歯槽膿漏の痛みをすぐに鎮める方法と根本的治療

歯槽膿漏の痛みをすぐに鎮める方法と根本的治療

「歯槽膿漏」は歯周病の中でも重度に悪化した状態のことをいいます。赤く腫れ上がった歯茎が退縮を始め、歯と歯茎の間に隙間ができて膿まで排出する病気です。そして、痛みがずっと続くような状態は非常に危険なことを意味しています。

歯槽膿漏によって痛みがずっと続いた場合、歯医者さんでの治療が必要になってきます。しかし、いますぐ痛みを止めたいという場合は、市販の痛み止めを服用して一時的に痛みを和らげましょう。応急処置をしつつ、早めに歯医者さんを受診するのが望ましいです。

ここでは、歯槽膿漏の痛みを早急に抑えるための手段と、歯医者さんではどのような治療をしていくのかをお伝えします。ぜひ読んで参考にしてみてください。

この記事の目次

1.歯槽膿漏の急な痛みの治し方

歯槽膿漏による痛みを和らげるためにまず行う重要なことは歯をよく磨くことです。汚れがついていることから急性の炎症が起きているので、汚れを取ることで状態を改善させていきます。この章では、それ以外の対処法として、歯槽膿漏の急な痛みを和らげる方法を紹介していきます。

1-1 「鎮痛剤」を上手に服用し、痛みを和らげる

歯槽膿漏の痛みを早く抑えたいという場合には「鎮痛剤」を服用するのもおすすめです。薬局でも販売している「ロキソプロフェンナトリウム水和物」という成分が含まれている市販薬が有用と言えます。

鎮痛剤は痛みが出たらすぐに飲むことを推奨します。痛みを我慢し続けると、痛みの原因物質が増えて痛みの抑制が効かなくなってしまうと言われているからです。鎮痛剤を上手に服用して、突然の痛みを回避しましょう。

「ロキソプロフェンナトリウム水和物」が含まれる鎮痛剤には、医療機関で処方される医療用もあります。市販薬と医療用と違う点は、決められた時間に服用するのではないことと、短期使用を目的としているということです。医療用としても使用される成分ということは、「痛み止め」として処方するお薬としては有効であるといえるでしょう。

ただ、鎮痛剤は一時的に痛みを抑える働きがあるだけで、歯槽膿漏の根本的な治療にはなっていません。鎮痛剤の服用はあくまで応急処置として考え、突然の痛みで歯医者さんへすぐに行けないという場合だけに限りましょう。

※市販薬を使用する際には薬剤師の指示に従い、用法用量を守って使用してください。

1-2 十分な睡眠を取り、疲れをとる

歯槽膿漏の痛みは、身体が疲れている状態に起きやすくなります。歯茎は身体の変化を敏感に感じ取るので、痛みを感じるときは安静にして早めの睡眠を取ることを心掛けましょう。自分の身体の調子を整えることが、歯槽膿漏の痛みを緩和させる大切な手段の一つなのです。

1-3 歯茎が退縮して、知覚過敏になっている場合の対処法

歯槽膿漏になると歯茎が退縮して、歯と歯茎の間に隙間ができます。歯の根っこまで見えるようになると、その歯の根っこの象牙質が冷たい飲み物でしみて痛い場合があります。この症状を「象牙質知覚過敏」といいます。悪化してしまうと歯ブラシが触れただけで痛みを感じてしまいます。

その場合の歯磨きのやり方として、柔らかめの歯ブラシを使いながら、退縮した歯と歯茎の間をやさしく丁寧に磨いてみてください。歯磨きはどんな場合でも行うようにして、プラークが溜まり続けないように努めましょう。

2.歯槽膿漏の痛みを感じたら、迷わず歯医者さんへ!

2-1 歯医者さんで行う基本治療

歯槽膿漏の痛みを感じ始めたら、すぐに歯医者さんに診てもらってください。「鎮痛剤で痛みが治まったから」「少しの痛みだから大丈夫」と思っていると、やがて痛みがずっと続くようになり、手遅れになりかねないからです。

歯槽膿漏の治療は、歯医者さんで行うプラーク除去により食い止められるよう目指していきます。歯と歯茎の間につまったプラークはどんどん溜まっていき、歯磨きだけでは対処しづらくなってくるのです。そんなときは、歯医者さんで「スケーラー」と呼ばれる特殊な器具でプラークを除去する「スケーリング」や「ルートプレーニング」と呼ばれる歯周病の基本的な治療方法があります。

2-2 外科治療で治す

「スケーリング」や「ルートプレーニング」で症状が解消されない場合は、外科治療を施します。この外科的治療法を「フラップ手術」と呼んでいます。これは、麻酔をして歯肉を切開することで、隠れたプラークや歯石を取り除いていく手術です。また、溶けてしまって形の悪くなった骨を整え、きれいに仕上げます。

治療中は麻酔により痛みを感じにくいですが、術後に傷口が痛み出すことはあります。そのため、痛み止めと術後感染の予防のための抗生物質が処方されるようになっています。

2-3 そのほかの治療方法で治す

歯槽膿漏を治す手段として、2000年に入ってからいくつかの治療法が生まれ始めました。これから、その治療法を紹介していきます。

◆エムドゲイン療法

幼若のブタの歯胚から抽出再生した薬を使って、歯周組織を再生させるという治療法があります。歯肉を切開してプラークや歯石を除去したあとにその薬剤を注入していきます。

この治療で再生できる骨は50~90%(人によって違う)といわれていて、骨が部分的に溶けてなくなってしまった場合に限ります。全体的に骨がなかったり、根っこの先まで溶けてしまった場合には、残念ながらこの治療は行えません。

また、この治療法は自由診療です。

◆3DS除菌療法

自分の歯型の「マウスピース」を作り、その中に歯周病菌を殺菌できる薬剤を入れて歯に装着します。薬剤が歯に直接届きやすいので、殺菌作用が高まるというわけです。「エムドゲイン療法」で歯の骨を再生してから行うとより有用です。

詳しくは『歯槽膿漏がもたらす臭いの原因とその対策』を参考にしてください

3.時と場合による“痛み”の対処の仕方

歯槽膿漏の痛みは人によって“かたち”がさまざまです。「真夜中に急に痛み出す」「たまに痛み出す」「痛みがずっと続いている」あなたの痛みのパターンはどれでしょうか?これまで紹介してきた解決策を整理し図に表してみましたのでご覧ください。

歯周病 痛みの対処方

※どのような治療を受けられるかは、歯医者さんの判断になります。

4.まとめ

歯槽膿漏の痛みが突然やってきたら、鎮痛剤を服用して早めの睡眠で身体を休めることが大事です。そして、できるだけ早く歯医者さんを受診しましょう。歯槽膿漏の痛みは早めの対策と適した治療がポイントです。

経歴

1975年 東京歯科大学 卒業
1975年~1977年 新宿ビル歯科 勤務
1978年 早川歯科医院 開業
現在に至る

執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

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