むし歯治療で銀歯にするメリット・デメリットと銀歯以外の選択肢

むし歯治療で銀歯にするメリット・デメリットと銀歯以外の選択肢

むし歯治療では、詰め物や被せ物の材料を選ぶ場面があります。

かつては保険診療で使える銀歯が広く用いられてきましたが、見た目を気にする方では、セラミックなどの白い材料を希望する場合もあります。セラミックは、天然歯に近い色調を目指しやすい素材です。

見た目だけではなく、金属を使わない材料を選ぶことで、金属アレルギーへの配慮ができる場合があります。また、材料や接着方法、適合状態によっては、二次カリエス(むし歯の再発)のリスクに配慮できる場合もあります。

また、詰め物が取れてしまった場合には、どのように対応すればよいのでしょうか?

避けたいこと、歯科医院を受診するまでに気をつけたいことが何点かありますので、いざという時に役立ててください。

※本記事に掲載している自由診療の料金は、2026年時点でEPARK歯科に掲載されている歯科医院の料金情報を参考にしたものです。料金は地域や施術内容、使用する機材、歯科医院の方針等によって異なります。実際の料金については受診予定の歯科医院へご確認ください。

この記事の目次

1.むし歯治療で銀歯にするメリットとデメリット

むし歯治療で使われる銀歯には、金銀パラジウム合金などの歯科用金属が用いられることがあります。セメントを使って歯に装着させ、保険診療で治療できる場合があります。

しかし装着後、時間が経つと歯や歯ぐきが変色してしまうこともあります。比較的、強度に配慮できる材料ですが、咬み合わせや使用状況によっては対合歯(たいごうし)に負担がかかる場合があります。また、金属アレルギーの原因となる可能性もあります。

この章では、むし歯治療で銀歯にすることのメリットとデメリットをまとめてみました。

1-1 銀歯にすることのメリット

強度があり保険が使える

金属ですので強度があり、長く使える場合があります。また、保険が使える治療では、費用を抑えやすいという特徴があります。

1-2 銀歯にすることのデメリット

見た目が目立つ

その名の通り「銀」色なので白い歯が並ぶ中、目立ってしまいます。それが気になって大きな口を開けにくいと感じる方もいるのではないでしょうか。また、金属成分の影響で歯や歯ぐきが黒く見えることもあります。

金属アレルギーの心配がある

金属を口の中に入れるため、金属アレルギーがある方は注意が必要です。歯科金属が原因と疑われる場合は、皮膚科や歯科で検査や相談を行うことがあります。

金属アレルギーは、口の中だけでなく、手や足など口から離れた部位に症状が出る場合もあります。症状の程度も人によって異なります。

銀歯の下でむし歯が再発することがある

銀歯と自分の歯をセメントで「つける」方法には、「合着」と呼ばれるものがあります。時間の経過や咬む力、適合状態によって、隙間や段差ができる場合があります。そこへ汚れや細菌が入り込むと、むし歯が再発するリスクにつながる場合があります。

2.銀歯を使わずにむし歯を治療する方法

むし歯になってしまったら、その部分を削ります。軽いむし歯であれば詰め物、進行している場合には被せ物をすることになります。

保険診療で負担を抑えやすく、強度に配慮した材料として金銀パラジウム合金などの金属材料が用いられることがあります。一方で、見た目に配慮したセラミックなどの治療法もあります。

2-1 ハイブリッドセラミック

「ハイブリッドセラミック」はセラミックとレジン(プラスチック)を組み合わせた素材です。自由診療となる場合があり、費用は高くなる傾向がありますが、天然の歯に近い仕上がりを目指しやすい素材です。また、変色しにくいとされるものもあります。ただし、素材の種類や使用部位によっては、金属に比べると耐久性に注意が必要な場合があります。

2-2 コンポジットレジン(プラスチック)

プラスチック系の材質です。保険診療で白い材料を使える場合があります。ただし、部位やむし歯の大きさによっては適応が限られることがあります。時間が経つと変色してしまうこともあります。小さなむし歯の治療に適している場合があります。

2-3 金

金合金(きんごうきん)や白金加金(はっきんかきん)でできています。天然歯に近い硬さとされ、咬み合う歯への負担に配慮して選ばれる場合があります。ただし、自由診療となることが多く、費用が高くなる傾向があります。

3.セラミックのメリット・デメリット

この章では、見た目に配慮しやすいセラミックを使ったむし歯治療について、メリットとデメリットをお伝えしていきます。

3-1 セラミックを使うことのメリット

見た目が天然歯に近い

透明感のある素材で、自分の歯の色に合わせやすい場合があります。また、素材によっては変色しにくく、プラークなどの汚れがつきにくいとされるものもあります。セラミックを選ぶ方は、見た目を重視している場合があります。

