95%の歯垢除去効果を発揮!歯間ブラシの使い方の手順5つ

歯間ブラシは、歯と歯茎の隙間に残された歯垢(プラーク)を効率良く除去できるデンタルグッズとして、その存在を知っている方は多いかと思います。ただ、その正しい使い方に関しては、すべての人が初めから理解しているわけではないと思います。

この記事では、歯間ブラシをこれから使ってみようと思っている方や、現在継続して使っている方にも参考になる、歯間ブラシの効果的な使い方を紹介しています。

歯間ブラシは、歯垢の蓄積を防ぐことで、歯周病の発生リスクを食い止めることができます。歯間ブラシの効果を明確に示すことで、使い続けるモチベーションが生まれるのです。ぜひ読んで参考にしてみてください。

この記事の目次

1.歯間ブラシを選ぶ際の注意点

1-1 歯間ブラシのサイズは「約5種類」

歯間ブラシには歯間部に合わせていくつかサイズが用意されています。歯間ブラシはだいたい「5種類」のサイズから成り立っていて、一番下の「SSSサイズ」から一番上の「Lサイズ」まで、自分の歯間部の大きさやお口の状態に合わせて使うことになります。

参考までに、歯間ブラシのサイズの種類と各サイズに適している場所を、次の表にまとめてみましたのでご覧ください。

◆歯間ブラシ適合表

サイズ 歯間部の広さ 適した場所
SSS ~0.8mm 特に狭い場所(前歯)
SS 0.8~1.0mm やや狭い場所(前歯と臼歯)
S 1.0~1.2mm やや歯茎が退縮している場所
M 1.2~1.5mm 歯茎が退縮している場所やブリッジを装着している場所
L 1.5~1.8mm 歯茎が退縮している場所やブリッジを装着している場所

1-2 初めての方は「小さいサイズ」から試す

歯間ブラシを初めて使う場合、自分に合った大きさのサイズを選択することが大切です。通常、自分の歯間部の大きさはなかなか判断がしづらいかと思います。初めて使う際は、まず「小さいサイズ」から試してみて、歯間部に無理に差し込むようなことは絶対に避けるようにしましょう。また、奥歯と前歯で歯間の間隔が違うこともあるので、慣れてきたら、奥歯と前歯でそれぞれあった歯間ブラシを使うことで歯垢が落ちやすく、歯も傷つけにくくなります。

サイズが合っていないのに無理に挿入しようとすると、歯茎を傷つけてしまい、出血する恐れがあります。歯と歯の間には元から隙間が存在しているので、その隙間に挿入して歯垢を除去していきます。

2.歯間ブラシの正しい使い方

歯間ブラシには「I字型」と「L字型」の2つのタイプがあります。おすすめしたいのは奥歯の歯間部にも挿入しやすい「L字型」のブラシです。初めての方にも使いやすいタイプなので、ぜひ試してみてください。

ここでは、歯間ブラシの使い方の手順をイラストで分かりやすく説明していきます。磨く角度、順番など参考にしてみてください。

2-1 使い方の手順5つ

①「鉛筆」を持つような感覚で、グリップを握る

 

 

②鏡で確認しながら、歯茎を傷つけないようにゆっくりと“斜め”に歯間部へ挿入する

 

 

③歯の面に合わせて、前後に2~3回動かす

前歯

 奥歯の外側

奥歯の内側

 

 

④隣り合っている歯をそれぞれきれいにする

 

 

 

⑤歯間ブラシは繰り返し使えるため使用後は水でしっかり洗い、風通しの良い場所で乾かす

2-2 歯間ブラシを交換する頻度と目安

市販されている歯間ブラシの多くは交換頻度の目安を約1か月としていますが、予防の一環としてたまに使用する程度の人と、歯周病改善を目的に使用している人では消耗のスピードが違いますよね。歯間ブラシが下記のイラストのように、毛先が乱れていたり、短くなったと感じたら新しいものに交換するようにしましょう。

使用前(上)と使用後(下)

2-3 歯間ブラシを使うタイミングは就寝前

歯間ブラシを使用するタイミングは、できれば毎日、夜寝る前に歯磨きを行ったあとで使用するのが理想的です。しかし、朝昼忙しくて歯磨きに時間をかけていられないことが多いものです。無理に毎食後行う必要はなく、丁寧に磨ける時間をできる範囲でコンスタントに設けることが大切です。自身の生活スタイルに合ったタイミングで良いので、歯間ブラシを取り入れてみてはいかがでしょうか。

3.歯間ブラシの歯垢除去効果

歯間ブラシは、歯ブラシと併用することで、歯周ポケット(歯と歯茎の隙間)に溜まった歯垢を除去する効果が高まります。その効果は、歯ブラシのみでは『58%』であるのに対し、歯ブラシと歯間ブラシを併用すると『95%』まで上昇するといわれています。

※参考資料:山本他日本歯周病誌1975

歯周ポケットに歯垢が溜まり続けると、歯周病の原因になります。歯ブラシのみでは「6割程」の歯垢しか除去できませんが、歯間ブラシの場合、歯ブラシと一緒に使い続けることで「9割以上」歯垢を除去できるという結果が浮き彫りになりました。先ほど説明した歯間ブラシの正しい使い方を理解し、毎日のオーラルケアにしっかり取り入れ、歯周病の予防に努めましょう。

4.デンタルフロスよりも歯間ブラシを使う方が良い場合

歯間ブラシと同じように、歯と歯の隙間を掃除できるのが「デンタルフロス」です。歯間ブラシは使ったことがないが、「デンタルフロスは毎日使っている!」という方も多いかもしれません。では、デンタルフロスよりも歯間ブラシを使った方が良いとされるのは、お口の中がどんな状況の場合なのか? これから詳しく説明していきます。

4-1 歯肉が下がって歯間部が広い場合

歯周病の症状や年齢を重ねていくうちに、歯肉が下がっていき、歯間部が広がっていく場合があります。隙間の広がった歯間部は歯垢が溜まりやすいので、その両方の歯を効果的に磨くには歯間ブラシが最適です。

また、歯肉が下がって歯の根元が見えた部分を「象牙質」といいます。ここは、エナメル質よりも「3倍」も虫歯になりやすい部分なので、歯間ブラシを駆使して上手に磨いてあげれば、虫歯予防に効果を発揮できます。

4-2 ブリッジを装着している場合

ブリッジ治療を行った場合、その装着部分を掃除するのに歯間ブラシが役立ちます。ブリッジは失った歯の両隣を使って“橋渡し”を行う治療法です。つなげた歯の部分は、デンタルフロスを上から通すことが不可能なので、歯間ブラシを使って掃除します。この場合、サイズはMかLサイズの比較的大きめのものを使用する方が適切でしょう。奥歯などを磨きたい場合、小回りの利く歯間ブラシはとても便利です。

5.まとめ

歯間ブラシを初めて使う方にとっては、歯茎を傷めないかどうか不安に感じるかもしれません。しかし、焦らず丁寧に、奥歯から順番に歯間を通せば、歯ブラシだけの歯磨きよりも歯間ブラシは歯ブラシと併用することで、9割以上の歯垢除去率が期待できる、オーラルケアには欠かせないものなのです。この記事で紹介した、自分に合った歯間ブラシの選び方と正しい使い方を実践すれば、歯とお口の健康をしっかり守ることができるはずです。

経歴

1975年 東京歯科大学 卒業
1975年~1977年 新宿ビル歯科 勤務
1978年 早川歯科医院 開業
現在に至る

執筆者:歯の教科書 編集部

歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。