鏡を見たら、歯肉が腫れてしまっている…毎日歯磨きをしているのに歯肉炎になってしまい、不安になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。歯肉炎の主な原因は、歯と歯ぐきの間に汚れが溜まってしまい、炎症が起きてしまう事です。
歯肉炎とは、歯周病の初期状態なので自覚症状がほとんどなく、歯を磨いた時に出血して気付く方も多いです。歯肉炎は、生活習慣や歯磨きのやり方で、9割以上治療する事が可能です。歯肉炎になってしまういくつかの原因と症状を知っていただき、記事を読んでいただいたら、すぐに実践してみましょう!
この記事の目次
1.歯肉炎の症状と原因
1-1歯肉炎になってしまう原因とは
歯肉炎の症状には、歯肉が赤く腫れてしまったり、歯磨きの際に出血を伴うことなどがあげられます。歯肉炎になってしまう主な理由は、口腔内が清潔な状態ではないからです。
毎日の歯磨きを怠ると、歯の表面に汚れが付着した状態が続き、歯肉の内部に入ろうとします。汚れが内部に入ることを防ぐ為に、炎症を起こします。歯茎が腫れていると、食べカス(歯垢)が溜まりやすくなるので、食事をした後に鏡で歯垢が付いているかをセルフチェックしましょう。
◆汚れ以外の歯肉炎
・薬物性歯肉炎(高血圧の薬(ニフェジピン)などで、副作用で菌が増殖してしまう。)
・妊娠性歯肉炎(女性ホルモンの影響で、歯茎が腫れてしまう)
・急性ヘルペス性歯肉炎(乳幼児に多く、ヘルペスウイルスによって歯肉炎になってしまう)
1-2歯肉炎を知らせるサインとは
◆歯を磨くと、出血がある
汚れを十分に落とす事が出来ないと、細菌と戦う為に白血球が集まります。血液が集まると、必然的に出血しやすくなります。
◆歯肉がピンク色ではなく、赤く腫れている
歯茎が赤く腫れているのは炎症を起こしているからです。腫れていない歯茎はピンク色になります。
◆口臭が気になる
歯肉炎の原因として、歯と歯ぐきの間の汚れが落とせていない事があります。十分に汚れを落とす事が出来なければ、食べカスが酸化してしまい、口臭の原因になるのです。
2.今日から始められる歯肉炎の予防法
2-1デンタルフロスを使って、汚れを落とす
歯肉炎になってしまう主な原因は、歯と歯の間に汚れが詰まってしまい、歯磨きでしっかり落とせていない事です。デンタルフロスを使用することで、歯ブラシだけの歯垢除去率が60%に対して80%に上昇します。
歯肉炎の予防だけでなく、虫歯予防にもつながるので、ぜひ使用してください。デンタルフロスの使い方に関しては「初めて使う方は見て下さい、デンタルフロスの正しい使い方」を参照下さい。
2-2食生活や生活習慣を改善する
血糖値が高いと歯肉炎になりやすく、甘いものを控えた食事にする事が大切です。また、寝不足や疲労などは、体の免疫力が低下してしまうので、規則正しい生活を心掛けましょう。
2-3歯肉炎に効く歯磨き粉を使う
毎日使用する歯磨き粉を、歯肉炎に効く歯磨き粉にかえてみましょう。塩酸クロルヘキシジンの高い殺菌力とβ―グリチルレチン酸が炎症を抑えることができるジェルタイプの歯磨き粉もあります。
2-4やわらかい歯ブラシを使い、45度で磨く
歯と歯ぐきの間に毛先が入るよう、45度の角度で磨きましょう。歯と歯ぐきの間に汚れが溜まったままだと、腫れはどんどんひどくなってしまいます。硬い毛先だと歯茎を傷つけてしまう可能性が高いので、やわらかい毛の歯ブラシを使いましょう。
2-5タバコをやめる
タバコに含まれるニコチンは、血流の悪化により抵抗力が落ちてしまいます。唾液の分泌が減少してしまうので、汚れがつきやすく歯肉炎にも関係してきます。
3.歯医者ではどのような治療法があるのか
3-1クリーニングで汚れを取り除く
汚れが十分に落とせていない状態の際に、歯肉炎になってしまいます。歯医者さんでスケーラーという器具を使って、汚れを落とします。スケーラーでも落とせない歯周ポケット(歯と歯ぐきの間)の汚れには、キュレットという器具を使い、歯垢や歯石を取り除きます。 初期状態の歯周病に対しての治療法になり、予防にも繋がります。
3-2マウスピースに薬を入れて歯肉炎を治療
マウスピースを作成し、歯周病に効く薬を入れて、直接歯茎に浸透させる方法を3DSといいます。歯周病の状態で薬を選び、治療を行いますが、3DSを行っている歯医者さんは少ないので、事前にインターネットで調べるのが良いでしょう。
4.まとめ
歯肉炎の原因は、汚れをしっかりと落とせていない為に炎症が起きてしまいます。出血や赤く腫れているなどの症状が出た場合は、ぜひ今すぐ出来る予防法を実践してください。
歯肉炎は毎日の歯磨きと生活習慣をかえるだけで食い止めることが出来ます。歯肉炎の9割以上は治療できますので、自宅で試してみましょう。
目指したきっかけ:医療には関心あったが、やはり一番は両親の教育が大きかったのではないかと思う。
やりがい:大学のときは他の職種とは違う特殊性に惹かれていたのですが、実際歯科医になってからはお礼を言われる部分です。
松本歯科大学卒業後、同病院勤務。
琉球大学医学部付属病院歯科口腔外科にて
顎顔面領域悪性腫瘍治療に従事。
その後都内複数歯科医院勤務後、
麻布シティデンタルクリニックを開院。
現在に至る。
執筆者:
歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。