現代人が誰しも抱えているストレスですが、子供の場合、虫歯にも影響してくるという研究が進んでいるようです。
鶴見大学・歯学部・口腔微生物学講座・大島朋子教授にインタビューを行い、虫歯とストレスの関係性について伺いました。
※前回の記事「歯垢は細菌の塊!中には死んでも悪さをつづける菌も」
原因は家庭トラブル?虫歯の多い子供とストレス
ストレスが口腔疾患につながることはあるのでしょうか?
今はまだ研究段階の内容になります。
最近の小学生では、虫歯が全然ないという子供が多いですよね。そんな現状で、5本も6本も虫歯になっているという子供がいたので、かなりの数の虫歯菌がいるのだろうと思って調べたところ、そんなに多くなかったんです。
そこで、生活習慣に目を向けて見たところ、家庭環境で何らかのトラブルを抱えていることが分かってきたんですね。そして、そのようにストレスがかかっている子供たちは虫歯が多いというデータが出てきたんです。
ストレスが多いとなぜ虫歯に!?
ストレスがあると虫歯になりやすい原因は分かっているのでしょうか?
虫歯菌が多くないのに、虫歯になっている割合が多いという原因は、まだ分かっていないんです。
通常の虫歯の原因というのは、糖を代謝して酸をつくる菌によって成り立っていますよね。そういった原因菌はものすごくたくさんいるんですね。
その中でも特に酸を強く出す菌は、虫歯のリスクとして注意して見られていますが、生活環境によって様子が変わる菌がいるのかなど、口腔内の全体像を捉える方法などが、新たに必要になってくるのではと考えています。
大人もストレスが原因で虫歯になり得ますか?
大人でもなり得ると思います。ただし、ストレスというのは計り方が難しいんですね。現代人は、ほとんどの人がストレスを抱えているといわれていますので、ちょっと研究しづらいところがあります。
特別なストレスを抱えている子供を発見できる!?
虫歯とストレスの関係性を解明できると、どんな利点があるのでしょうか?
子供の場合ですと、特別なストレスを抱えている児童を発見できるメッセージとして、役立ってくれるのではと思います。
歯の教科書 編集部まとめ
虫歯とストレスの関係性は、今はまだ研究段階にあるようですが、事実として例が挙がってきているようです。
研究が進み、虫歯というトラブルだけでなく、特別な悩みを抱えている子供たちをより早く見つけ出し、救うことができるような発見につながることに期待がかかります。
鶴見大学 歯学部 口腔微生物学講座 学内教授
【略歴】
1993年~2000年:鶴見大学歯学部 助手
2001年~2008年:鶴見大学歯学部 講師
2009年~2014年:鶴見大学歯学部 准教授
執筆者:
歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。