「虫歯にはなりたくない」「将来歯周病になりたくない」「口臭が気になる・・・」そう考えている方も多いはず。毎日頑張って歯を磨いていても、お口には落としきれない “口腔微生物(こうくうびせいぶつ)”がいます。
今回は、虫歯や歯周病の原因である“口腔微生物”について掘り下げていきます。
鶴見大学・口腔微生物学・大島朋子教授監修のもと、口腔微生物とは何なのか、どのような働きをするのかを4つにまとめましたので、ぜひ口腔ケアの参考にしてください。
この記事の目次
唾液1mlの中に1億個!?虫歯の原因”口腔微生物”とは
口腔微生物とは、お口の中にいる細菌のことです。唾液1mlの中に、なんと約1億の細菌がいます。
誰の口の中にも細菌はいて、種類は約700種もいます。その中で虫歯や歯周病につながる細菌のことを“虫歯菌” “歯周病原菌”とよんでいます。
口腔微生物が原因で肺炎になる?高齢者は要注意
高齢者の方は、口腔微生物が原因で“誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)”を起こして肺炎になってしまうことがあります。
若い方は唾液が肺に入ると咳をして吐き出すことができますが、高齢者の方は反射が落ちているため咳をして吐き出す力が弱くなってしまいます。
そのため肺に入った唾液をうまく吐き出すことができず、唾液の中の口腔微生物が肺に入ってしまいます。
すると肺の菌量が増えてしまうため“肺炎”につながることがあります。
口腔微生物が“心内膜炎”につながる!?
心内膜炎は“脳梗塞”“不整脈”“発熱”などにつながるとても怖い病気です。
心内膜とは心臓の壁を構成している3層構造の1層なのですが、虫歯菌は心内膜に定着しやすい性質なので、虫歯菌が血流にのって心内膜に到達してしまうと虫歯菌がはびこり、心内膜炎の原因になる可能性があります。
口腔微生物は心内膜炎だけではなく、糖尿病を悪化させたり動脈硬化の原因になったりするという説もあります。
口腔微生物が悪さをしないための口腔ケア
歯磨きや歯間ブラシなどを使用した口腔ケアが大切です。
歯ブラシの先をしっかりと歯に当て、歯と歯茎の境目をしっかりとブラッシングをすることで口腔微生物の塊である歯垢を取り除くことができます。
また歯だけではなく、舌の表面にも菌がたくさんいるので舌ブラシなどを使い掃除してあげる必要があります。
歯ブラシで舌を磨いてしまうと舌を傷つけてしまい逆効果になりかねないので注意してくださいね。
歯の教科書 編集部コメント
口腔微生物と聞くとあまり身近な物に感じませんが、誰の口の中にもいるのは驚きですよね。
日々の口腔ケアで口腔微生物の数を抑えられるようなので、1度口腔ケアについて考えてみるといいかもしれません。
自宅での口腔ケアはもちろんですが、口の中の口腔微生物を増やさないために、歯医者さんでしっかり歯の汚れをとってもらうことが大切ですね!
執筆者:
歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。