納得のいく施術を受けるためにも、歯医者さん選びは大切です。
この記事では、親知らずの治療を受けるときに知っておきたい、歯医者さんの選び方を紹介します。ぜひ参考にして、リラックスして治療を受けられる歯医者さんを探してください。
この記事の目次
1.親知らずの治療ができる歯医者さん
歯医者さんには“歯科”と“歯科口腔外科”があります。どちらも「歯医者さん」ですが、それぞれどんな違いがあるのか、ポイントを押さえておきましょう。
1-1 親知らずの治療は「歯科」と「歯科口腔外科」で受けられる
◆歯科
主に、虫歯や歯周病などの一般的な治療をおこなっているのが「歯科」です。“いつも利用している歯医者さん”のイメージです。
歯科を掲げている歯医者さんにも、親知らずの治療に対応しているところは多くあります。気心が知れたかかりつけの歯医者さんに診てもらえれば、精神的にもリラックスすることができるでしょう。
ただ、中には設備などの関係で、複雑な処置には対応していない歯科もあります。
◆歯科口腔外科
親知らずの治療に「歯科口腔外科」を選択するのもひとつの方法です。あまり聞き慣れないかもしれませんが、主に口の中の外科的な処置をおこなう診療科です。
入院設備などの整っている大きめの病院や、街の歯医者さんで、歯科口腔外科を掲げているところがあります。診療科目は、看板や歯医者さんのホームページ、歯医者さん検索サイトなどで確認できます。
1-2 「歯科」と「歯科口腔外科」、対応できる症例の違い
上記の通り、親知らずの治療は「歯科」「歯科口腔外科」どちらでも受けることができます。ただし、複雑な症例には対応していない歯科もあります。
詳しくは、歯医者さんを受診した際に先生が判断してくれるはずですが、ひとつの目安として、歯科と歯科口腔外科、それぞれが対応している親知らずの生え方を知っておきましょう。
◆親知らずが真っすぐ生えている=歯科・歯科口腔外科
親知らずが真っすぐに生えている場合、複雑な処置になるケースはあまりありません。
そのため、親知らずの治療に対応している一般的な歯医者さんで、治療が受けられるケースがほとんどです(もちろん、歯科口腔外科での治療がNGというわけではありません)。
◆親知らずが斜めや横向きに生えている=基本は歯科口腔外科
親知らずが斜めや横向きに生えてくると、歯茎が炎症を起こしたり、歯並びに影響を与えたりすることがあり、抜歯をすすめられるケースが少なくありません。
真横に生えている、歯茎に埋まっているといった場合、特に処置が難しくなることが多いです。
歯科で、親知らずの治療経験が多い先生なら対応できる可能性がありますが、設備が整っており、外科処置をメインにおこなっている歯科口腔外科をすすめられるケースも多いです。
◆まずはかかりつけの歯医者さんへ
親知らずがまっすぐ生えており、口腔トラブルの原因となっていない場合、抜歯をしない方がよいケースもあります。
また、親知らずは外から見ただけでは“どう生えてくるか”が分かりにくく、レントゲン写真を撮って初めて分かることもあります。
自分の親知らずがどんな生え方をしているか、治療の必要性はあるのかといったことは、かかりつけの歯医者さんを受診して診断してもらいましょう。
1-3 「歯科診療所」と「病院」のメリット・デメリット
歯科口腔外科は、虫歯治療などと併せて外科的な処置にも対応している歯科診療所、いわゆる街の「歯医者さん」や、入院施設などが整っている「病院」が掲げていると言いました。
どちらを選べばよいか迷ったときは、それぞれのメリットやデメリットを比較して、自分に合うと思える方を選ぶのもひとつの方法です。
◆街の「歯医者さん」のメリット・デメリット
【メリット】
●予約から処置まで、スムーズにおこなえる可能性が高い
●近所にあると、抜糸や治療後にトラブルが生じた際なども通いやすい
●治療後に引き続き定期健診を受ければ、口の中の健康状態を把握してもらいやすい
