顎が痛いのは、顎関節症…? 痛みが生じる5つの原因

顎が痛い

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口を大きく開けたときに「顎が痛い…」という自覚症状はありませんか? あるいは、さらに悪化していて、「食事・会話のとき、常に顎が痛い」といった症状に悩まされているかもしれません。

明確な原因がわからないのに「顎が痛い」という症状が出ているなら、顎関節症の疑いがあります。こちらの記事では「顎関節症のメカニズム」を解説していますので、ぜひ、痛みの原因を理解するための一助として活用してください。

1.顎が痛いのはなぜ…!? 5つの原因を解説

「顎が痛い」という自覚症状がある場合、真っ先に疑いたいのは顎関節症です。顎関節症には4つの分類があり、それぞれ原因が異なります。ただ、4分類のほかに「症状の一部に心因性要素が関与する顎関節痛」が存在していることから、「顎が痛む原因」は5種類に大別することができます。

もちろん、現実には、5つの原因のうち、2~3つが複合している場合もあります。必ずしも、5通りにきっちりと区分できるわけではありませんが、一応、「顎が痛む5つの原因」として知っておく価値はあるでしょう。

1-1 咀嚼筋障害(1型顎関節症)

口を開けたり閉じたりするとき、動いているのは下顎骨(かがくこつ)です。要するに、顎関節は「側頭骨にはまりこんだ下顎骨が動く構造」といえます。そして、当然ながら、下顎骨を動かしているのは筋肉です。下顎骨を動かしている筋肉は「咀嚼筋(そしゃくきん)」と呼ばれています。咀嚼筋は8つの筋肉から構成されています。

咀嚼筋の種類
開口筋(口を開ける筋肉) 頤(おとがい)舌骨筋
顎舌骨筋
顎二腹筋
外側翼突筋(下頭)
閉口筋(口を閉じる筋肉) 側頭筋
咬筋
内側翼突筋
外側翼突筋(上頭)

咀嚼筋障害は、これらの咀嚼筋にコリ・痛みが出た状態です。特に痛みが出やすいのは、側頭筋・咬筋とされています。ちなみに、筋肉の問題なので、「顎から雑音がする」という症状は出ません。

悪化すると、「痛みがひどくて口を大きく開けられない(開口困難)」などの症状が出ることもあります。そのほか、筋肉の緊張に起因して、肩こり・頭痛・手のしびれなど、痛みの出る範囲が拡大する例もあるので注意が必要です。咀嚼筋障害は、これらの咀嚼筋にコリ・痛みが出た状態です。特に痛みが出やすいのは、側頭筋・咬筋とされています。ちなみに、筋肉の問題なので、「顎から雑音がする」という症状は出ません。

1-2 顎関節痛障害(2型顎関節症)

「骨と骨の結合部」である関節には、いくつかの軟部組織が存在します。「骨と骨をつないでいる靱帯(じんたい)」や「関節を包んでいる組織―関節包」です。これらの軟部組織が損傷すると、関節痛を生じます。顎関節で「軟部組織の損傷による関節痛」が生じた場合、顎関節痛障害と呼ばれます。

関節の軟部組織に「許容範囲を超えた力」が加わり、損傷・炎症を起こすことを、一般に「捻挫(ねんざ)」と表現します。この事実から、「顎関節痛障害=顎関節が捻挫を起こした状態」と理解すれば、かなり実情に近いといえるでしょう。軟部組織の問題なので、やはり「顎から音がする」ということはありません。

1-3 関節円板障害(3型顎関節症)

顎関節は「下顎骨が側頭骨にはまりこんだ構造」になっています。下顎骨と側頭骨が結合し、下顎骨が動くようになっているわけです。しかし、骨と骨が直接擦れあっては、痛くて動かすことができません。そのため、関節には「骨と骨の隙間で摩擦を低減するクッション材」が入っています。膝の関節であれば、「軟骨」と「半月板」がクッション材に相当します。

同様に、顎関節にもクッション材が存在しています。下顎骨と側頭骨の間に挟まっている「関節円板」です。この「関節円板」の位置がずれてしまい、本来の位置から前方に移動した状態を、関節円板障害と呼んでいます。

