費用はいくらかかるの?歯とお口の健康を守る歯石除去

以前から気になっていたお口の中の歯石、歯医者さんできれいに取ってもらいませんか? 歯石は保険適用で治療が可能です。掛かる費用は『約3500円』が相場だといわれています。

歯石がお口の中で溜まると、虫歯や歯周病のリスクが生まれ、口臭の原因にもなります。口臭が発生すると対人関係にも支障ができ、コミュニケーション不足に陥ることも考えられます。口内環境の悪化は、日常生活にも悪影響を及ぼすのです。

この記事では、歯医者さんで行う歯石除去の費用について詳しく紹介していきます。さらに、保険外で行う「PMTC(歯のクリーニング)」などにも触れ、掛かる費用もどれだけ違うのか、その中身についても説明していきます。

この記事の目次

1.歯石除去の費用は『約3500円』

歯石は歯周病を引き起こす原因となるため、歯医者さんでは歯周病治療の一環として歯石除去(スケーリング)を行ってくれます。その場合は保険内で治療が受けられます。ただ、同時に歯周病の検査と虫歯の検査も行わなければいけません。その検査代を含めた費用の額が『約3500円』とされています。詳しくは下記の表にまとめてみましたので、ご覧ください。

◆保険適用の歯石除去治療

治療名 掛かる費用と内訳
歯石除去(スケーリング)
※歯周病治療の一環として行う
約3500円
歯石除去+
歯周病・虫歯検査(初診費用やレントゲン費用)
の合計金額
※歯石除去のみでは保険が適用されない

2.保険適用の歯石除去の流れ

保険適用で歯石除去を行う場合、歯や歯肉の検査をしたあとに歯冠部(歯と歯茎の境目より上の部分)の歯石除去を行いますが、もし、歯の根っこの部分まで歯石が付いているようであれば、日を改めて治療を行います。また、歯冠部の歯石量が多い場合も、1回で治療を終えることはできません。

◆保険のルールにのっとった歯石除去の流れ

保険で歯石除去を行う場合は、上記のような流れで行うのがルールとなっています。歯石が歯冠部に少しだけ付いているような場合は、1回で治療が終わることもあります。しかし、歯周ポケットの中に入り込んだ歯石を取る(SRP)場合、患者さんが希望したとしても、1回で治療を完結することはできません。

保険内での歯石除去は段階的に行われていくわけですが、平均的な治療回数をもし出すならば「約4回」が基準とされています。ただ、患者さんの症状によって治療回数は異なってきますので、あくまでも参考程度に覚えておいてください。

※歯の根っこの部分の歯石除去は必要な場合のみ行う

3.保険外で行う歯石除去

3-1 「PMTC」で歯石になる前の歯垢を落とす!

保険外なら1回で歯石除去を行うことが可能です。掛かる費用は『5000~30000円程』と医院によってさまざまで、治療内容によって変わってきます。

その治療の中身は、歯石除去を行ったあとに「PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)」という、歯の表面や歯と歯の間の汚れを特殊な器具できれいにする歯のクリーニングを行うというものです。歯石になる前の歯垢を落とすことで、歯石の再付着を防ぐ狙いがあります。

「PMTC」で使用する器具は特殊で、回転ブラシやラバーカップ、ラバーチップなどを機器に取り付け、歯の汚れの付着した場所に応じて使い分けていきます。その際、専用のペーストを歯に付けて汚れを落としていきます。

3-2 高濃度の「フッ素」で虫歯予防

虫歯予防には「フッ素」が良いとされています。歯のクリーニングを行ったあとにフッ素塗布を行ってくれる歯医者さんは数多くあります。フッ素は自然元素の一種で、緑茶などに含まれています。初期段階の虫歯では、フッ素を塗るだけで済むこともあります。

フッ素が歯に好影響を与える理由として、「再石灰化(さいせっかいか)」を促すことができる点が挙げられます。歯は食事中に出た酸によって、カルシウムやリンが溶かされる「脱灰(だっかい)という現象が起き、虫歯を発生させてしまいます。

しかし、唾液の中の成分であるミネラルによってお口の中は修復されます(再石灰化)。この再石灰化の仕組みをさらに促進し、歯の質まで強化できるのがフッ素の働きです。

ちなみに、歯医者さんで使用されるフッ素は高濃度(健康に影響しない程度)です。市販の歯磨き粉(低濃度のフッ素配合)を毎日使い続け、歯医者さんで高濃度のフッ素を塗ってもらうと、より健康な歯につなげられるでしょう。

フッ素塗布をもし保険内で行うと『約250円』の料金で受けられます。しかし、それには規定が設けられていて、「13歳未満」で虫歯の数が多く、歯医者さんで虫歯予防に関する指導を継続的に受けている、という一定の条件を満たした場合の人しか適用されません。

4.歯石は歯医者さんで取ってもらう!

歯石は自分の力で取り除くことも可能です。事実、歯石除去に必要なスケーラーは、「東急ハンズ」や「LOFT」などの日用品を販売するお店や、通販サイトでも購入することができます。ただ、市販のスケーラーは安いもので『1000円』、ものによっては『2000~3000円』の費用が掛かります。

これに加え、スケーラーの消毒に使用する消毒液やコットンの金額を合計すると、『3000円以上』の費用が掛かる可能性があります。冒頭で紹介した通り、歯医者さんで歯石除去を行ってもらえば、虫歯や歯周病の検査代を含め『約3500円(保険適用)』で治療が可能です。歯石除去を自分で行った場合と、歯医者さんで行った場合の費用の差は、ほとんどないことがわかります。

歯石除去は自分で行う方が容易できると考えがちですが、事前準備に掛かる費用や手間隙を考えると、歯医者さんで歯石除去を行ってもらう方がお得であると思われます。また、自分で歯石を取り除く際は、歯の表面や歯茎を傷つけないように慎重に作業を行わなければなりません。万が一歯を傷つけてしまった場合、それが原因で虫歯になるケースも生まれてきます。歯石除去は費用面だけでなく、結果面を考えても歯医者さんで行ってもらう方が賢明です。

5.まとめ

歯石除去は段階的に治療を行っていくことで、保険内で治療を受けることが可能です。その費用は「約3500円」。歯周病治療の一環として行われますので、事前の検査代を含めた金額のおおよその額がこれになります。この金額を見ると、意外と安い費用でお口の健康が守られると思いませんか?

自分の力だけで歯石除去を行うのは大変神経を使う作業となります。歯医者さんで歯石除去を行うことは、健康面だけでなく心理的にも優しい結果になるのではないでしょうか。

経歴

平成13年 国立 長崎大学歯学部 卒業・同大歯科補綴学第一講座 入局
平成16年 歯学博士号取得
平成17年 野田ファミリー歯科 入局
平成23年 あきる歯科医院 開院/院長就任

執筆者:歯の教科書 編集部

歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。