口内炎は何科?歯医者でおこなう口内炎治療のススメ

口内炎は何科?歯医者でおこなう口内炎治療のススメ

口内炎の治療は、歯医者さんでおこなうことをおすすめします
もちろん、耳鼻咽喉科や皮膚科でも口内炎の治療を受けることができますが、すべてのクリニックで口内炎治療が受けられるとは限らず、事前に医院に確認する必要があります。

ではどうして、歯医者さんで口内炎を治療するのをおすすめするかというと、ポイントは3つあります。

①『レーザー治療』を取り入れているクリニックが多いこと。
②クリニック数が多いので通い易いクリニックがみつかりやすいこと。
③詰め物や歯の突起が口内炎の原因になっている場合すぐ対処できること。

また、過去に治療した詰め物や、八重歯などの歯の突起が粘膜へ刺激を与えていることが原因で口内炎になっている場合は、歯医者さんで診てもらえば原因からアプローチできます。そのため、何度も別の病院で診てもらう必要がなくなる、というメリットがあります。

この記事では、歯医者さんで受ける口内炎の治療についてまとめました。是非参考にしてみてください。

この記事の目次

1.歯医者さんでの口内炎の治療法

■レーザー治療

口内炎が悪化したときは、『レーザー治療』がおすすめです。
口内炎は市販薬を使ってもなかなか治らないことが多いですが、レーザー治療なら1日で口内炎の痛みを取ることができます。

また、レーザー治療の費用は、口内炎の市販薬と同じかそれ以下なので、金額的にもお得です。
全国で約7,000院の歯医者さん(2016年1月時点)がレーザーを取り入れた治療を行っています。
自宅や職場の近くでも、レーザー治療が受けられる歯医者さんが見つけやすいでしょう。

レーザー治療は、患部に光線を当てて焼くことで、殺菌し、炎症を抑える方法です。
『患部を焼く』というと痛そうなイメージがありますが、レーザーには麻酔作用があるので、ほとんど痛みを感じません。
ただし、レーザー治療は保険外の治療になります。
費用は医院によって違いますが、500円~3,000円が目安です。

レーザー治療の効能としては、
 ①炎症を抑える
 ②痛みを抑える
 ③傷口をふさぐ
 ④殺菌する
など、口内炎にとって有用だといわれる治療が1度にできます。
治療は5分もかからず終わるので、家事や仕事が忙しくても空き時間にささっと通うことができます。

■高周波治療

高周波治療は、高い周波数の電流を流して患部を焼くことで、殺菌作用が期待でき、炎症を抑えることができる治療法です。レーザー治療と似ています。
人体は高周波の電流には感度が鈍くなるため、リスクが低いことが保障されています。

高周波治療はレーザー治療と同じで、下記の4つの作用があり、同じく口内炎に有用です。

 ①炎症を抑える
 ②痛みを抑える
 ③傷口をふさぐ
 ④殺菌する

紹介した2つの治療法は、どちらも口内炎に有用ですが、あくまで、「すぐに快方に向かう」だけで、「完治する」というわけではないということに注意してください。
どちらの場合も、治療後は口内を清潔に保ち、傷口に細菌が入らないようにすることが大切です。

■薬を使った口内炎の治療法

レーザーや、高周波治療などの保険外治療をしない場合に処方される薬や、市販で買える薬について紹介します。

歯医者さんでは、『デキサメタゾン軟膏』という口腔用の塗り薬で口内炎を治す方法もあります。
費用は保険適用で230円です。

使用する際は、綿棒を使って患部に直接塗りましょう。
痛みが和らぎ、大きな口内炎もだんだん小さくなっていきます。
薬を塗ったすぐ後は飲食などを控えるようにしましょう。
薬が効く前に流されてしまう可能性があるからです。
治すには5日ほどかかるといわれています。

2.口内炎ができる5つの原因

①ストレスや睡眠不足

ストレスが溜まると、口の中の健康を保っている菌のバランスが崩れて口内炎になりやすいです。
口の中には様々な菌(常在菌)が存在します。
ストレスや疲れが溜まると、免疫力が低下し、一時的に日和見感染(ひよりみかんせん※)を起こすことがあります。
これが口内炎として現れることがあります。

