歯が“ぐらぐら”するのはなぜ?原因とその対策

歯が“ぐらぐら”するのはなぜ?原因とその対策

あなたの歯がもしも「ぐらぐら」していたら、それは歯が抜け落ちてしまうサインだと思ってください。このサインを見逃さず、きっちりと対処すれば大切な歯を守ることができます。

その対処法とは何なのか? 永久歯にもかかわらず歯がぐらぐらしたら、それは「歯周病」が進行している可能性があります。大人の場合、子どもの乳歯が生え変わるのと違い、歯がぐらぐらするのは危険なサインなのです。

しかし、歯周病は早めに対処することで食い止められる病気です。もし歯周病だと思ったら、歯医者さんにすぐに診てもらいましょう。ここでは歯がぐらつく原因である歯周病について説明し、その対策をご紹介します。

また、もしお子さんの歯がぐらぐらし始めたら、どうすればいいのか? そんな疑問にもお答えします。ぜひ参考にしてみてください。

この記事の目次

1.成人の場合、歯が“ぐらぐら”するのは「歯周病」

1-1 歯周ポケットが“3ミリ以上”になると歯はぐらつく!

成人の場合、歯が“ぐらぐら”するのは「歯周病」が原因です。歯周病は歯茎が細菌によって炎症してしまう病気で、30代以上の8割の人が発症していると言われています。

歯と歯茎の間には溝があり、その溝に汚れが入り込むと、知らない間に歯茎が腫れていきます。その“汚れのポケット”は「歯周ポケット」と呼ばれていますが、この歯周ポケットの隙間が3ミリを越えた場合、歯が“ぐらぐら”するといった状態を引き起こすのです。健康な歯の人の場合、歯と歯茎の間の溝は2~3ミリ程度だといわれているので、歯周ポケットが“3ミリ以上”になった場合、歯はぐらついてしまいます。

1-2  歯周病は自覚症状が少ない!

歯周病は発症しても痛みを感じませんので、自覚症状が少ないのが特徴です。しかし、知らないうちに進行していき、最終的には顎の骨まで溶けてしまい、歯が抜け落ちてしまう恐ろしい病気なのです。歯茎から出血したり、歯がぐらぐらするといった状態は、歯周病が進行しているサインです。すぐに歯医者さんに行けば、重症になる前に改善することができます。

2.歯周病にならないために予防する

2-1 自宅で行う歯周病予防

歯周病の予防としては、普段の歯磨きでプラークをしっかり除去することが大事です。特に歯と歯の間や歯茎の境目はプラークが溜まりやすい場所なので、磨き残しを減らすために、「デンタルフロス」や「歯間ブラシ」といった歯の細かい隙間を掃除することができる道具を活用しましょう。また、電動歯ブラシや音波ブラシを使って、手動ではできない“振動”によってプラークを除去することができます。

2-2 歯医者さんで行う歯周病予防

歯周病にならないために、歯医者さんが行ってくれる「PMTC」という歯のクリーニング技術があります。これは専用の機器を使い、歯の隙間や歯周ポケットまでしっかりと磨き上げてくれるので、歯周病の予防に有用です。

しかし、この「PMTC」は保険適用外となるため、1回の治療で1万円以上の費用がかかります。歯周病を防ぐには向いていますが、予防のために治療する場合、保険は適用されないので注意しましょう。

3.歯周病の治療について

歯周病の予防として普段の歯磨きが大事であると伝えましたが、実は歯周病を治療するにはこの“普段の歯磨き”も治療の一つなのです。初期状態ならば、正しい歯磨きを行っていけば次第に改善していきます。ただ、歯が「ぐらつく」という症状が出た場合は、一度歯医者さんに診てもらい、アドバイスをもらいましょう。

重度の歯周病の場合には最悪「抜歯」というケースが考えられます。もちろんそんなことにならないためにも、早期発見と早期治療が大切なのです。

4.お子さんの歯が「ぐらぐら」したらどうするか?

お子さんの成長に合わせて歯も抜け変わります。お子さんの歯が「ぐらぐら」し始めた場合、その乳歯は抜いていいのか抜くべきではないのか考えてしまいますよね。もし、ぐらぐらしている歯が軽く引っ張ることで抜けそうな場合は、様子を見ながら自分で抜いてしまう方がいいかもしれません。しかし、強く引っ張らなければ抜けないような歯は、まだ新しい歯が生える準備ができていない可能性がありますので、ぐらぐらしているからといって無理に抜くことはせず、歯医者さんに診てもらうことが大切です。

また、お子さんでも大人と同じように歯周病になるケースもあります。気になったらまずは歯医者さんに診断してもらいましょう。

5.まとめ

大人の場合、もし歯が「ぐらぐら」したら、それは歯周病が進行している可能性が高いと言えます。「放っておくと歯が抜け落ちてしまうよ!」ということを、歯が教えてくれているのです。また、お子さんの歯の場合は主に乳歯の生え変わりで「ぐらぐら」が起きます。乳歯を抜くべきかどうかのタイミングが難しい場合は歯医者さんに診断してもらい、一人ひとりに合った予防方法を知ることが必要です。

歯の「ぐらぐら」に気づき、不安になったら歯医者さんに診てもらうことが第一です。症状の確認をしてもらい、それに合った治療方法で健康なお口作りを目指しましょう。

経歴

1975年 東京歯科大学 卒業
1975年~1977年 新宿ビル歯科 勤務
1978年 早川歯科医院 開業
現在に至る

執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。

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