歯が欠けたときの応急処置は?歯医者さんでの治療は?

歯が欠けたときの応急処置は?歯医者さんでの治療は?

顔をぶつけて歯が欠けてしまったとき、食事中に歯が欠けてしまったとき、まず何をしたら良いのかケース別にまとめました。歯の状態によって、できる対応が異なります。なるべく長く気持ちよく歯を使うためには、放置しない方が良い場合が多いです。

歯医者さんに行く前にすべきことを知っておきましょう。

この記事の目次

1.ぶつけて歯が欠けた場合

1-1 まず状況確認を

まず口の状況を確認しましょう。
歯肉や歯の神経などの傷口からばい菌が入ることを防ぐため、口の中を自分で触ることは避けるようにしましょう。
痛みがある場合、舌などで無理に動かさないでください。

  • 確認事項
    ●痛みはあるか
    ●歯が欠けたのか
    ●歯が抜けたのか
    ●歯が歯肉に埋まったのか
    ●出血があるか
    ●歯がぐらぐらするか
    ●唇が切れているか
    ●欠けた(抜けた)歯はあるか
    ●欠けた破片の大きさは

1-2 応急処置

出血がある場合、そっと水でゆすぎましょう。
唇が切れている場合は清潔な布などで押さえます。

抜けた歯がある場合、できれば元の位置に戻しておけるとよいです。
難しければ生理食塩水に浸して乾かさないようにします。

食塩水が用意できない状況であれば口の中に含んでおいても良いですが、飲み込まないよう気をつけましょう。

欠けた歯がある場合、水で洗って清潔な布で包むと良いでしょう。
歯が歯肉に埋まっている場合、歯が脱臼や骨折をしている可能性があります。

1-3 対応

なるべく早く、歯医者さんを受診しましょう。
事前に電話をして、状況を簡潔に伝えると良いです。
唇が切れている可能性がある場合など、歯科口腔外科を紹介される場合があります。

欠けた(抜けた)歯と健康保険証を持参するようにしましょう。

欠けた破片が小さく痛みもない場合も、歯にひびが入っていないか、歯の根っこや神経が影響を受けていないか、などを歯医者さんで診てもらうと良いでしょう。
欠けた歯の状態が良ければ、そのまま接着できる場合もあります。

2.食事中などに歯が欠けた場合

2-1 破片を探す

虫歯でもろくなっている部分や過去に治療した部分が、ものを噛んだ衝撃で欠けてしまうことがあります。
また、歯ぎしりや酸蝕歯(さんしょくし)などで歯が弱くなっている場合も、歯が欠けやすい状況です。

  • 確認事項
    ●歯が欠けたのか
    ●口の中に違和感はあるか(今までなかったヘコみやひっかかる部分があるなど)
    ●痛みはあるか
    ●破片はあるか
    ●破片は何色か
    ●歯が割れたのか

2-2 対応

破片が大きければ、歯医者さんへ持参します。
水で洗って清潔な布などで包むと良いでしょう。

歯の詰め物が取れた場合は、念のために持参できると良いでしょう。

破片の色が黒っぽい場合は、虫歯菌に冒されている可能性があります。
欠けるのではなく、歯が割れてしまった場合は痛みがあることが多いです。

すぐに歯医者さんに行けないときは、市販の痛み止めで一時的に抑える こともできます。
用法用量を守り、薬剤師さんの指示に従って服用しましょう。

破片が小さい場合は、治療に使えないことも多いので持参しなくても構いません。
歯が欠けた原因がもろくなっているためであれば、さらに大きく欠けてしまったり、虫歯ができていたりする可能性もあります。

痛みがなくても歯医者さんを受診して一度みてもらいましょう。
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3.歯医者さんの治療

3-1 歯が欠けて痛む場合

歯の表面はエナメル質、象牙質に順に覆われていますが、象牙質の部分まで欠けてしまうと痛みが生じます。
神経が露出していれば、神経を取ることになる場合が多いです。

神経を取ったら、薬を入れて処置をした後、歯の土台を作って歯の全体を被せる、という治療を行います。

3-2 歯が脱臼・骨折している場合

接着剤やワイヤーで両脇の歯と固定させて、数日様子を見ます。
歯の状態がよく処置までの経過時間も短い場合は、歯自体は残せることも多いです。

神経が死んでしまうこともあり、経過観察のため歯医者さんへ数回通うことになります。

3-3 歯が根元から割れた場合

このような場合、割れた部分を抜歯することもあります 。
残っている部分で歯を支えることができれば、その歯を使用し、被せる方法をとるか、前後の歯を利用して、連結して被せることもあります。

割れた部分が大きければ、その歯自体を抜歯することになるかもしれません。

3-4 痛みがない場合

歯の欠けた部分が小さく、歯の表面のエナメル質のみが欠けた場合は痛みを生じないことが多いです。

欠けた部分がとがっていると、舌やお口の中の粘膜を傷つけてばい菌が入りやすい状態になってしまいます。
そのような場合は歯の角を丸くして、傷つけないように治療します。

歯の欠けた部分が凹凸のある状態だと歯磨きがしにくく、虫歯菌などがつきやすい状態なので、なめらかな状態に磨く処置をすることもあります。

欠けた面積が少し大きくても、歯全体を被せるほどではない場合、歯の色に合わせた歯科用レジン(プラスチック)の詰め物をして修復できることが多いです。

すでに神経を治療した歯の場合、痛みが出ないことがあります。
このようなケースでは、欠けた部分の大きさに合わせて全体を被せるか、部分的にレジンを詰めるという方法がとられます。

全体を被せる場合、保険適用できる治療と自由診療の治療で費用が大きく変わります。
見た目の違いや、自分のケースで可能な選択肢を事前に確認すると良いでしょう。

自由診療の治療は、自然な見た目、耐久性などの面において良い材料で被せることができますが、経済的負担が大きくなります。

保険治療の場合、歯の位置によって、可能な被せ物の材質が異なってきます。

前側6本(前歯、側切歯、犬歯各左右)であれば、「硬質レジン前装冠」という材料があります。
見た目が白く、プラスチックよりは欠けにくい素材です。

小臼歯、大臼歯の一部は、歯の状態が条件に合えば、「CAD/CAM冠(かどかむかん)」という材料があります。
CAD/CAM冠はすべての歯医者さんで取り扱っているわけではありませんが、硬質レジンより強い材質で、白いため目立ちにくい材質です。

4.まとめ

大切なのは、自己判断せずに、歯医者さんを受診することです。
状態に合った処置をタイミング良く受けることができれば、元に近い状態に戻せる可能性が高まります。

経歴

1987年 日本歯科大学 卒業
1987年~1996年12月 氷川下セツルメント病院歯科勤務
1997年 歯科大橋 開業
現在に至る

執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

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