歯に黒ずみができる6つの原因と黒ずみを解消する治療法

歯の黒ずみは、歯やお口の中が病気にむしばまれているサインかもしれません。歯磨きを頑張っただけでは落とせるものではなく、黒ずみを放っておくと症状が進行する可能性もあります。自分の歯を失ってしまうこともあるので、早めのチェックとケアが必要です。

なぜ、歯が黒ずみ、歯磨きでは落とせない汚れになってしまうのでしょうか。ここでは、歯が黒ずんでしまう原因と症状別の治療法、歯磨きで黒ずみが落とせない理由を紹介していきます。

この記事の目次

1.歯に黒ずみができる6つの原因

1-1 虫歯

虫歯になるとリンやミネラルが歯から抜けてしまうため、次第に黒くなってしまいます。もし、歯の黒ずみが小さくても、症状は進行している可能性があります。

虫歯はエナメル質や象牙質が見えている状態です。例えば、歯科医師が症状の進行を診察し、必要に応じて歯を削ったり薬剤を塗布したりする治療をします。

1-2 歯周病

歯肉炎は軽度な歯周病とされていますが、突然、歯が黒ずむという症状を発症するケースもあります。これは、急性壊死性潰瘍性歯肉炎(きゅうせいえしせいかいようせいしにくえん)と言い、ストレスや体が弱っているとき発症しやすいのです。

症状は、口臭を伴うケースが多いとされています。ビタミンB、ビタミンCなどの栄養補給や歯磨きの方法を改善し、治療するのが基本です。

1-3 喫煙・飲食物

紅茶やワイン、タバコのヤニが原因で、歯が黒ずんでしまうこともあります。色素が着色しているだけなので、歯の健康上は害がありません。

色がこびりついてしまうと普通の歯磨きでは落とせないので、ホワイトニングで色素を落とします。また、超音波振動を歯に当てて着色汚れを落とすことも可能です。

1-4 歯の神経の死滅

歯の神経が腐ると黒ずんでしまう可能性があります。歯の神経がなくなると、歯は水分がなくなり、次第に黒く変色するからです。セラミックや金属を被せ、見た目を損ねないようにします。

1-5 銀歯などの詰め物

銀歯の金属イオンが染み出し、歯や歯茎が黒くなることがあります。唾液が原因で銀はイオン化してしまい、流れ出して歯や歯茎を着色してしまうからです。

着色してしまった歯は一部を削り取り、セラミックなどの白い材料を被せて治療します。歯茎は銀が入ってしまった部分を切除し、必要に応じて歯茎の移植を行う治療法もあるようです。

1-6 薬の影響

妊娠中や幼少期、抗生物質によって歯が黒く変色してしまうことがあります。例えば、呼吸器や皮膚に疾患がある方が服用するテトラサイクリン系の薬は、歯を作る時期である12歳までの子どもが服用すると、歯の象牙質が黒ずむ原因になるからです。ラミネートベニアを貼り付けて治療します。

2.歯の黒ずみの治療法

2-1 クリーニング

黒ずんだ歯を治療する方法として、歯のクリーニングが挙げられます。クリーニング専用の器具を使用し、歯と歯の間のように磨きにくい箇所や磨き残しがある場所を中心に歯の汚れや着色を取り除く治療法です。

PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)と呼ばれ、ジェットポリッシャーや回転ブラシを使い、水と研磨剤を使って歯を磨いていきます。毎日の歯磨きでは落とせない汚れや着色もキレイになります。また、バイオフィルムという膜になってしまった頑固な歯石も取り除くことが可能です。

