歯周病は薬で治る?市販薬と薬を使った歯医者さんの治療について

歯周病は薬で治る?市販薬と薬を使った歯医者さんの治療について

歯茎が腫れたり血が出たり…歯周病は痛みを感じることは少ないですが、口臭のもとになるだけでなく、進行すれば歯が抜け落ちてしまう怖い病気です。そんな歯周病を「なんとか薬で治したい」と思う人も多いのではないでしょうか?

この記事では、歯周病に作用する市販薬や、歯医者さんでの薬を使った内科的治療法を紹介します。後半は歯周病の進行度合いにも触れているので、歯医者さんに行くべきか迷っている人もぜひ、参考にしてください。

※市販薬を使用する際には薬剤師の指示に従い、用法用量を守って使用してください。

この記事の目次

1.歯周病の進行を防ぐ作用が期待できる市販薬

歯茎が「赤く腫れあがる」「痛みやムズムズした感じがある」「出血がある」といった症状の場合、歯周病の可能性が高いです。

歯周病の初期状態を「歯肉炎」と言います。歯肉炎が進行すると「歯周炎」「歯槽膿漏(しそうのうろう)」と呼ばれる状態になり、セルフケアのみでの改善するのが困難になってきます。

歯周病の進行を食い止める作用が期待できる薬として「患部に直接塗るタイプ」と、ブラッシングのときに使用する「歯磨き粉タイプ」の薬があります。

歯周病の症状が重くなる前に、市販薬で進行の食い止めを目指しましょう。

歯周病を食い止めるには、市販薬の使用だけでなく毎日の丁寧なブラッシングが重要です。市販薬は、口腔内の清潔な状態が保たれてはじめて、作用が期待できます。

1-1 塗る歯槽膿漏薬

直接、歯茎に塗り込む薬で、歯茎の腫れや出血、痛みなどに作用する成分が配合されています。軟膏タイプやゲルタイプで、患部に長く留まりながら浸透していくのが特徴です。

1-2 ブラッシング用歯槽膿漏薬

毎日のブラッシングのときに使う、歯磨き粉タイプの薬です。「殺菌作用」「抗炎症作用」「血行促進作用」がある製品がおすすめです。適量を歯ブラシに乗せ、歯茎をマッサージするように磨いていきましょう。

2.歯医者さんでの薬を使った内科的治療

歯医者さんでの歯周病治療は、歯石や歯垢を専用の器具で除去する外科的な処置が基本です。見えない部分の歯石を取る場合、歯茎を切開することもあります。

その一方で、薬を用いた治療も登場しています。ここでは、その内科的治療法を紹介します。

2-1 歯周病の内科的治療の流れ

  • 1.口内の汚れを採取、位相差顕微鏡で細菌やカビの数・種類を確認する
    2.細菌を除去するための薬を服用する
    3.並行してカビの除去薬を塗る、またはカビ取りの歯磨き剤で歯を磨く
    4.除菌が確認できたら、歯石を取りのぞく
    5.定期的なメンテナンスを受ける

歯周病の内科的治療は、外科的治療に比べると患者さんの負担が少なく済むことがあります。口腔環境が整い、口臭予防にもつながると言われています。

ただし、内科的治療は原則として保険が適用されない自由診療となります。そのため、歯医者さんによって料金設定が異なります。詳しくは、歯医者さんを受診した際に確認しましょう。

3.歯周病の進行度合いを見極める

歯周病がどこまで進行しているのかを把握したうえで、対策を立てるのも重要です。

3-1 歯周病の進行度合いの目安

  • ◆初期(歯肉炎)
    ・歯茎に炎症が起きて、赤く腫れる
    ・歯磨きをすると、出血することがある
  • ◆中期(歯周炎)
    ・炎症が進行し、腫れと赤みがひどくなる
    ・歯茎が下がり、歯が長く見えてくる
    ・歯と歯の間に食べ物が詰まりやすくなる
    ・口臭がきつくなる
    ・歯磨きをすると出血する
    ・歯周ポケットが深くなり歯槽骨が溶け始める
  • ◆後期(歯槽膿漏)
    ・歯茎から血が出たり膿が出たりする
    ・さらに歯槽骨が溶かされ歯がぐらぐらする
    ・歯の根元の方まで見える
    ・口臭がさらにひどくなる

3-2 不安な方は歯医者さんに相談を

歯周病が悪化すると歯槽膿漏になり、末期状態になると最終的には「歯が抜け落ちる」ことになります。

最悪な事態を引き起こさないためにも、丁寧なケアと併せて、先ほど紹介した薬、または歯医者さんで処置を受けるなどして、歯周病の進行を食い止めることが大事です。

市販の薬だけでは不安という方や、症状がひどくてなかなか改善されないと感じる方は、歯医者さんに相談しましょう。

4.まとめ

歯周病は気づかないうちに進行し、最終的には歯が失われてしまいます。歯茎に異常を感じたら、すぐに対処することが歯周病の悪化を防ぐポイントです。

歯石や歯垢の除去といった外科的な治療だけでなく、「薬」による内科的治療や、市販薬によるアプローチ方法もあります。

歯周病の進行を抑えるためには、毎日のケアをより丁寧におこなうことも必要です。歯医者さんでブラッシング指導を受けたり、定期健診を受けたりすることも検討しましょう。

歯医者さんで歯周病の内科的治療を受ける場合は自由診療になるケースが多いため、費用についてはよく確認し、納得したうえでお願いしましょう。

経歴

2007年 第100回歯科医師国家試験合格
2007年 日本歯科大学 生命歯学部卒業
2008年 埼玉県羽生市 医療法人社団正匡会 木村歯科医院
歯科医師としてのホスピタリティの基礎を学ぶ。
2010年 埼玉県新座市 おぐら歯科医院
地域に密着した医院で地域医療に携わり、
小児から高齢者歯科まで治療を行う。
2011年 東京都文京区 後楽園デンタルオフィス
施設の訪問診療などにも携わる。
2015年 東京都港区 青山通り歯科 院長
現在に至る

執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

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