えているので、朝食を取る前にうがいをした方がいいという意見もありますが、口の中の菌を飲み込んでも胃腸に入って健康を害するということはありません。
「朝一で歯を磨いた方が気持ちいい!」と思う方は磨いても何ら問題はありません。
②-2.舌のケアをしっかりと!歯ブラシでの舌掃除はNG
歯を磨くなどのケアはもちろん必要ですが、歯だけではなく舌のケアも大切です。
舌はつるんとしているように見えて、実はとても“でこぼこ”しています。そのくぼみに酸素が苦手な嫌気性菌(けんきせいきん)の一種である歯周病原菌がいます。その歯周病原菌の代謝物が口臭につながることがあります。
歯ブラシで舌を掃除すると逆に舌を傷つけてしまうので、舌ブラシを使った方がいいでしょう。市販でもあるので購入しやすいです。
歯医者さんで歯のクリーニングをおこなう、口臭外来で相談をしてみてアドバイスをもらう、なども方法の1つです。
歯の教科書 編集部コメント
多くの方が口臭を一度は気にしたことがあるのではないでしょうか。自宅で出来るケア方法もありますが、歯周病など根本の原因を取り除かないと口臭が解消しない場合もあるので、歯医者さんで定期的に検診を受けるといいかもしれません。
執筆者:
歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。