初期の虫歯に自分でアプローチする3つの方法と見つける5つのチェック法

初期の虫歯に自分でアプローチする3つの方法と見つける5つのチェック法

歯医者さんで、虫歯が見つかったのに治療しなかった。そんな経験はありませんか?

治療を受ける側としては、虫歯は進行する前にすべて治してほしいのが本音かもしれません。しかし、歯医者さんのなかには、虫歯が初期の段階だと治療せずに様子を見る先生がいます。

それは、虫歯は初期の段階であれば、再石灰化により修復をすることがあるからです。

そこで、今回の記事では、虫歯のメカニズムと、初期の虫歯が自然に修復する「再石灰化」の仕組みを解説します。さらに、初期の虫歯を見つけるチェックリストや自分で治す方法なども紹介します。

初期の虫歯が見つかって不安な方は、ぜひ参考にしてください。

※ごく初期の虫歯に限られています。穴があいている、痛みがある、熱いものや冷たいものがしみるといった状態まで進行した虫歯は、自然治癒が期待できないため、歯医者さんを受診しましょう。

この記事の目次

1.虫歯のメカニズムと再石灰化

虫歯は初期の段階であれば、自然に修復されます。
だからこそ、歯医者さんは様子を見るのです。
ここでは、虫歯の原因、段階、修復について紹介します。

1-1 虫歯の5段階

ほうっておくと、どんどん進行していく虫歯。その進行度は、CO、C1、C2、C3、C4の5段階で表しています。
COのようなごく初期の虫歯、C1でも穴が開き始める前の段階であれば自然に修復するケースはあります。
穴が開き始めると自然治癒は難しくなるため、自己判断はせず歯医者さんに診てもらいましょう。

CO(シーオー) ※初期の虫歯

症状)歯の表面が白い、奥歯の溝が黒くなっている

虫歯の画像①

C1 ※初期の虫歯

症状)虫歯がエナメル質を溶かしはじめ、歯の表面に小さな穴が開いてくる

虫歯の画像②

C2

症状)虫歯が象牙質まで到達、甘いものや冷たいものがしみる

虫歯の画像③

C3

症状)虫歯が歯の神経まで到達、腫れて激しく痛む場合がある

虫歯の画像④

 C4

症状)虫歯が歯の根っこまで到達、歯がほとんどなくなっている

 虫歯の画像⑤

 

1-2 虫歯の原因となる「脱灰」

虫歯菌をはじめ、お口のなかにいる細菌は、歯垢などから酸を放出します。
その酸によって、歯の表面のエナメル質が溶け、歯に穴が開いてしまいます。

これが、虫歯の原因「脱灰(だっかい)」と呼ばれる症状です。

1-3 虫歯を自然に修復させる「再石灰化」

「再石灰化」とは、唾液に含まれるカルシウムやミネラルによって、溶けてしまったエナメル質を修復・強化する作用です。
初期の虫歯を自然に治すためには、この「再石灰化」を促すことが重要になります。

虫歯を治療するためには、歯を削るしかありません。
しかし歯は削って詰めてということを繰り返せば、いずれなくなってしまいます。あえて削らずに様子を見る歯医者さんがいるのはそのためです。

2.初期の虫歯にアプローチする3つの方法

歯医者さんに行かなくても、「再石灰化」を活かして、初期の虫歯は修復できる可能性もあります。
そのためには、普段からのデンタルケアが大切です。

ここでは、その方法を紹介します。

2-1 フッ素入りの歯磨き粉を選ぶ

フッ素を摂取することで、唾液に含まれるカルシウムがより歯に付着し、虫歯菌の活動まで抑制します。
さらに、フッ素には歯のエナメル質を強化する働きもあります。

厚生労働省は2017年3月、フッ化物の配合量の上限を、1000ppmから1500ppmに引き上げました。
ただし、1000ppm以上のフッ素濃度の歯磨き粉の6歳未満の幼児の使用は控えるよう勧告されています。

フッ素濃度は、歯磨き粉の成分表などに記載されていますので、ご購入の際にご確認ください。

2-2 デンタルフロスを使う

歯ブラシだけでは、歯と歯の間についた歯垢をすべて落とすことは難しく、この部分から虫歯が発生することが多くあります。
歯ブラシに加えて、歯と歯の間を清掃できるデンタルフロスや歯間ブラシといった歯間部清掃器具を使用することが大切です。