●かかりつけの歯医者さんなら、気楽に相談しやすく気持ち的にリラックスしやすい
【デメリット】
●複雑な親知らずの生え方など、症例によっては対応できないことがある
◆「病院」のメリット・デメリット
【メリット】
●設備が整っており、複雑な症例や入院を必要とする場合でも対応してもらえる
●外科処置をメインにおこなっており、多くの症例をこなしている可能性が高い
●歯科口腔外科を専門とする先生が、より専門的な立場から診てくれる可能性が高い
【デメリット】
●病院の規模によって、紹介状がないと費用負担が増える場合がある
●大きな病院の場合、容易な症例は対応してくれない場合がある
2.親知らずの治療をお願いする歯医者さん選びのポイント
リラックスして親知らずの治療を受けるためにも、歯医者さん選び、特に先生との信頼関係や相性などは大切です。
しかし、中にはかかりつけの歯医者さんがなく、どこにしようか迷っている人もいるかもしれません。そうした人は、次のようなポイントに着目してみるのもよいでしょう。
2-1 先生が歯科口腔外科を学んでいる
歯科口腔外科とは、口の中、顎、顔面とその周辺にあらわれる疾患・外傷・腫瘍などを扱う診療科のことです。
歯科口腔外科を担当している先生の多くは、歯科医師免許を取得してから、さらに大学病院などで数年間、歯科口腔外科を勉強しているケースがほとんどです。
親知らずの治療は、歯科口腔外科を学んでいなければできないわけではありませんが、歯科口腔外科を学んだ先生なら、より専門的で複雑な症例に対応できる可能性が高くなります。
2-2 抜歯が必要な場合、理由を説明してくれる
親知らずの治療は、経過観察も含めて“歯を残す”か、あるいは“抜歯する”かの二択になるでしょう。
患者さんの中には「絶対に抜歯はイヤ」という人もいますが、何がなんでも抜かないというのは、かえって危険なこともあります。
虫歯になっている、炎症を繰り返している、歯並びに影響を与えているなど、症状によっては抜歯した方がよいとされるケースがあるためです。
親知らずの治療は、生え方や口内の状態、将来的なことなども踏まえて、適した方法を選ぶことが非常に重要です。
たとえ患者さんが希望していなくても、抜歯の必要性が高いと判断した場合、なぜその結論に至ったのかを説明してくれる歯医者さんを選びましょう。
2-3 治療法やリスクについてもきちんと伝えてくれる
抜歯の難しさは、生え方によって変わってきます。
具体的にどのような手術をするのか、どのようなリスクがあり、手術後にはどんな問題が発生する可能性があるのかなど、ひとつずつ丁寧に説明してくれる歯医者さんを選びましょう。
3.まとめ
親知らずの治療は、「歯科」を掲げる歯医者さん、「歯科口腔外科」を掲げる歯医者さんや病院などで処置を受けることができます。
どちらを受診するか迷ったときは、「リラックスして治療を受けられるか」「リスクや疑問点の説明などがあり、できる限り不安が少ない状態で受けられるか」といったポイントを基準に選ぶとよいでしょう。
また、かかりつけの歯医者さんがある人はまず受診して、先生に詳しく診断してもらいましょう。
特にかかりつけの歯医者さんがないという人は、この機会につくっておきましょう。その際、不安な点などを遠慮せず相談できる先生かどうか、確かめておくこともポイントです。
親知らずの治療と言っても虫歯の治療を行って歯を残せるものから、もう抜いてしまわなければならない重度の場合まで様々です。小さな虫歯の場合や、抜歯を行う場合でも親知らずがまっすぐ生えている場合では一般の歯科でも対応が可能なケースが多いのですが、斜めや横に生えていたり歯茎に埋まっている場合は専門の歯科口腔外科に紹介状を出されるケースもあります。
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