クリーニングを実施する効果的な期間は、半年に一度程度のペースです。仕上げに虫歯予防のためのフッ素を塗ることもあります。

2-2 ホワイトニング

美容診療で受けられるホワイトニングは、歯の黒ずみを白くできる方法です。歯科医院で行うオフィスホワイトニングと、自宅で行うホームホワイトニングがあります。

オフィスホワイトニングは、短期間で歯を白くする方法です。歯の表面に薬剤を塗布して光を当てて着色を落とします。3回程度実施すると3~5トーン白くなり、半年から1年程度白さが持続するようです。ただし、薬液が濃いため痛みを感じやすいと言われています。

ホームホワイトニングは、歯科医院でマウスピースを作って歯を白くする方法です。マウスピースに薬剤を塗布し、毎日数時間装着します。オフィスホワイトニングよりも時間はかかりますが、組み合わせて治療することで白さが長続きしやすくなると考えられます。

2-3 プラスチック

コンポジットレジンは、歯科用に作られたプラスチック素材の詰め物です。銀歯と違って樹脂の素材を使っていますが、白色なのでお口の中で変に目立つ心配はありません。虫歯で黒ずんだ歯を削ったあとで詰め、特殊な光を当てて固めます。

コンポジットレジンは金属アレルギーのリスクがありません。銀歯の場合、唾液で銀がイオン化して溶けてしまうことがありますが、コンポジットレジンはお口の中で溶け出すリスクが低いのが利点です。また、銀歯が溶け出した際に歯や歯茎へ着色し、黒ずんでしまう心配もなくなります。

2-4 セラミック

セラミックのクラウンは、虫歯を削ったあとの被せ物として使います。また、美容診療ではラミネートベニアというセラミックを歯の表面に貼り付け、ホワイトニングをせずに歯を白くする方法も用いられています。セラミックも金属アレルギーの心配はありません。

見た目の美しさという観点からセラミックを希望される方は少なくありません。プラスチック素材よりも透明感が高いので、見た目も自然に演出できます。ただし、治療費が高額になってしまう可能性もあります。

2-5 ブリッジ

黒ずんでしまった歯を抜歯し、前後の歯を削ってつなげる方法です。橋のようにつなげることからブリッジと呼ばれています。また、ブリッジで治療するときはセラミックや金属を被せます。

ブリッジの場合、ほとんどが健康保険で作れます。ただし、強度や透明感に優れた素材を選ぶ場合、自由診療になってしまいます。装着後はブリッジと支えになる歯の間が虫歯になりやすいので、歯間ブラシなどで丁寧にブラッシングしましょう。

2-6 インプラント

歯をぶつけたり神経が死んでいたりしたとき、歯の黒ずみはホワイトニングでは落とせません。しかし、ブリッジを入れても噛み心地の弱さや歯の寿命が心配な方の場合、抜歯をしてインプラント治療をする方法もあります。

インプラント治療は、歯を支える骨にインプラントを埋め込んだあとに人工の歯を固定させる治療法です。あごの骨に直接打ちこむため、食べ物を噛んだ感触が伝わります。歯の黒ずみが原因で抜歯をしたとき、自分の歯の感触を大切にしたいなら有効的な治療法です。

3.歯の黒ずみが歯磨きで落とせない理由

歯の黒ずみは、色素沈着や歯の病気が原因です。例えば、色素沈着しているような場合、専用の機器による清掃や薬剤の塗布をしなければ、歯の黒ずみを落とすのは困難です。疾患が原因で歯が黒ずんでいる場合、治療をしなければ歯は白く戻ることはありません。

歯磨きは、疾患を予防したり症状の進行を遅らせたりするものです。失ってしまった歯を健康な状態に戻し、再生させる効果はありません。つまり、歯の黒ずみを落とすことはできないのです。

4.まとめ

歯の黒ずみは虫歯や歯周病、被せ物の銀やヤニの着色など、さまざまな原因が考えられます。いずれの場合も普通の歯磨きでは落とすことができません。歯の黒ずみが気になったときは、歯医者さんで診察してもらい、必要に応じて治療してもらうようにしましょう。

経歴

1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る

執筆者:歯の教科書 編集部

歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。