デンタルフロスには、糸巻きタイプとホルダータイプがあります。
はじめて使う方は、扱いやすいホルダータイプがおすすめです。

特長を知って自分の歯に合わせて使おう、デンタルフロスの3タイプ

■前歯のフロッシングにおすすめの、ホルダータイプF型

デンタルフロス・ホルダータイプF型

■ラクラク奥歯をフロッシングできる、ホルダータイプY型

デンタルフロス・ホルダータイプY型

■コストを抑えておトクに使える、糸巻きタイプ

デンタルフロス・糸巻きタイプ

2-3 キシリトール配合のガムを噛む

歯の表面にあるエナメル質から、カルシウムなどが失われて起こる虫歯。
自然に修復させるためには、唾液に含まれるカルシウムやミネラルが必要になります。
キシリトールは摂取されると、甘味が味覚を刺激し、唾液の分泌を促進。
また、虫歯の原因となる細菌の活動を抑制します。

キシリトールガムのよりよい使い方を紹介

噛みはじめの唾液は口の中に残す
噛みはじめに多く出る、キシリトールの成分。
お口の中に、噛みはじめの唾液が長くあるほど浸透しやすくなります。

食後30分以内、歯磨き前に噛む
虫歯菌の活動を抑えるキシリトールを食後に摂れば、より作用しやすいです。
また、歯垢を落としやすくするので、よりキレイに歯を磨けます。

1日に4~10gを摂取する
虫歯予防で1日に必要なキシリトールの量は4~10g。
成分表をしっかり確認してから、キシリトールガムを噛んでください。

含有率が50%以上のガムを選ぶ
砂糖などが多いと考えられる、キシリトールの含有率が50%未満のガム。
かえって、虫歯をつくってしまう可能性があります。

キシリトールの量 ÷ 炭水化物(糖質)の量 × 100 = キシリトールの含有率(%)

3.初期の虫歯を見つける5つのチェックリスト

自分で治す方法がわかったけど、初期の虫歯はどう見つけたらいいのか。
以下の5項目に当てはまる場合、初期の虫歯が疑われます。

さあ、あなたの歯をチェックしましょう。

初期の虫歯を見つける5つのチェックリスト
□歯と歯茎の境目が白い
□歯が茶色に変わっている
□奥歯の溝が黒くなっている
□詰め物やかぶせ物の周りに違和感がある
□デンタルフロスが引っかかる

3-1 歯と歯茎の境目が白い

歯の表面のエナメル質が溶けはじめてきた段階。
歯石のようにも見えますが、虫歯の初期症状です。

セルフチェック画像①

3-2 歯が茶色に変わっている

1-1の段階から、虫歯がさらに進行している状況です。
部分的に変色していたら注意しましょう。

セルフチェック画像②

3-3 奥歯の溝が黒くなっている

奥歯の溝は、虫歯になりやすいポイント。
まれに虫歯が内部まで進行している場合もあります。

セルフチェック画像③

3-4 詰め物やかぶせ物の周りに変色がある

虫歯の治療でつけた金属や樹脂のまわりに、変色があると初期の虫歯が疑われます。

3-5 デンタルフロスが引っかかる

デンタルフロスを通して毎回同じところで引っかかる、糸がバラける場合は、初期の虫歯が疑われます。

4.歯医者さんでの対処法

自分だけで、初期の虫歯を治していくことに不安もあると思います。
そんなときは、歯医者さんだからできる対処法で、虫歯の修復をサポートしてもらいましょう。

4-1 高濃度のフッ素を塗布

定期的に高濃度のフッ素を塗ることで、歯を硬くして、虫歯の進行を止められます。

4-2 定期メンテナンスでチェック

定期的なメンテナンスをすることで、初期の虫歯が進行していないか、再生しているかを確認できます。

4-3 唾液検査でお口の環境を把握

唾液検査によって、お口の環境を把握。
虫歯の原因を突き止め、口内環境の改善策を知ることができます。

5.まとめ

虫歯は、初期の段階で発見できれば治療が不要に済むすることがあります。

しかし、穴があいている、痛みがある、熱いものや冷たいものがしみるといった度合いまで進行すると、自然治癒は望めなくなります。
歯の寿命を大きく変えることになってしまうため、初期の段階で発見し、対処することが大切です。

普段から歯医者さんやご自身で、歯のチェックとケアを心掛けて、虫歯をつくらないように努めましょう。

経歴

虫歯は進行すると元に戻らない病気です。予防と早めの対処を心がけましょう。

執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。

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