接着方法によりむし歯の再発リスクに配慮できる場合がある

セラミック治療では、接着性レジンセメントなどを用いて歯と修復物を接着する方法が使われることがあります。適切に接着され、修復物の適合が良い場合、隙間から細菌が入り込むリスクに配慮できる場合があります。

ただし、セラミックであっても、むし歯の再発や脱離がまったく起こらないわけではありません。治療後のセルフケアや定期的な歯科検診が大切です。

3-2 セラミックを使うことのデメリット

保険外のため費用が高額になる

セラミックは自由診療となる場合があります。歯科医院によるので一概には言えませんが、およそ57,000円~120,000円(1本)とされることがあります。

※2026年時点のEPARK歯科掲載情報を参考に編集部集計

材質によって破損する場合がある

歯ぎしりや噛みしめる力が強い場合、欠けてしまうことがあります。再度セラミックをかぶせ直してもまた破損してしまうこともあります。

その場合はマウスピース(ナイトガード)を使用し、歯や修復物への負担軽減を図ることがあります。

4.詰め物が取れたときの対処法

この章では、むし歯治療で銀歯やセラミックの詰め物を施した際、その詰め物が取れてしまった場合の対処法を紹介していきます。

4-1 取れた詰め物は自分で元に戻さない

詰め物が取れてしまうと、不安になってどうしても慌てて元に戻したくなりますが、自分で戻すことは避けましょう。元通りに自分ではめることは難しく、詰め物が変形したり、土台の歯が欠けてしまったりすることがあります。

また、きちんとついているわけではないので、食事などと一緒に飲み込んでしまう恐れもあります。詰め物が取れた時にまず行いたいことは、歯科医院の予約を取ることです。歯科医院によっては早めに診療してくれるところもあります。

4-2 取れた部分の歯をこまめに磨く

詰め物が取れてしまった歯は、丁寧に磨いてください。今まで詰め物で覆われていた部分が露出し、汚れが溜まりやすくなってしまいます。

詰め物が取れたからといって、すぐにむし歯が大きく進行するとは限りませんが、歯の状態によっては痛みやしみる症状が出ることもあります。いつも以上に丁寧に磨くことを心掛け、歯科医院を受診するまで清潔に保ちましょう。

ただし「しっかり磨く=力まかせにゴシゴシ磨く」ではありません。歯や歯ぐきを傷つける可能性があります。優しく磨き残しのないようにしてください。

4-3 取れた詰め物は容器で保管する

取れた詰め物は容器に入れて保管しましょう。詰め物は少しの力でも変形したり破損したりする恐れがあります。ティッシュやビニール袋などでは、誤って押しつぶしてしまう可能性があります。

また、ゴミと間違えて捨ててしまったり、うっかり失くしてしまったりする可能性もあります。取れた詰め物を再度使用できる場合もあるため、硬さのある容器に保管して歯科医院に持参しましょう。

4-4 取れた側と反対の歯で物を噛む

詰め物が取れた歯とは反対側の歯で噛むようにしてください。詰め物が取れた歯は、一度むし歯になり削っているため、状態によっては弱くなっている場合があります。そこで硬いものなどを噛んだ場合、ヒビが入ったり、割れたりする可能性があります。

取れた詰め物を元に戻すだけでは済まず、神経の治療や抜歯などが必要になる場合もあります。そのような事態を防ぐためにも、詰め物が取れた側の歯はできるだけ使わないように気をつけてください。

5.まとめ

詰め物・被せ物の材質を決める時、「値段」「見た目」を真っ先に考えがちです。しかし、二次カリエス(むし歯の再発)への配慮、金属アレルギーの有無、詰め物自体の耐久性の違いなど、多角的にメリット・デメリットを確認し、自分に合った治療法を選びたいものです。

また、詰め物・被せ物をしている以上、取れてしまったり欠けてしまったりする可能性はあります。突然取れてしまったらどうしたら良いのか、すぐにむし歯は進行してしまうのかなど、事前にある程度知っておけば落ち着いて対処できます。

むし歯は再発することがある病気です。治療後もセルフケアと定期的な歯科受診を続け、予防しやすい環境を整えましょう。

【参考サイト】

・日本歯科医師会「金属アレルギー」
https://www.jda.or.jp/park/relation/metalallergy.html

・日本歯科医師会「金属アレルギーの検査法」
https://www.jda.or.jp/park/relation/metalallergy_04.html

・厚生労働省「歯科用貴金属価格の随時改定について」
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001479583.pdf

・日本歯科保存学会「ガイドライン」
https://www.hozon.or.jp/member/publication/guideline/

・Mindsガイドラインライブラリ「う蝕治療ガイドライン 第2版 詳細版」
https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00304/

飯田尚良 先生監修
経歴

1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る

執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。

ページトップへ