関節円板が「下顎骨と側頭骨の隙間」に存在しなければ、痛みが強く、口を開けることは不可能です。ただ、多くの場合、口を開けることができない…という段階にまでは至りません。口を開けようとすると、関節円板が本体の位置に戻るからです。「関節円板の位置がずれているものの、口を開けようとすると元に戻る状態」を指して「復位性関節円板転位」と表現します。

「口を開けるときに顎が鳴る」という顎関節症の典型症状は、復位性関節円板転位のときに生じるものです。「顎関節の異音」は、関節円板が本体の位置に戻るときの音だったのです。人によって表現は異なりますが、「ジャリッ」「ピキッ」「カクン」といった擬音語を用いるのが一般的です。

ただ、悪化すると、口が開かなくなることもあります。口を開けようとしても、関節円板の位置が戻らなくなるケースがあるのです。関節円板がずれたまま動かない状態を「非復位性関節円板転位」と呼んでいます。非復位性関節円板転位になると、最大で2cm程度しか口を開けられない状態になります。関節円板障害に起因する「開口障害」を「クローズドロック」と呼びます。

1-4 変形性顎関節症(4型顎関節症)

長年のダメージが蓄積して、「軟骨の摩耗」「骨の変形」が生じている場合、変形性顎関節症と呼ばれます。レントゲン撮影で顎関節の変形が認められれば、変形性顎関節症と診断することが可能です。

人によって症状は異なりますが、「口を開けたときに顎が痛い(開口痛)」「顎から音がする」など、顎関節症に典型的な症状をきたすことも多いです。

1-5 心因性要素が関与する顎関節痛

自覚症状という言葉の反意語に「他覚症状」というものがあります。他覚症状とは、「医師などが客観的に理解できる症状」です。たとえば、「レントゲンに映っている病変」「採血検査で得られた数値異常」「腫れ・出血などの所見」などは他覚症状です。

しかし、すべての病気に他覚症状があるとは限りません。検査・診察で他覚症状を見いだすのが困難な症例もたくさんあります。神経痛、心因性の症状などが、まさに「他覚症状を見いだすのが困難な症例」の典型です。

実際、口腔領域にも他覚症状の見当たらない症状が存在します。歯痛における「非定型歯痛」などが典型例ですが、同じく顎関節にも「心因性の症状」があるのです。かつては「原因の一部に精神的要素を含む顎関節痛」を「5型顎関節症」と呼ぶことがありました。しかし、近年は「どのような症状にも、一定の精神的要素は含まれ得る」と考えて、「精神的要素を含む顎関節痛」を顎関節症の一類型に区分することはなくなっています。

2.顎が痛い…!顎関節症の一般的な治療法とは?

顎の痛みを緩和するには、顎関節症の治療が必要になります。この章では、「原因別の一般的な治療方法」を簡単に紹介することにしましょう。

治療方法について、より詳しく知りたい方は【顎関節症の治し方!原因別のセルフケア法・治療法を徹底解説】をお読みください。

顎関節痛の一般的な治療法
咀嚼筋障害(1型) 薬物療法(非ステロイド性消炎鎮痛剤)
スタビライゼーションスプリント(マウスピース)
理学療法(マイオモニター・温熱療法など)
顎関節痛障害(2型) 薬物療法(非ステロイド性消炎鎮痛剤)
スタビライゼーションスプリント(マウスピース)
関節円板障害(3型) 薬物療法(非ステロイド性消炎鎮痛剤)
スタビライゼーションスプリント(マウスピース)
リポジショニングスプリント(マウスピース)
関節腔洗浄療法
パンピングマニピュレーション
外科手術
変形性顎関節症(4型) 薬物療法(非ステロイド性消炎鎮痛剤)
スタビライゼーションスプリント(マウスピース)
関節腔洗浄療法
外科手術
精神的要因の顎関節痛 薬物療法(マイナートランキライザー)
カウンセリング

※上記はあくまでも、「主な治療法の例」です。主治医が上図と異なる治療方針を示したとしても、原則として主治医の判断に従ってください。

3.まとめ

「顎が痛い…」と感じたときは、まず顎関節症を疑いましょう。顎関節症の診療は、歯科医院・歯科口腔外科でおこなっています。ただ、歯科だけを標榜している「町の歯医者さん」は顎関節症に対応していないところも多いです。歯科医院の受診を考えている場合は、事前に「顎関節症の診療に対応しているか」を確認するようにしてください。

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