※日和見感染とは、健康であれば病気の原因とならない病原体に感染し、発症することです。

②偏食によるビタミンや鉄分不足

ビタミンや鉄分が不足すると免疫力が低下し、口内炎ができやすくなります。
ビタミンA、ビタミンB、ビタミンCを摂るようにしましょう。
とくに、ビタミンB2には皮膚や粘膜を再生する働きがあるので、口内炎ができたときはなるべく摂るようにすると治りが早くなることがあります。

■不足しがちなビタミンを多く含む食材
レバー、肉類、魚介類、乳製品、ほうれんそう、トマト、ピーマン等

③歯が粘膜に擦れていること

歯の詰め物が合っていない場合や、矯正装置が口の中でこすれている場合など、物理的な刺激が口内炎の原因となっている場合があります。
頻繁に口内炎ができてしまう方は、歯医者さんで粘膜に当たらないように歯を保護する方法や、出っ張った歯の調整を行う矯正治療の2つの対策法が考えられます

④不潔な入れ歯の装着

入れ歯の形に赤く腫れたり、舌に白い炎症が点在している場合は、『カンジダ性口内炎』の可能性があります。
カンジダ菌はカビの一種で、入れ歯を不潔なまま使用しているときに発生することが多いです。

⑤ウィルスや細菌が原因

ヘルペスや、梅毒、クラミジアなどの性感染症が原因で口内炎ができる可能性があります。
このタイプの口内炎にはかゆみが出ることがあります。
ウィルス性口内炎の場合は、菌の種類を特定する必要があるので、心当たりがある場合は、歯科ではなく、内科や皮膚科を受診しましょう。

3.口内炎を放置しておく3つの危険性

口内炎なら、普通は長くても2週間程で自然に治ります。
もし、口内炎がなかなか治らず、痛みや、出血、しこりなどがある場合は、がんなど他の病気の恐れがあります。

ここでは、口内炎と似たような症状の病気を3つご紹介しています。
不安な方は歯医者さんでも調べてもらうことができるので、相談してみてください。

①口腔ガン

日本では年間6,000人もの人が口腔がんにかかり、50%にあたる3,000人が死亡しているとされています。
主な症状は、痛み、硬いしこり、腫れ、ただれ、出血などが挙げられます。

初期の段階では痛みはなく、痛みが出ている場合は、すでに進行している可能性があります。
口腔ガンは、歯科口腔外科で治療してもらえます。
歯医者さんの中には歯科口腔外科も診療科目としているところがあります。

②白板症(はくばんしょう)

粘膜の一部が白くなっているのが白板症の症状です。
合わない詰め物による刺激、ブラッシングに力をかけすぎていることや、喫煙が原因です。
長い間、同じ場所に刺激を与えると、細胞が悪性化し、がんに発展する可能性があります。

③ベーチェット病

ベーチェット病は全身の炎症性疾患です。
腸や皮膚、神経、血管に症状が出る、慢性的な全身疾患で、症状が出たり収まったりを繰り返す病気です。
この症状の1つとして、口内炎のようなものができることがあります。
残念ながらベーチェット病の治療法を完治させる薬は製造されていません。

4.まとめ

歯医者で口内炎を診てもらえば、レーザーなどですぐに処置してもらえたり、歯の詰め物や突起物が原因で口内炎ができやすくなっている場合にもすぐに対応してもらえます。
口内炎ができたら、まずは歯医者さんを受診してみてはいかがでしょうか。

口内炎だと思っていたものが、実は別の病気だったという場合でも、口腔外科併設の歯医者さんで受診すれば処置をすることが可能です。
長引く口内炎でお悩みの場合は、早めに歯医者さんで診てもらうことをおすすめします。

経歴

1975年 東京歯科大学 卒業
1975年~1977年 新宿ビル歯科 勤務
1978年 早川歯科医院 開業
現在に至る

執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

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